2007.09.18 : 平成19年9月定例会 一般質問
質問者:4番(吉田豊史君)
皆様、こんにちは。
6月の定例会に続きまして、一般質問の機会をお与えいただきました吉田豊史であります。
さきの議会におきましては、自民党先輩の大野県議より「自民党王子」なるすばらしいニックネームをいただき、新聞にも取り上げていただいた私ではございますが、やはりあまりにも本人とのイメージに無理がありましたようで、私なりに努力はいたしたのでありますが、あっという間に消えてしまいました。ぜひ、今度はもう少し長続きをするニックネームをお与えいただければと思っております。
質問に先立ちまして、さきの参議院議員選挙につきまして、私自身、県内の自民党若手議員の一人といたしまして、この選挙結果につきまして、御支持くださった皆様に対しまして本当に感謝いたしますし、また私自身の力不足についてもおわびしたいというふうに考えております。この機会を、本人ともども、自分たちの力不足を強く自覚いたしまして反省し、そして努力、研さんして、また次に向かって頑張っていくことを決意いたしております。
また、今回の選挙は、富山県におきまして、党派を問わず緊張感のある政治活動の契機として、そして県民の皆様に、より質の高い政治活動が行われるように、私自身率先して頑張ることをお約束いたします。
それでは、質問に入らせていただきます。
私の1つ目の質問は、県内河川における生物の生息環境についてということでありますが、ことしの夏は、この選挙のことを除きますと、本当に私にとってすばらしい夏であったと感じております。と申しますのは、皆様見ていただいてのとおりでありますけれども、しっかりと日焼けした私が、今この場で皆さんに御報告申し上げておるんでありますが、学生のころから、自分自身は神通川を中心に、アユの投網とかテンカラ網という遊漁をしておりました。かれこれ15年選手になっております。ことしも自分の仲間とともに十数回川に入りましたが、ことしのアユは本当にサイズが大きく、そしてまた「元気とやま」にふさわしい元気なアユが育っておりました。
10年前ほどでありますと、渇水期の藻が腐った川のにおいや、あるいは琵琶湖産の放流アユの冷水病の問題ですとか、いろいろ川としては弱々しい状況だったなというふうに思い出しておるところでありますが、そのときとは一変しまして、この富山の川が「生きている川」になっているということを強く実感いたしました。河川環境の改善の結果という、この見えない部分での努力が、アユというこの富山の大切な財産において立派に元気に育っているという、こういう目に見える形であらわれてきているということを、私自身ことしの夏は実感いたしました。
水というのは、自然の循環においては体でいう血液でありまして、そして川はその動脈、静脈。そして自然界の自然な循環の中で、水こそが私たちのこれからの生活にとって一番大切なキーであるのではないかと、このように私は考えております。
概して、経済活動ですとか、生産活動のために、この自然な川の流れ、物の流れというものをとめてきてしまったのが私たちの60年間ではないかなというふうにも思うんですけれども、今ここにおいて私たちがいま一度取り戻さなくちゃいけないことは、この自然の流れというもの、そしてその一方で経済活動をいかに循環させていくか。こういう考え方が一番大切なことじゃないかなと、川に入っておりながらも真剣に考えておりました。
私はここの部分、本当にライフワークと位置づけておりまして、話を少し大きくしてしまった嫌いはありますけれども、今回は、今の現状につきまして、私自身体感いたしました部分を含めて、アユ資源ということを中心に、県民の財産である富山の川について関心を高めていただこうという気持ちでこの質問をさせていただきます。以下、3点質問させていただきます。
アユのことにつきましては、6月定例会の農林水産常任委員会のほうでも大野議員が取り上げていらっしゃいますので、その詳しい内容もまた御参照いただければというふうに思っております。
1つ目、県水産試験場でアユなどの調査研究を実施しましたが、県内河川において、今現状はどうなっているのか、その取り組み、そしてその成果について。アユ資源というものを──サクラマスですとかいろんな資源がありますけれども──増大させるためには、単独の取り組みではやはり難しいところがあって、基本的に県の水産試験場で基本となる調査、それから実態の把握とか努力をされた上で、そこから県や国、そして地元の内水面の漁協の協力によって、今この川が生き返りつつあるというふうに感じております。このあたりについての成果と今後の取り組みにつきまして農林水産部長にお聞きいたします。
2番目でありますが、県内の河川につきましては、遊漁という意味では友釣りのメッカとしても今とらえられております。お隣のお隣の福井県では九頭竜川という有名なアユの川がありますけれども、今友釣り師の中では、富山の神通川が断トツの評価を得ているという非常にうれしいニュースも入っているところであります。このあたりの富山の地場産アユについて、これを上手に利用して、そして富山の知名度アップにつなげていただければというふうに考えるのでありますが、この点についてどのように考えていらっしゃるか、このことについても農林水産部長に引き続きお聞きいたします。
それから3番目でありますが、河川環境が改善してきているというこの状況の中で、やはり私自身川に入って、その水の流れですとか、生き生きとしたアユ、そういうものとふれあうことが、大人である私でも勉強する非常にいい機会になっていると感じるんです。こういう河川という、富山にある得がたい自然の財産、これを親しむことができる学習のフィールドとしての利用というものもぜひ取り組むべきではないかというふうに私は考えております。このあたりにつきまして教育長にお尋ねいたします。これが1問目であります。
続きまして2問目は「水とその循環について」というタイトルでありますが、1問目において、私たちの生活の中で流れという水の循環を考えましたときに、表面に流れていくのが川でありますけれども、もう一つ私たちが持っている大切な水の流れは、目に見えない流れ、「地下水の流れ」ということであると考えております。
この夏は大変な猛暑でありましたけれども、私のうちではクーラーを一度もつけることなく過ごすことができました。というか、つけられなかったという微妙なところでありますけれども……。なぜかといいますと、自宅に井戸がありまして、そしてその井戸水のおかげで、ある程度流すことによって──うちのほうでは井戸水の水温は年間を通じて13度という温度なんですね。そういう井戸水が大活躍しての結果ではないかなというふうに思い、改めて井戸水のありがたさを感じた夏でもありました。
富山県民の皆さんが当たり前と思って使っている井戸水なり、水というものでありますけれども、このありがたさについてもう一度思い起こして、そしてこれは富山県の持っている大切な共有財産だというふうに考えております。
県としましては、この地下水について、その利用の状況、保全管理、それから環境実態について科学的な把握──1問目でも申しましたけれども、科学的に物事を把握するという、それはこれからのいろんな物事を変えていく上での大前提であって、そういう地道な調査というものの大切さを感じております。そういう意味で、このあたりにつきまして、県がどのように把握なさっているか、それからどういう利用状況にあるか、そのあたりについてお聞きしたいというふうに思っております。
これについて2点質問いたします。
1つ目でありますが、本県は、全国名水百選に、全国の中で最多の4カ所選定されているなど、非常に豊かな地下水の資源を持っておりますけれども、県内におけるこの地下水の利用状況について生活環境文化部長にお聞きいたします。
2つ目でありますけれども、この地下水のことにつきましては、富山県におきまして来年の10月、第36回国際水文地質学会というアカデミックなものでありますけれども、学会が開催されることが決まっておるという話をいただきました。「水の王国とやま」にふさわしいこの学会が開かれることは、私自身も、県当局はポイントを見ているなというふうに思って感謝しておるところでありますけれども、こういう学問的な機会を、学問的な部分だけに抑えておくんではなくて、この富山県において水というものの位置づけをもう一度再認識する、そういういい機会としてもとらえられるのではないかなと思っております。このあたりにつきまして知事に所見をお聞きしたいと思っております。
3問目に入ります。文化芸術、イベントについてであります。
ことしの夏の体験からではございますけれども、私、御案内をいただきまして、ことしの夏の8月25日に南砺市の利賀芸術公園で開催されました世界演劇祭「利賀フェスティバル2007」に行ってまいりました。演劇祭の最終日にまいりまして、演目は鈴木忠志さんという方が演出の「世界の果てからこんにちは」という有名な、非常に歴史的な演目でありました。
1982年にこの第1回の世界演劇祭「利賀フェスティバル」が利賀で開かれましてから25年、それを経ての新版での演出ということでありましたけれども、その「世界の果てからこんにちは」という劇は、解説によれば、利賀というすばらしい土地の山と池を背景に仕掛け花火を使うという、野外でしか行われない、その地、場所だからこそできるという演出で、暗闇に炸裂する花火の閃光が見る者の心を華麗に染め上げると、そういう解説がついておるものでありましたけれども、私自身は鑑賞させていただいて、本当にすばらしい──言葉は大げさですけども、夢のような空間と時間を体験できたなというふうに思っております。これはやはり利賀という立地、それから富山県と鈴木さんという演出家との縁、それからいろいろな関係の方、利賀村、南砺市、そして富山県、そういう皆様の努力、そしてやはり25年という歴史を経て、そこにたどり着いたものがあるなというふうに感じました。
この演劇祭の後に、鏡開きということで、演出家の鈴木さん、私たち富山の代表として石井知事、それから私ちょっと驚いたんですけれども、見ておられたお客さんの中に、建築家で日本を代表する有名な方でありますけど、磯崎新という方も見にいらっしゃいまして、それは友人としてその場に来ておられたんですね。そういう人と人の出会い、それから財産というものも、この25年の歴史をかけてちゃんとできてきているんだなと。そういうことも、一方ではすばらしいなというふうに感じました。
こういうすばらしいイベントでありましたけれども、みんなが見るということは確かに物理的に難しいのでありますけれども、こういうすばらしいイベントが富山に行われているよということを、ぜひ私は地元の富山の方に知っていただきたいなと強く感じました。そういう意味での努力がなされているのであろうかと。そういうところをもう少し強く、いろいろな訴えかけですとか、そういうことができるんじゃないかなということを感じましたが、特に富山の財産であるこういう文化的な出来事の価値としては、県民、そして県内外、外国に向けてでも発信できる、それだけのクオリティーのものでありました。
それから、今、富山県では25年かかってそこまでたどり着いたと私は申し上げましたけれども、最初の種をまく努力というものも並行して行われなくちゃいけないというふうに思うんです。例えば、現時点で行われていますシモン・ゴールドベルクに関するさまざまな企画、それから文化財産という意味で言えば、福野で行われているスキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドでありますとか、本当に関係者にとってはすばらしい価値があるんだけれども、富山の人自身がまだまだそれに気づいていないという、そういうものが富山には、文化的にもたくさんあるというふうに思うんです。
水墨美術館一つをとりましても、その関係者の中では本当にクオリティーの高い企画が行われているということであります。近代美術館がもう一度再生して新しい試みをしていこうという、そういうタイミングでもありますので、私たち自身の富山の地域力といいますか、富山として持っているものをもう一度確認し、どのようにPRしていくのか、このあたりについての質問をさせていただきたいというふうに考えます。
3点質問いたします。
1つ目が利賀フェスティバルについて、参加なさった知事に、その感想も含めて、今後の取り組みについてお聞きいたします。
2点目につきましては、今ほど申しましたように、いろいろな伝統的な行事あるいは文化的な活動が行われましたけれども、特に観光資源という観点からは、新しいキャッチフレーズができたこともありまして、これらのいろいろな企画について、もう少し統合的に、全体像が見える形で把握して、そして県内外に情報を発信すべきであるというふうに考えております。このあたりにつきまして商工労働部長にお考えをお聞きします。
3点目は近代美術館でありますけれども、魅力向上検討委員会というところでの報告を受けまして、今後どのように──特に近代美術館と水墨美術館は地理的にも近い関係にありますので、このあたりについての連携した企画、そういうものが行われる可能性などについて生活環境文化部長にお聞きいたします。
最後は、LOHAS的な地産地消という質問であります。
前回の一般質問でも取り上げさせていただきましたLOHASという言葉であります。ライフスタイルズ・オブ・ヘルス・アンド・サスティナビリティ──健康で持続可能な生活スタイルということでありますけれども、これ自身は我々の生活あるいは生き方全般にかかわる大きなテーマでありまして、ことしの夏が特に暑かったこともあって、異常気象ですとか、それから地球温暖化、そういうようなものについての考え方として、多くの方が、やはり変わっていかなくちゃいけないんだなという理解を示しておられるところにはきていると思うんです。
ですけれども、実際、いろんなニュースでは、例えばクールビズについては、クールビズ自体は浸透しているけれども、冷房ががんがんに効いている部屋で会議をしている。それは意味ないじゃないかということになると思うんですね。そういうことですとか、あるいは富山県のことを言いますと、原子力発電所の事故などで、電気というものは、いろいろなリスクをしょった上で私たちは共有しているんだよという厳しい現実を目の当たりにしたにもかかわらず、電力会社のほうは、とにかく電気の需要が厳しいので、皆さん控えてくださいと言ってはおりましたけれども、実際のところは、ことしの夏に日本で今までの最高の電気使用量を記録してしまったという、こういう現実があるわけです。私たちは、頭で考えていることをいかに体で実行していくかという、このギャップに困っているというか、本当に一歩を踏み出せないでいるところだと思うんです。
すみません、話がいつもどんどんでかくなってしまうんでありますけれども、今回はそれで、じゃどうするのかというところにおいて、私たちができることは、もう一度自分たちができるところからスタートするということではないでしょうか。そういう意味で、LOHASと地産地消という問題を取り上げさせていただきます。
地産地消ということはいろいろなメリットがありまして、流通の問題ですとか、食べ物に対する価値観の問題ですとか、自分たちの地元のものを大切にしようという考え方ですとか、メリットは多いのでありますけれども、そういう観点において、富山県において本当に簡単に一歩を踏み出せる分野でありますので、これについてどのような現状があるのか、まず現状認識のところから進めたいなというふうに思っております。これについて3点質問いたします。
本県における野菜や果実などの地産地消に対する取り組みについて、農林水産部長にお聞きいたします。
稲作の王国である富山でありますが、地産地消となりますと野菜類がキーになってくるので、新しく野菜づくりなどに取り組もうという方々に対する支援、どのようなことを考えていらっしゃるか、これについても農林水産部長にお聞きいたします。
あとは、この地産地消についての取り組みといたしまして、食育の観点も含めて、学校給食において何か試みがあるのかというところについて教育長にお聞きいたします。
以上、4点について質問いたします。よろしくお願いいたします。
回答者:知事(石井隆一君)
吉田議員の御質問にお答えいたします。
まず、第36回国際水文地質学会についての御質問にお答えをいたします。
この学会は、昭和31年に設立された国際的な水文地質学者の学術団体でありまして、現在会員が150カ国で4,000名以上という大変大きな学会でございます。来年の学会開催に向けましてIAH 2008 Toyama組織委員会並びに実行委員会というものも組織されまして、現在準備が進められております。
来年に富山県で開催されますこの36回の国際水文地質学会は、「統合された地下水の科学と人間の幸せ」をメーンテーマにしまして、さまざまな地下水、水問題を取り上げて、研究者、技術者だけではなくて、行政の担当者あるいは一般市民が最新の知識や情報を理解して共有する、こういうことを目指して、来年の10月下旬に富山国際会議場で開催される予定になっております。
こういう学会がなぜ富山県で開催されるかということですけれども、議員がおっしゃるように、本県は非常に豊かで清らかな水環境があると。さかのぼりますと、昭和57年に全国で初めて地下水の採取に関する条例を制定したとか、平成14年に地下水指針、これも全国に先駆けてつくったとか。また最近でも、平成17年に地下水の涵養実証実験を行いまして、地下水涵養マニュアルを作成して普及に努めているとか、昨年、一昨年と冬期間、富山、高岡、砺波等で観測井を4つ設けまして、テレメーターシステムを導入するとか、国内で見ても非常に地下水に熱心に取り組んでいる県だという評価をいただいて、そのことの成果かと思っております。
この学会には、来年は、我が国も含めまして世界60カ国から約500人の研究者の方が参加される予定でありまして、一般市民もさらに参加していただいていいわけですけれども、「水の王国とやま」を世界にアピールする大変いい機会だと思っておりまして、県も積極的にこの会議で発表したいということで、発表テーマについて実行委員会事務局と今調整をしているところであります。
現地点では、地下水の保全施策と、もう1つは、立山・黒部の世界文化遺産に向けて、そのセールスポイントの一つとして立山砂防の問題を取り上げておるわけですけれども、この「SABO」が国際語になった一つのきっかけが、まさに立山砂防であります。こうしたことも県としてアピールをしたいと。
また、ブースも出展してパネル、映像、パンフレット等を活用してPRしたいなと思っております。そんなことで、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
次に、利賀フェスティバルについての御質問にお答えをします。
この利賀フェスティバルは、皆さん御承知のとおり、昭和57年に鈴木忠志氏が中心になって旗揚げされたんですが、毎年国内外から1万人近くの演劇関係者、観客が訪れておられます。
私も、知事に就任させていただく前から利賀芸術公園を訪れて、何回も行っておりますけれども、今や利賀村なり、あるいは利賀芸術公園というのは、世界の文化人の中では、既に芸術文化の拠点として高く評価されていまして、ことしもギリシャのテオドロス・テルゾプロスさん──これは私は前から存じ上げていますが、インドのラタン・ティヤム氏といったような世界の著名な演出家が訪れておられまして、また議員おっしゃった磯崎新さんなど、日本を代表する文化人もたくさんいらしておるわけであります。
県としましても、この利賀村の芸術創造に適した環境を生かして、人材育成の拠点づくりを目指したいということで、昨年3月、全国初の芸術特区を認定してもらいました。以下、それをきっかけに利賀演劇塾とか演出家コンクールとか、あるいは小学生の舞台芸術講座、高校生の演劇講習、大学生のワークショップといったようなこともやっており、国際的な人材育成事業の推進に取り組んでおります。
今年度は、鈴木氏が利賀を本拠地として劇団SCOTを再始動するということになっておりまして、定期公演や県民向け鑑賞会の開催等、県民の皆さんがもっと世界をリードする舞台芸術を間近に見る機会を増やしたいと思っております。
また、昨年日露文化フォーラムをやりましたけれども、ロシアのタガンカ劇場と──これも世界的に有名な劇場なんですが、共同で新しい作品をつくりまして、この利賀で生まれた舞台芸術作品を、ロシアだけではなくて世界に発信するということにしております。
こうした取り組みを、やっぱり芸術文化の振興だけじゃなくて、観光振興とか県内の活性化にも役立てたいというふうに思っておりまして、私は鈴木先生にも、利賀でやるのもいいんだけども、またヨーロッパ、アメリカでやるのもいいんだけども、東京でもたまにはやってくださいと、こう言っておるんですね。そういうことでやって、もっと知名度を高める。
それから、富山空港の広報ブースのPR映像、コンビニでのポスター掲示等々やっております。また今回は、もっともっと皆さんに見てもらいたいということで、県内の市町村長、経済界はもちろん、県議会議員の皆様にできるだけ見ていただくようにお誘い、お願いもしたところであります。
今後とも、せっかくの財産ですから、国の内外にアピールをしてまいりたいと思います。
なお、利賀につきましては、昨年、当時の河合文化庁長官が訪れられまして、これはすごいと。こういう厳しい自然の中で、芸術文化だけじゃなくて、人間の力を鍛えるには一番大事だと。将来の日本を担うような人材の研修の場にしたらどうかと、こう提唱されたんですね。大変ありがたいと思ったんですが、長官はその後一月もたたないうちに病気になられて、その後亡くなられたんですが、せっかくの御提言ですから、私も一生懸命汗をかきまして、何とか遺志を継いで、ことし8月、利賀村で国家公務員の幹部研修も実現したところであります。
何とかこういういろんな形で、せっかくの利賀村ですから、富山県の財産としていろんな面でアピールをしていきたいと、こういうふうに考えております。
以上です。
回答者:農林水産部長(寺林 敏君)
私のほうからは、4つの御質問にお答えいたします。
最初に、県内河川における生物の生息環境について、アユの現状はどうなっているのか。また、アユ資源を増大させるためのこれまでの成果と今後の取り組みについて問うとの御質問にお答えいたします。
本県のアユ資源を増大し、持続的に利用していくためには、アユの生態や資源量等の調査研究、アユ等の生物の生息に適した河川環境の整備等が重要であると考えております。
このため水産試験場では、海に下ったアユ稚魚の生態特性や減耗要因の調査、またアユの生息しやすい環境を解明する河川環境調査などを実施してきているところであります。
特に、水産試験場の調査結果から、神通川の北陸電力神三ダム直下のふちでは、渇水期に水中の酸素量が不足することが明らかになったことから、北陸電力においてダムゲートからの放流を行うようになり、魚類の生息環境が大きく改善されてきているところであります。
また、アユ資源の増大のためには、河川管理者、漁協等と連携して取り組むことが有効であり、これまでも堰堤等への魚道の設置、また神通川での国、県、富山漁協、学識者による多自然型川づくりに向けた検討、さらに小矢部川、庄川、神通川及び黒部川における国や県、漁連によるアユの遡上状況の共同調査などに取り組んでおります。これらのことにより、自然環境に対応し、アユに適した河川整備の方向が示されてきていると思っております。
いずれにいたしましても、今後とも水産試験場における調査研究を進めるとともに、関係団体と積極的に連携協力して、アユ資源の維持増大に努めてまいりたいと考えております。
次に、地場産アユなどを増やすことにより、富山の知名度アップが期待されるが、どのように考えているのかとの御質問にお答えいたします。
本県のアユ資源の維持増大のためには、資源の再生産の観点から、積極的な地場産の稚魚の放流により、地場産の放流アユの割合である地場産化率を高めることが重要であると考えております。
このため、県内の内水面漁業協同組合に対して、放流する場合は他県産アユから地場産アユへの切りかえを指導助言するとともに、地場産アユの増殖施設の整備に支援してきたところであります。その結果、本県河川における地場産化率は、平成11年は18%でありましたが、平成18年には68%と大きく向上しております。
さらに平成18年度からは、産卵期における採捕禁止期間を、神通川では5日間の延長、庄川では10日間の延長を行い、天然の海産アユの増大にも努めているところであります。
こうしたことにより地場産アユ資源が増大し、県内外から多くの釣り人が訪れることが期待されることから、本県の知名度の向上やイメージアップ、また自然環境や漁業への関心や理解の促進、さらに観光振興や商業への波及効果等にもつながるものと認識しております。
今後とも、内水面漁協を初め関係機関とも積極的に連携協力し、地場産アユの資源の一層の増大に努めてまいりたいと考えております。
次に、LOHAS的な地産地消について、2つの御質問にお答えいたします。
最初に、本県における野菜や果実の地産地消に対する取り組みの現状はどうかとの御質問にお答えいたします。
食の安全・安心や新鮮さなどから、生産者の顔が見える地場産野菜や果実への期待が高まっており、地産地消の取り組みが活発になってきておると思っております。県としましても、水稲に特化した状況から、野菜や果実など園芸作物の生産拡大を図るべく、地産地消の積極的な推進に努めているところであります。
具体的には、生産面では稲作を主とする経営体に、地域の特色を生かし消費者ニーズに合った野菜や果実の導入を進めること。また消費面では、直売所やインショップでの販売拡大や、学校給食での地場産の利用拡大を図ることなどに取り組んできております。
この結果、新鮮さが売りの小松菜やニラ、完熟でおいしい桃などの生産が増えていること。また、直売所やインショップともに、平成14年度に比べますと、約30店舗ずつ増加していること。さらに、ほとんどの市町村で地場産の野菜や果実を活用した特別給食が実施され、その回数も増加していることなど、着実に成果を上げているところであります。
さらに本年度からは、農村女性を対象に、地場産野菜などを活用した新たな商品開発や、朝市や直売所を整備すること。また、旬の地場産野菜等や伝統的な食文化を生かした富山型食生活メニューの普及啓発を図ること。さらに、学校給食において地場産野菜等を活用した特別給食を拡大することなどに取り組み、地産地消の一層の拡大を図っていくこととしているところであります。
最後に、新たに野菜などの生産に取り組もうとする営農組織等に対する支援策をどのように考えているのかとの御質問にお答えいたします。
新鮮で安全・安心な県産野菜等の生産拡大を図るため、県ではこれまでも、稲作を主とする法人経営や集落営農組織に野菜等を導入した経営の複合化を推進するとともに、女性グループや定年後の就農者なども対象に、野菜等の導入による新たな担い手の育成を支援してきたところであります。
具体的には、1つには、野菜等の生産に意欲のある方々を掘り起こし、計画的に栽培技術の習得向上に向けた研修、講習を行うこと。2つには、営農組織等が新たに取り組む野菜等の栽培に必要な機械、施設の導入に支援すること。3つには、量販店等と連携して安定的な販路の確保や新たな販路開拓を支援すること。4つには、野菜経営の安定を図るため、価格の著しい低下に対して補給金を交付する野菜価格安定制度を支援することなど、生産から流通、経営に至るまできめ細かな指導支援策を講じてきているところであります。
さらに、本年度からは新たに、他県産と差別化ができる富山ならではの有望な野菜や果実の栽培実証を行い、生産を奨励すること。例えば短葉性ネギの「ねぎたん」、あるいは梨の「なつしずく」等がございます。また、有利販売に向けて、食のとやまブランドの推進と一体となって、県内外での販売促進活動を積極的に行うこと。さらに、新たな担い手育成も含めた産地ビジョンの策定や産地マネジャーの育成を図ることなどに取り組み、新たに野菜等を導入する営農組織等を積極的に支援し、野菜など園芸作物の生産拡大に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
回答者:教育長(東野宗朗君)
河川を学習フィールドとして活用してはどうかというお尋ねにお答えしたいと思います。
本県は、御指摘のとおり「水の王国とやま」と言われておりまして、それぞれの地域を流れる河川、多様な動植物が生息する豊かな自然環境でありますとともに、その流域の歴史や文化、風土に深くかかわっておるところでございます。児童生徒がこうしたふるさとそのものを学ぶ貴重なフィールドとして河川を生かしていくべきと考えているところでございます。
小中学校におきましては、総合的な学習の時間等におきまして、安全面にも十分配慮しながら、地域の河川の水質検査、そして生物の観察、ごみ調査など、河川の実態にあわせまして、特色ある学習を展開してきているところでございます。
幾つか申し上げますと、富山市立熊野小学校におきましては、河原で水中生物を見つけ、みずから図鑑で名前を調べ、水質を調べ、調査研究しておりますこと。そして射水市の浅井地区におきましては、河川の環境浄化を呼びかける児童の活動がきっかけとなりまして、地域自体が一体となって水草刈りに積極的に取り組む、いわゆる「藻刈り十字軍活動」などへと発展してきていることなど、多くの学校において河川を生かした取り組みが進められているところでございます。
いずれにいたしましても、河川をフィールドとした学習を通しまして、子供たちは命の大切さ、そしてふるさと富山の自然の豊かさにみずから気づきまして、地域の魅力を体で実感として受けとめること、こうしたことは大変大切なことと考えておりますが、今後とも、河川など富山県の豊かな自然環境を生かした活動のさらなる充実を呼びかけてまいりたいと考えているところでございます。
次に、学校給食における地産地消の取り組みについてお答えしたいと思います。
昨年8月に策定いたしました富山県食育推進計画におきましては、推進目標の一つといたしまして、「元気な子どもの育成」を掲げておりまして、学校給食における地場産食材の使用割合につきまして、平成17年度現在で26.7%でございますものを、目標値として、平成22年には30%以上とする目標を掲げたところでございます。
このようなことから、県教育委員会といたしましては、食育推進月間でございます11月に「学校給食とやまの日」の設定や「学校給食週間」を毎年1月に実施してきておりますこと、学習教材として小学校2年生に「とやまの食べものたんけん」を一斉に配布しておりますこと、県おさかな普及協会の協力を得まして、県産のフクラギ、シロエビを出していただきまして活用しておりますことなど、地場産食材の積極的な活用に努めているところでございます。
さらに、生産者の方々との交流会食、例えばシロエビの漁師さんを招待いたしまして、その漁についての工夫、そして苦労話を学校で聞きますことなど、こうした交流会食を通しまして、子供たちに地産地消への理解を深めてきているところでございます。
今後とも、子供たちがみずからのふるさとの味に親しむとともに、食を通してふるさとに対する愛着や関心を高めることができますよう、県農林水産部や市町村、関係団体と連絡協議しながら、学校給食における地場産食材の一層の活用に努力してまいりたいと考えているところでございます。
回答者:生活環境文化部長(林 時彦君)
まず、本県の地下水の利用状況に関する御質問でございますが、5年ごとに平野部全域を対象に実施しております地下水揚水量実態調査の結果によれば、本県の平成15年度の年間総揚水量は約2億5,000万立方メートルでありまして、5年前と比べ約4,000万立方メートル減少しております。また、適正揚水量約5億立方メートルを十分に下回っている状況でありました。
また、用途別に見ますと、工業用が1億4,000万立方メートル、これは全体に占める割合では58%でございますが、建築物用が3,700万立方メートル、これは同じく15%でございます。水道用が3,600万立方メートル、14%、そして道路消雪用が2,400万立方メートル、10%の順となっております。5年前と比べてみますと、工業用などの揚水量は減少しているものの、道路消雪用は増加している状況であります。
このように、地下水の利用状況は変化してきておりまして、近年、消雪設備の一斉稼働によります冬期間の大幅な地下水低下や、都市化の進展、水田の減少などに伴います地下水涵養量の減少などの課題が生じてきております。
このため県では、地下水指針に基づきまして、地下水の節水や利用の合理化など各種施策を推進してきましたほか、消雪設備維持管理や地下水涵養に関しますマニュアルを作成配布いたしまして、地下水の適正利用や水田等を利用した地下水涵養の普及啓発を行ってきたところでございます。
また、今年度新たに、黒部市や地元住民と連携して、本県の水資源の象徴であります自噴井戸を保全するため、ふるさと湧水保全モデル事業を実施することとしております。
いずれにいたしましても、本県の地下水は「水の王国とやま」を代表するシンボルでございます。今後とも、市町村や関係機関と連携し、地下水保全施策の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、近代美術館魅力向上検討委員会からの報告への対応でございますが、去る8月に「展示」「教育普及」「広報・PR」及び「無料空間の利用増加策」の4項目につきまして、それぞれ当面の施策と中長期的に検討すべき課題に分けて答申をいただいたところでございます。
県といたしましては、今後、当面の施策につきましては、例えば入り口や受付の改修等によるエントランスの改善など、その具体化に速やかに着手するとともに、また、例えば隣接の富山市科学博物館や城南公園など周辺環境との一体感ある整備などの中長期的な課題につきましては、関係者と積極的に協議を進めることといたしております。
こうした取り組みを進め、より多くの県民に親しまれ、利用される美術館となるよう努めてまいりたいと考えております。
また、お尋ねのございました連携した企画展の実施につきましては、答申の中でも御提言をいただいておりますが、各美術館のすぐれた作品の組み合わせにより、少ない経費で魅力ある大型の企画展を開催できる大変有効な手法でございます。
近代美術館では、これまでも県内7つの美術館の協力によりまして「とやまの洋画史 入門編」を開催しましたほか、来年度には、AIGグループが所有いたします19世紀の印象派の作品と近代美術館の20世紀以降の作品とをあわせて展示する「AIGコレクション展」の開催を予定いたしておるところであります。
また、水墨美術館との連携では、水墨美術館に両館の県関係日展作家の作品を持ち寄りまして、「日展100年展関連企画展」を開催することといたしております。
今後とも、美術館相互の連携を強化いたしまして、その保有するすぐれたコレクションを最大限に活用してまいりたいと考えております。
以上でございます。
回答者:商工労働部長(斉藤俊明君)
観光に関しての御質問でございます。
おわら、麦屋、こきりこを初め、各地における曳山祭りなどの魅力的な伝統文化の活用は、今後団塊の世代が大量に退職する時期を迎え、熟年層を中心にニーズが高まることが見込まれますことから、今後の観光戦略におきまして極めて重要な要素であると考えております。
このため県におきましては、昨年度、地域で取り組む伝統文化などの観光資源を結ぶモデルルートの開発PR事業への支援を行い、地域の観光関係団体において魅力的な観光ルートが提案され、その企画PR事業が展開されたところであります。
さらに、来月以降の新キャッチフレーズを活用した新たな観光キャンペーンの開始にあわせ、首都圏等から大手旅行エージェントを招聘し、先の事業で提案されたモデルルートのPRに加え、伝統文化などのテーマに基づいた観光素材を体験してもらうほか、今後の旅行商品のPR事業への支援なども行いながら、本県の魅力的な伝統文化を盛り込んだ旅行商品の造成を促進してまいりたいと考えております。
今後は、こうした取り組みの成果も踏まえながら、伝統文化に由来する祭り、イベントのみならず、先ほど御提案のありましたような利賀フェスティバルなど比較的新しい芸術イベントなども含め、全国的にアピールが可能な文化観光資源の発掘に努めながら、さらなる観光活用策を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。