2010.09.17 : 平成22年9月定例会 一般質問
質問者:5番(吉田豊史君)
始めます。
長く暑い、すばらしい夏が過ぎ、秋風とともに天高く馬肥ゆる秋、戦いの秋がやってまいりました。もちろん自分との戦いです。
6月の定例会でまちの緑、街路樹のことを取り上げました。私の質問の中では歯の質問に次いで反響が多く、市民、県民の皆様が緑にいかに関心を持っていらっしゃるか、改めて思いを強くいたしました。
年を重ねて40の夏でしたが、ことしはなぜかサルスベリの木が目にとまりました。今まで気づきもしなかったこのサルスベリですけれども、街路樹として、あるいは公園や、庭木として結構植えられています。定番の赤、白もあり、またピンクの花もあります。季節の変わり目に、ピンポイントにすばらしい色です。県内では、新潟との県境、朝日町のトンネルを過ぎたところにこのサルスベリの街路樹があります。まだ若いんですけれども、時間を経るとすばらしい街路樹になるなと、楽しみです。
国政の選挙は、このところ夏の陣が続いておりましたが、県議選は春でよかったと思います。選挙中にサルスベリがしきりに目については、目も当てられない、こう思います。
平村先輩からいただいた「質問は議員の命」、この言葉を胸に元気に、真摯に頑張ってまいります。
1問目は教育環境について。
富山市内ではこのところ、新設、改築の小学校が相次いでおります。各校下の住民の方々は、改めて学校の役割や価値、存在を認識なさっていると思いますけれども、そのときにどうしても学校校舎本体のことばかりに関心が向いてしまいがちです。そこで今回は、学校環境とは何か、改めて考えてみたいわけです。
幼稚園、保育所、小学校、中学校、高等学校、専門学校、大学校、各種特殊学校、消防学校というのもあります。学びの施設はいろいろありますが、すべて敷地あるいは場所があって建物がある、これが基本形です。敷地の中に校舎はもちろん、正面玄関からのエントランス、敷地を囲う木々、グラウンド、体育館やその他附帯施設、これらをひっくるめて、大学であればキャンパスというのですが、つまり敷地全部が学校環境で、教育環境だということです。当然そこには水、緑、土などの自然素材があります。私たちは、人間関係以外はすべて自然から学ぶわけであり、それぞれの年齢時期に応じて感じること、体感することは学びの基本だと思います。
そこでまず、学校施設環境において、敷地内の土、水、緑が果たす教育上の役割をどのように考えているのか。また、本県ではその目的が十分に果たされている状況にあると考えているのか、村井教育委員長にお聞きいたします。
学校施設は、敷地と建物、その他で構成されていることを今ほど申し上げましたが、例えば私たちの家は敷地と家でできているのと同じことで、注目すべきは庭だと思います。住宅の場合でも、一般的に新築のときに庭などの外回りまでしっかり整えられるというのは、予算上もまれだと思いますけれど、その後少しずつ庭を整えていくわけでして、問題は、これと同じことが教育施設や環境の場合も成り立っているかということです。初期投資以外の予算が存在しているのか、維持管理費のみばかりで、段階的な環境整備を行っているのか、このことが心配です。
県立の学校施設において、敷地内の緑化等環境整備予算はどのように組まれているのか、東野教育長にお聞きします。
また、小中学校、幼児教育施設などの新設や改築に当たって、建物施設以外の敷地内の環境整備、例えば緑化費、ビオトープの作成、菜園整備などに対して、県単独でこれらの整備を行うということが非常に大事であり、私はこれらのプログラムを用意すべきだと考えます。続いて教育長にお聞きします。
よその県やよその国に視察に行きましても、すばらしいなと感じるのは、教育施設に歴史の積み重ねや重みがあるときです。いつも申し上げておりますが、そのときの主役は敷地内の木々や時を経た建物です。先日、東京大学弥生キャンパスにGAPの勉強会で行ってまいりましたが、さすがは日本一の学校だと改めて感じました。木の成長に合わせて建物が設計されたり、柵や塀を木に合わせて曲げたり穴をあけたりしながら、木や緑を優先して整備しています。
幼稚園や保育所、小学校でも、本当に新しい教育の姿というのは、私はまずは土と触れ合う泥んこ遊びにあると思います。たくましい子、主体性のある子、元気な子、これこそ本当にこれからの富山の未来を開く子供の姿だと私は確信しておりますので、そのために教育環境には土、水、緑が必須の要素です。
さて、本県の特徴を考えてみますと、やはり豊富な水の存在が挙げられます。川からの自然水、地下水、まさに水の王国です。なぜ発電用水や農業用水、工業用水があって、教育用水がないのでしょうか。改めて考えてみたいテーマです。
教育用水の使い方は、例えばビオトープだったり、敷地の木々や菜園の水やり用だったり、一歩進んで夏の教室の水冷にも利用できます。何でも利用できます。もし井戸を敷地に掘れば、当然、初期投資はかかりますけれども、ランニングの費用は今はやりの太陽光発電──新設の学校に大抵太陽光発電がついています。これを通常の電気とかライトとかに使うのではなくて、水をくみ上げる、そしてその水を学校内でさまざまに生かす。これはまさに循環の体現になると思います。
昔使っていた手押し式ポンプ、私自身でも記憶がかすかにある程度で、生活で使っていたという体験はありませんが、今の子供たちにしてみるとアニメのトトロの世界の話だと、こう思いますけれども、こういうものが導入されると最高だと思います。夢のある企画だと我ながら思います。ぜひとも実現したい。
県内の公立学校で、井戸水または自然水を教育用あるいは管理用に生かしている実例があるのか。今後の取り組み方針とあわせて教育長にお聞きします。
夢のある話の後に、現実に戻ります。現状での学校敷地の管理をもう一度確認いたします。
教育委員長に答弁を求める最初の質問で述べたとおり、教育に実感、体感を与えることが土、水、緑の役割であるならば、これらの有効活用は、やはりそれらの管理方法にも及ばねばならないと考えます。
小学校の敷地内の雑草を取るのに、除草剤をまいているという考えられないような例もあると聞きます。私たちのころは、グラウンドに一列に並ばされて手で雑草をむしりました。本来の学校教育環境の満たすべき役割を考えたときに、学校施設において過度の管理あるいは利便性の追求は控えなくてならないと強く思います。便利さや管理のしやすさは大人の都合、勝手な思いであり、決して子供への思いやりではありません。足るを知ることの意義や質素の価値や、ありがとうを学ぶためには、みずからが動く、手をかけなくてはいけない環境こそ教育環境です。手がかかるもの、世話や修理が必要なものや環境を与えることこそ、私たちが子供にしてやれる唯一の思いやりです。感謝や記憶に残ることは、すべて苦労と体感なのです。
きょう傍聴に来てくれている方々の中に、富山青年会議所の青少年育成委員会のメンバーがおられます。この1年間、思いやりをテーマに頑張ってきた仲間の前で、つい熱く語らせていただきました。
先週、地元の小学校の運動会を見に行ってきましたが、とても暑い中、子供たちは元気に頑張っておりました。そのときに、昨年の運動会のことを話された方がおられました。去年は朝まで雨が続いておりまして、早朝から子供たち、先生、地域の方々もそれこそ全員で、ぞうきん、スポンジ、バケツを持ってグラウンドの水たまりをなくして、運動会の準備をしました。「随分おくれて運動会をやったな、でもあれは忘れられない。いまだにそのことを楽しそうに言う生徒もたくさんいるよ」ということでした。
私も、はだしで、スーツをめくって一緒に手伝ったこと。自分の頭でなくて、自分の足が覚えていました。手間のかかる土のグラウンドも、大切な、そして必要な教育財産だと改めて思います。何で甲子園が土なのか。グラウンド一つをとっても、土か、芝か、人工芝か、アスファルトか。その選択が本当に重要だと思います。苦労の汗、感動の涙を吸いとどめることができるのは土だけだと思います。
学校敷地内の土、水、緑の管理のあり方についてどのように行うべきだと考えるのか、改めて教育長にお聞きします。
続いて、教育の問題を続けますが、探求科学科についてお聞きします。
理数科という言葉は、私にはずっと違和感がある言葉でした。富山県内の学校教育で、学歴社会あるいは偏差値教育のシンボル、これが理数科でしょうか。特に御三家と言われる富山、高岡、富山中部。中学校の成績がよいと理数科に行くように進められる。私のころはそうでした。今回の改革は、目的がはっきりしているわけだから、私はこのことをもう一度確認したいと思います。
平成19年12月の県立学校教育振興計画基本計画中の「今後求められる能力」にあるように、本県や国の将来を担うリーダー育成の観点からは、文武両道のたくましさ、主体的な人材の育成が求められていると思います。今回の探求科学科の新設がこの目的にどのように資することになるのか、教育委員長にお聞きします。
自分で選択したのに、ここで愚痴るのは筋違いですが、理数科が私の人生において2度目の大きな挫折を与えてくれたことに感謝し、しかし私のような理数科で物理、数学ができずに、毎回教室で一人だけ追試を受け続ける3年間を過ごすことになったというありがたい例があることも御承知いただいて、進路指導の大切さを訴えたいと思います。
中学校の進路指導において、どのような生徒が探求科学科へ進むにふさわしいか、この位置づけを明確にすることが重要です。中学校、高校間の相互理解、連携は進んでいるのでしょうか。中学校の成績でリーダー的行動の要素や体力などの項目、これらをどう評価して入試につなげていくのかという観点を含めて、教育長にお聞きします。
ちなみに私のときは、中学を卒業して15の春を満喫しようという春休み中に高校入学前の説明会がありまして、そこでいきなり高1の数学の教科書が渡され、あろうことか、それをその場で開いて「少し先に進みましょうか」と当たり前のように先生がのたまい、当たり前のように予習授業が始まりました。私は今でも忘れられません。そういうことだけは絶対やめてほしいと、新しい探求科学科を担当する学校や先生方に強くお願いします。
次の質問は起業についてです。会社の企業ではなく、新しく業を興こす起業です。
私自身、10数年前になりますが、富山市内でガッツワーク有限会社という会社を興しました。今もあります。何事もそうでしょうけれど、起業には体験した者でなくてはわからない高揚感、チャレンジする喜び、未来を切り開く実感があります。この不景気、先行きのわからない不透明な時代をみずから切り開くお勧めの方法は、起業または立候補です。
まず、県内の起業の状況をどのように認識しているのか。また、県の起業応援のプログラムがどの程度効果を発揮しており、特に若者の起業にどのような効果があると認識しているのか、戸高商工労働部長にお聞きします。
若者が自力で起業するというと、現代ではIT分野なども考えられます。けれども、やはり思いつくのは昔も今も飲食業ではないでしょうか。飲食業は手が出しやすいだけに、後が難しい業種です。このことは私が実感しております。
私たちがまちの住人として、地域に新しい商売屋ができることを考えたときに、一番身近に感じる、自分が関心を持つのが飲食店です。このことは、まちの魅力、ひいては観光地の魅力を考えたときに、とてもよくわかります。10件出て1件生き残れば上々という、まだいいほうだという飲食業界。けれど魅力のあるまち、人の集まるまち、これはこの繰り返しの中に需要のベースアップが図られ、そして生き残っていくのだと、こう思います。
本県の観光と起業を結びつけること、特に飲食店の開業に目を向けて、そしてその促進をねらう施策がとても重要だと考えます。五十嵐観光・地域振興局長にお聞きします。
今述べましたが、できたりつぶれたりするのが起業による経済現象の本質の一つですから、ここを恐れては何も始まりません。むしろこの起業による経済波及効果を重く見るべきと考えます。地域で起こり、地域で消費し、地域で支え、地域で再生産につなげる。まさに理想の循環がここにあります。1軒の店ができるときに、つくるとき、営業中、そして閉店のとき、後始末まで考えたら、そこにどれだけの仕事が生まれるか考えていただきたいのです。公共財をつくる手法とは異なる魅力がここにあります。
起業による地域活性化方策は、緊急の景気対策としても、あるいは長期的な景気浮揚対策としても非常にすぐれた手法であり、今こそ起業を積極的に応援すべきだと考えますが、本県では起業応援にどのように取り組むのか、石井知事にお聞きします。
しかし、まず始めなくては始まらないこの起業ですけれども、始められない現状があります。起業に当たっては資金の確保が大きなポイントとなりますが、資金面での支援として県はどのように取り組んでいるのか。制度融資の実績とあわせて商工労働部長にお聞きします。
私は、県内の各金融機関や信用保証協会の査定あるいは審査においての現状を、石橋をたたくというよりも、橋を渡るも何も、初めから橋の手前にバリケードが立てられているように感じております。
起業の価値を改めて見つめてみたい。人生に一人一度は起業の体験をとさえ思います。この不況下においては、県内就職率が高いことばかりを評価する風潮ではいけないと。起業こそ、地域で、自力で不況を脱する生命線の一つだと認識すべきです。起業の価値を高めたい、この超保守的な本県だからこそ、必要な考え方だと思います。この考え方をどのように根づかせていくのか。県内の子供たちに起業の夢、発想を持たせる教育はどのように行うことができるのか。例えば、私たちの自慢の14歳の挑戦は、この点において有効な施策たり得ているのか、教育長にお聞きします。
最後は、富山空港についてお聞きします。
今月の初めに沖縄に視察に行ってまいりました。修学旅行の民泊の可能性、そして特産農産物の販売促進策について、先進地の沖縄の状況を意見交換、勉強してまいりました。乗り継ぎ便が設定されていて、その便利さに驚き、また既にその乗り継ぎ便を利用した50名ほどの団体旅行があったことにも驚きました。小松からの便に頼らなくてもよくなり、滞在時間にも余裕がとれ、スケジュールも組みやすくなり、思った以上に大きな改良でした。県議会でも新幹線の話題とともに、富山空港のことがクローズアップされてきています。改めて、富山空港の今と今後の動きに注目してみました。
まず、国際線の動きから入ります。
先日、上海便の曜日変更等の動きが発表になりました。富山空港の今後の生き残りの大きな柱として、国内のみならず、海外への移動の玄関口としての位置づけは重要ですけれど、特に注目されていた上海便です。万博も10月31日で終わります。上海便の将来をどう考えているのか。この変更の内容と影響、評価も含めて柳野知事政策局長にお聞きします。
また、初めに述べました乗り継ぎ便のことですけれども、これは本当に大事にしなくてはなりません。始まったばかりですが、だからこそしっかりと初めからのデータを集めて、推移、展開、戦略を練らねばなりません。当局への質問で歯がゆいのは、よく「データがありません」という回答です。もちろん当局自身も歯がゆい思いをしておられると思います。けれど、データだって結局は努力と熱意で集めるものだと、こう思います。
今般拡充された乗り継ぎ制度をどのようにとらえているのか。その経緯と結果、今後の取り組みについて知事にお聞きします。
さて、本空港の今後の展開について、とにかく新幹線のタイムリミットが刻一刻と近づいており、今どのような現状分析をし、作戦を練るのかが、空港の未来を決めると言ってよいと思います。富山空港は新幹線と同様、あるいは新幹線以上に先人の努力によって今があることを、私たち県民は再認識すべきだと思います。絶対なくしてはいけないし、そうならないように、議会でも私自身暴れるときは暴れなくちゃいけないと覚悟しています。
富山空港のメリット、小さいことから大きなことまで──例えば駐車料金が無料ということも、旅行のプランを練るときに実は大きい要素です。広がってはいる駐車場ですけれど、雨のときのフード屋根がついているきめの細かいサービス、全国一の河川敷空港、空港におりてから観光地までの距離的近さ、観光地への時間ロスが非常に少ないことをメリットにするには、空港を起点とする観光ルート交通網整備を進めなくてはいけないと考えます。
東京から富山空港、立山駅、室堂、立山山頂まで、空港と立山駅を30分で結ぶルートを開くことができれば、60足す30足す7足す45で、雲上まで2時間半で行けます。プラス100分で雄山まで。東京から5時間で神聖な3,000メートル級の世界に行く方法はここしかありません。山頂では、今はやりの山ガールも大勢待っているということです。
立山のことで恐縮ですが、先週、私の友人が雄山の山頂で結婚式を挙げました。電話がかかってきて、そこでやるから来いよと簡単に言いました。ええっと思ったんですけれども、実際に、立山の地鉄の駅まで車では行きましたが、そこからケーブルに乗って、バスで1時間かからずに室堂に着いていました。私自身、こんなに近いのかとびっくりしました。そして、この本人は翌日の朝、御来光を見て、7時半に雄山の山頂で結婚式という、すばらしいなと思いましたけど、私は会議があって、室堂で上の姿を見ながら泣く泣く帰ってきて、残念にも思いました。
空港の話に戻りますが、空港に着いて立山連峰が眼前に広がるような導線、レイアウトの改良、空港での待ち時間に河川敷に着く飛行機と、振り返れば立山連峰のパノラマ、こういうラウンジカフェがつくられれば、すばらしい、また来たいと思うはずです。できることは、無理してやろうと思います。
富山空港の将来に向けた生き残り策としてどのような検討を行い、どのような戦略を立てて取り組むのか、知事にお聞きします。
最後に、リージョナルジェットを取り上げます。
最近よく耳にするリージョナルジェットですが、インターネット上の辞書ウィキペディアでは、短距離輸送用ターボファンエンジン搭載航空機、地域間輸送用旅客機を指すとのことです。地域間を結ぶ小型の飛行機、日本海側のリージョナルジェットのハブ空港を目指すこともおもしろい展開が期待できると思います。
ねらいは、神戸空港その他の富山から行きにくい空港です。一歩先んじることが唯一の、そして本当に有効な生き残り策だと思います。これからのために今耕し、今種をまいていただきたいと思います。富山空港の生き残り策の選択を知事政策局長にお聞きして、終わります。どうもありがとうございました。
回答者:知事(石井隆一君)
吉田議員の御質問にお答えをします。
最初に、起業についての御質問にお答えをいたします。
本県の産業を活性化しますためには、活発に新たな創業あるいは新たな事業展開等が行われることが大変大事だと思います。私が6年前知事に就任させていただいた当時は、県内の新設事業所数は年平均2,090件でありまして、廃業は3,398件ということで、廃業のほうがはるかに多かったわけであります。このために、本県産業の衰退を防いで活性化したいという思いで、マニフェストに新規創業の年平均3,000件という5割増の目標を掲げさせていただきました。そのとき、あのときはまだ候補だったんですが、3,000件というのは目標がちょっと高過ぎるんじゃないかといって心配してくださった経済人もおられたわけですけれども、何とかその達成に向けて努力したいということで、そういう目標にしました。
これまで、平成17年にはとやま起業未来塾を開校しまして、新しい分野にチャレンジする企業人の育成を行うとともに、資金面では、創業のスタートアップ時期に支援をする創業・ベンチャー挑戦応援事業補助金を創設しましたほか、制度融資の新産業・ベンチャー創出支援資金については金利を引き下げるなど、資金調達をしやすくしたところでございます。
また、その後、様子を見ていますと、せっかく新商品を開発しても、その販路開拓が大変だということがありましたので、一定の評価を得た新商品を県が随意契約で率先購入するトライアル発注制度というものを、これは国に法令改正もしていただきまして、全国に先駆けて実施させてもらいました。
また、見本市への出展費用を助成しますなど、起業の段階に応じた支援策を総合的に進めてきたところでございます。
こうした中で、例えばとやま起業未来塾について言いますと、講師やアドバイザーとして、県内の本当に熱心なそうそうたる経営者の皆さんはもちろんですが、東京、大阪などの経済人の方々の協力も得て、実践的な指導をしてもらいまして、5年間で129名が修了し、その6割に当たる77名の方が創業や新分野進出を果たしておられます。最近では、海外への輸出を目指す企業や、またマスコミで紹介されたり、全国的に著名な賞を受賞する企業が出てきますなど、一定の成果が上がっているように受けとめております。
さらに、修了生相互の啓発を通じて事業の充実発展を図りますための学士会も設置されましたほか、この9月から新たにインターネット市民塾で起業チャレンジ講座を開始したところでありまして、起業にチャレンジする若者──最初、実は若者を助成と思っていたんですが、いや何と60を超えた方でもぜひやりたいと言ってくる人がいるんですね。そういう意味で、やっぱり非常に頼もしい人がいるんだなと思って喜んでおります。
なお、新規開業に関する直近の調査を見ますと、新設事業所は年平均2,916件まで増えまして、3,000件の目標に相当近づいてはいますけれども、まだ廃業事業所数がやはり年平均3,286件ということでありますので、さらに積極的に取り組んでいきたいと思っております。
今後、とやま起業未来塾を初めとしまして、新ビジネス等の育成について経済界の協力も得ながら盛り立てていきたい。また、資金面や販路開拓の支援などに引き続き積極的に取り組んでいきたい。何かお話の中で、信用保証協会はすごいバリアがあるということでしたが、よく実情を聞きまして──私は、実際に起業未来塾なんかで頑張っている塾生に聞きますと、かなり親切にしてもらったといって喜んでいるとも聞いているんですけれども、さらに努力してまいりたいと思います。
次に、富山空港の乗り継ぎ制度の拡充についての御質問にお答えをいたします。
富山空港は、お話のとおり、富山県のまさに空の玄関口でありますし、特に羽田便は富山空港の基幹路線でありますので、お話のように、平成26年度末までの新幹線の金沢開業ということもありますから、羽田便の増便も含めた利便性を高める。また、直行便のない国内外の都市への乗り継ぎ利用の促進などを図りまして、この路線の価値を上げるということで取り組んでまいりました。
これまで、国土交通省や航空会社のトップにも何度もお会いしまして、利便性向上のための増便、またダイヤの見直し、乗り継ぎ割引制度の積極的な導入等について働きかけたところでありまして、関係機関も御協力いただいて、富山空港からの利便性に配慮したダイヤの改善、乗り継ぎ割引制度の拡充等が実現されているところであります。
特に乗り継ぎ割引制度につきましては、富山空港から直行便のある羽田空港等を経由しまして国内各地との間を行き来する際に、直行便と比較してほぼ変わらない運賃で利用できる。また、富山空港から6便ある羽田便を生かして、目的地ごとに複数の乗り継ぎダイヤが設定されていますので、予定に応じて行き帰りの時間を選択できまして、目的地での滞在時間を最大限に活用できるなど、利便性は相当に高いと思っております。
21年11月1日以前は、富山空港から福岡、沖縄の2路線だけこの乗り継ぎ割引制度があったわけですが、これまでの働きかけによりまして、北海道各地、それから中国、四国、九州地方と順次拡大されまして、来る10月31日からは東北地方など4路線が新たに加わりますので、東京経由で29路線、それから札幌経由で1路線が加わって北海道内4路線と、ほぼ全国各地との間で割引運賃の利用が可能になりました。
また、来月末から羽田空港に国際定期便が就航することに伴いまして、先般も全日空の社長さんとお話ししたんですが、海外との乗り継ぎの利便性も向上してほしいということもお願いしておりまして、県としては、全国各地へと拡充された国内の乗り継ぎ割引制度の県民の皆さんへの一層のPR、まだまだ知られていないのでもっとPRをしなくちゃいかんと思いますし、また海外との乗り継ぎ制度の充実など、羽田便の路線価値が一層向上するように取り組んでまいりたいと思います。
最後に、富山空港の将来に向けた取り組みについてであります。
県としましては、ことし10月末以降の羽田空港再拡張による発着枠の拡大、また26年度末までの新幹線の金沢開業など、富山空港を取り巻く今後の環境変化を見据えまして、有識者や経済界、航空関係者等から成る富山空港の利用促進に関する検討会というものを設置しまして、昨年の3月に富山空港の活性化方策についての報告をいただきました。
この方向性としては2つありまして、国内航空ネットワークの充実強化ということと、環日本海あるいは東アジア交流の拠点空港としての機能拡充ということであります。
具体的な取り組みとしては、まず国内線については、今ほどもお話ししましたけれども、富山空港から羽田空港を経由して全国各地の主要都市への乗り継ぎ利用を促進する。そのことで羽田便の路線価値を高める。そうすると、新幹線ができても一定の競争力を持ち得る可能性があるんじゃないかと。こういった点については、ダイヤの改善、それから乗り継ぎ制度の先ほど申し上げた全国各地への拡充など、順次実現がされているわけであります。
また、羽田便の飛行時間も何とかもっと短くならないかということで、特に自衛隊の小松基地なり横田基地との空域調整の問題が最大の課題だったわけですけれども、当時、防衛庁の首脳にも何度かお話しし、もちろん国交省にもお話をしまして、最終的には支障のない限り自衛隊の訓練空域を通過することが可能だということになりました。お気づきの方も多いと思いますが、気象条件等にもよりますけれども、相当程度の便で5分程度の時間短縮は実現できているわけであります。引き続き、羽田便の路線価値を高めますために、積極的に関係機関に働きかけていきたいと思います。
また、国際線については、今でも地方空港としてはトップクラスの国際定期4路線を運航している強みがございます。
ことし5月に中国や台湾を訪問して、主な航空会社のトップにも直接お目にかかって、国際定期便またチャーター便の拡充について働きかけを行ってまいりました。その際、それなりに前向きの御返答もいただいて、実際にもう成果が一部出ていますけれども、富山空港がこれから環日本海あるいは東アジアの拠点としての機能を、まだまだ発揮し得る、また発揮させなきゃならんと思っております。
こうした取り組みのほかに、近隣地域からの利用拡大、それからお話しのように空港アクセスの整備、大きな無料駐車場もおっしゃるとおりでありますので、こういう富山空港の立地上のよさも十分活用しながら、将来にわたって富山空港を空の玄関口ということでしっかりと維持できるように頑張っていきたいと、こういうふうに思っております。
回答者:教育委員長(村井 和君)
教育環境についての御質問の中で、学校の敷地内の土、水、緑が果たす教育上の役割という御質問にお答えをいたします。
学校において子供たちが土や水、緑に触れることは、子供の情緒の安定や情操面の発達、そして人格の形成、そうしたものに大きな効果が期待できると考えています。
特に最近の子供は、自然の中で遊ぶ、体験するという機会が限られているため、学校において土いじりや植物や生き物に触れる機会を提供することは、大変意義のあることと考えております。また、そうした身近なところでの自然体験活動によって、命の大切さはもとより、私たちの生活が自然、いわゆる土、水、緑と強く結びついていることを学習することも大切なことであると考えています。
本県の学校におきましては、これまでも学校ごとに工夫を凝らした花壇づくり、これは小中高等学校を通じてやっていることでございますが、また校庭での動物の飼育や植物の栽培とその観察、また学校敷地内や近隣の田畑などでの栽培など、地域やPTAなどの協力も得ながら、それぞれの学校で土や水、緑に触れるさまざまな活動が積み重ねられてきていると思います。
さらに、近年は一部の学校での芝生化の試行や、地域と一緒になってのビオトープの造成などの動きもございまして、ゆとりと潤いのある学校施設環境づくりとして一定の評価ができると考えております。
続きまして、探求科学科についての御質問でございます。
県立学校教育振興計画の基本計画では、今後、高校生に求められる能力などを育成するため、すべての県立高校において一層の教育充実、例えば教育形態、方法等の改善充実、また学校の形態、仕組みの革新などの観点から取り組むことが重要であるとされ、ものづくりの中核校や総合選択制を導入した高校などの設置とともに、理数科についても見直しの検討を進め、理数科の成果をさらに発展させる新たな学科として、平成23年4月に探求科学科を開設することとしたものでございます。
この探求科学科につきましては、理数科の専門分野について学習を深める理数科学科と、人文・社会科学系の専門分野について学習を進める人文社会科学科の2学科を設置することとし、科学や探求的な学習に興味・関心の高い生徒に対し、普通科における通常の授業内容に加え、それぞれの専門分野の専門性をより深める教育活動を行いますとともに、みずから主体的に課題解決に取り組ませることにより、深い思考力、根気強い探求力、説得力ある自己表現力など、大学進学後や社会へ出てからより生きて働く総合力を体得させることを目指すものでございます。この総合力の中には、ゼミ形式の学習やフィールドワークなど実体験の学習を通して、豊かな人間性やコミュニケーション能力を含む対人能力、そして対社会能力の育成も含めていくことができればと期待をしているところでございます。
このため、探求科学科におきましては、大学受験という視点からは必ずしも近道にならないかもしれませんが、単に進学成績だけをよくするという狭い考え方から離れ、それぞれの分野における高い志を持った骨太の人材を育成するという富山ならではの教育の一つとして、県立学校全体の教育充実につながるよう取り組みを進めてまいりたいと考えております。
回答者:教育長(東野宗朗君)
県立学校の緑化等環境整備予算についてお答えしたいと思います。
学校施設の緑化など環境整備につきましては、これまで学校建設の際に校舎と一体的に整備を行ってきたところでございます。
県立学校における学校敷地の緑化、環境整備に関する22年度当初予算でございますが、総額で3,800万。内訳といたしましては、維持管理経費が2,600万、その他の経費が1,200万でございます。
具体的に申し上げますと、維持管理に係るものといたしましては、樹木の剪定を行う経費、雪つり等を行う経費などを計上しているところでございます。その他の経費といたしましては、植樹や花壇整備を行う経費といたしまして525万、グラウンドの芝生化に要する経費といたしまして680万を計上しておるところでございます。
次に、小中学校、幼稚園等の新設等の整備についてお答えしたいと思います。
公立の小中学校等の敷地を含めた学校施設の整備につきましては、設置者の市町村が国の安全・安心な学校づくり交付金による補助、起債などを活用し、これまで行ってきているところでございまして、県内では中庭の緑化、ビオトープなどの整備を進めてきているところでございます。
本県におきましても、花と緑の銀行やとやま緑化推進機構による樹木の植栽や苗木、球根等の配布、安心こども基金の活用やアドバイザーの配置によります学校ビオトープづくりへの支援などを行ってきているところでございます。これらを活用いたしまして、県内の学校において、ハト麦、チューリップなど地域の特産品を活用した花壇づくりをいたしますとともに、幼稚園や保育所におきましては、安心こども基金などの活用を行いまして、太陽光発電システムで発電した電気を利用して水を循環させますソーラービオトープの整備など、地域の特性を生かしてさまざまな取り組みが行われてきております。
議員御指摘のように、特色あるキャンパスづくりは大変大事なことだと考えております。県教育委員会といたしまして、小中学校等の設置者である市町村がこのような施策を十分活用されまして、特色あるキャンパスづくりが行えますように、いろいろと相談に乗ったり、助言を行ってまいりたいと考えているところでございます。
次に、県内の公立学校の井戸水等の活用についてお答えしたいと思います。
県立学校では、59校中40校で井戸水などを活用しておりますし、公立小中学校におきましては、富山市の調査がちょっとまだでございますけども、多くの学校で井戸水等が活用されているところでございます。県立学校では飲用、融雪用、散水用などに活用しております。公立小中学校におきましては、こうしたことに加えまして、教育用としてのビオトープ、プールに活用している事例が見られるところでございます。
環境教育の例といたしまして、具体的に申し上げますと、高岡市立中田中学校ではホタル養殖池を設け、ホタルの飼育に取り組んでいる。また、富山市の大久保小学校におきましては、学校敷地わきの大久保新用水の流れを活用したビオトープを設けまして、コイ科の淡水魚でありますハヤやエビモなど、地元にすむ動植物の繁殖を通して子供たちが勉強を行っているところでございます。
こうした地域の特色を生かした環境教育を通じまして、子供たちに命の大切さ、地域の魅力を体で実感として受けとめさせ、成長していくことが大切だと考えておりまして、「水の王国とやま」でございますので、今後とも地域、そしてPTAの協力を得まして、水環境を生かした学校の教育活動を一層支援してまいりたいと考えております。
次に、学校敷地内の土、水、緑の管理についてお答えしたいと思います。
県下の公立学校におきましては、小中学校を中心といたしまして、児童生徒がPTAなどと協力しながら校庭やグラウンドの草むしり、緑化、清掃活動などに参加している例が多いところでございます。実際は、広い敷地の除草などの恒常的な管理を児童生徒だけで行うことにつきましては、学習の問題、健康管理の問題などもございますために、児童生徒は主に花壇やグラウンドなどを担当するなど、すみ分けを決めて行ってきていると伺っているところでございます。
学校施設内の土、水、緑でございますが、子供たちにとりましては、日常的に繰り返しかかわることのできる最も身近な自然環境でございます。このようなことから、学校、PTA、児童生徒が協力いたしまして、花壇づくりや草むしりなど自分の母校の環境整備に、まず汗を流しながらみんなで力を合わせ取り組む体験を積み重ねる。こうしたことにより、自分たちの居場所は自分たちで整えるという意識を子供のときからしっかり醸成していくことが大切と考えておりまして、今後とも市町村教育委員会とともに努力してまいりたいと考えているところでございます。
次に、探求科学科への進学についてお答えしたいと思います。
探求科学科につきましては、入学後に文系に進路を変更する生徒が少なくないことなど、これまでの理数科の生徒の進路状況も踏まえまして、理数科に加え、今般新たに文系の人文社会科学科を設置することにしたところでございます。
また、選抜方法につきましても、中学段階で理系、文系の選択は難しいということもございまして、そうした中学校の意見などをお聞きいたしまして、理系、文系2学科を一括して、いわゆる総称「探求科学科」として募集することにしたところでございます。
県教委といたしましては、リーダーシップや探求的な学習に興味・関心、意欲を持ち、みずから主体的に学ぼうとする生徒の入学を期待しているところでございまして、そのような生徒の多様な個性や能力などを伸ばす教育の充実に努力したいと考えております。
今後、探求科学科が求めるこうした生徒像を示しながら、これまでも行ってきておりますけども、中学校での生徒、保護者など進路説明会等へ直接参加することを含めまして、設置者と中学校との意見交換、連携を密にし、その理解が進むように努力したいと考えております。
入学者選抜でございますけども、学科が目指す教育を踏まえまして、学力だけではなくて、中学校での生徒会活動、学校行事、部活動など、さまざまな活動に見られますリーダー性や粘り強さなどを総合的に勘案いたしまして、判断をしてまいりたいと考えているところでございます。
最後に、子供たちに起業の夢を持たせる教育についてお答えしたいと思います。
起業の夢、発想を持つことを含めまして、子供たちがみずからの将来の進路についてしっかりとした考えを持つことは、大変大切なことだと考えております。
学校教育におきましては、このため、一人一人の子供がみずからのあり方、生き方を考え、将来の職業の多様な可能性を見出し、勤労観をはぐくむことができるよう、発達段階に応じていろいろと取り組んできているところでございます。
具体的に申し上げますと、小学校でございますけども、職場見学やボランティア活動を通して身近な人の仕事や地域の産業について学ばせておりますし、中学校では、議員から御紹介のございました14歳の挑戦がございます。高校では地元企業でのインターンシップ、そしてまた専門学科においては、先進農家の実践的研修や模擬株式会社を設立しての店舗経営などで、企業のノウハウや手法などについても学んでいるところでございます。
議員から御指摘がございました14歳の挑戦が起業化へ効果があるかといったお尋ねでございますけども、18年度の県インターンシップ推進協議会の調査によりますと、14歳の挑戦の一期生がこの年大学3年生となりますので、インターンシップが3割増えたといったような調査もあるわけでございまして、14歳のときの初めての社会とのかかわりがしっかりと根づいているといったことがうかがえ、こうした体験はやはり起業化を進めます上においてもプラスに働くものと考えておりまして、今後とも取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
回答者:商工労働部長(戸高秀史君)
起業についての御質問のうち、起業の状況及び県の起業応援プログラムの効果についての御質問にお答えをいたします。
まず、県内の新規開業の状況につきましては、直近の平成18年度調査では、新規開業件数が2,916件で、前回の平成16年調査の年平均2,090件と比べますと、826件の増加、約1.4倍となっております。
一方で、廃業ですが、平成16年が3,398件でありまして、平成18年では3,286件と微減となっておりますけれども、全体としては廃業が新規開業を上回っている状況にございます。
業種別に見ますと、医療・福祉、ITなどで開業が廃業を上回っておりますが、卸・小売、製造、建設業では廃業のほうが上回っている状況にございます。
本県産業を活性化するためには、若い方々がさまざまな分野で創業や新事業展開に挑戦できるよう応援していくことが必要であると考えております。このため県では、先ほども知事が申し上げましたように、さまざまな支援策を実施しておりますが、特にとやま起業未来塾につきましては、30代以下の若い方が塾生の7割を占めておりまして、平成17年から5年間で129名の修了生を輩出しておりますが、うち全体の6割に当たる77名が創業、新分野進出を果たしております。これは商工団体で実施しておられます創業のための研修事業の創業率が約3割であることを考えますと、大変高い創業率と考えております。
また、修了生の中には、全国から引き合いのある技術を持つ企業に成長した事例も含めて、大変活躍しておられるケースも増えておりますし、学士会も設置をされ、起業者のネットワークが広がっている状況にございます。そういったネットワークの広がりを背景といたしまして、とやま起業未来塾の申込者も年々増加をしております。こうしたことから、若者が創業しようとする機運の醸成に一定の効果を発揮しているものと考えております。
次に、起業に当たっての資金の確保に関する御質問でございます。
起業に当たって、事業資金の調達は重要なポイントでございます。県では、低利な制度資金であります新産業・ベンチャー創出支援資金を設けまして、新規創業者が資金調達しやすいように設備資金、運転資金を低利で供給をしております。
この融資実績でございますが、平成21年度は131件、約8億8,000万となっております。これは平成20年度と比べて、件数で約2割の増加、金額で約3割の増加となっております。また今年度は、8月末までの5カ月間で59件、約4億2,000万円となっておりまして、前年同期と比べて件数、金額とも増加をしております。
本来、起業に当たりましては、しっかりとしたビジネスプランに基づいて事業が継続発展することが重要であります。金融機関や信用保証協会においては、そうした観点から事業計画や経営の見通し、資金計画等を審査され、事業計画が過大と思われる案件については計画の見直し等をアドバイスするなど、そういった過程を経た上で融資や保証承諾が行われているものと考えております。
石橋をたたき過ぎている以上であるというお話もございましたけれども、起業に当たっての信用保証の申し込みに対する承諾件数を信用保証協会に聞きましたところ、一般の場合大体9割程度でございますが、それとほぼ同様の9割程度の承諾件数というふうに聞いております。
ただ、お話のとおり、起業に当たっては資金の確保が大きなポイントになってまいります。県としては今後とも、金融機関や信用保証協会に対しまして、起業される方の将来性や企画力、技術力をきちんと評価をした上で円滑な融資を行っていただいて、起業のチャレンジを支援するように要請してまいりたいと、このように考えております。
回答者:観光・地域振興局長(五十嵐信夫君)
観光振興策としての飲食店の開業に関する質問にお答えをいたします。
観光振興にとりまして、食の魅力、まちのにぎわいは大変重要な要素であります。とりわけ地元の名物料理などを食べることのできるお店やおしゃれな飲食店は、まちなかや観光地の新たなにぎわいの創出、リピーターの増加につながるものと考えております。
県では、先ほど知事や商工労働部長から紹介がありましたが、創業・ベンチャー挑戦応援事業、とやま起業未来塾、低利の融資制度などを通じまして、飲食店の新規創業やまちなかへの出店について支援しておりますほか、市町村におきましても、空き店舗の活用など、まちなかでの出店を支援されているところでございます。
富山駅北地区につきましては、新幹線の開業により富山の玄関口となることから、にぎわいの創出に取り組んでおります。その中で環水公園では、喫茶店の開業により多くの人々でにぎわうようになってきており、やはり飲食店の立地が新たな観光スポットの創出の一翼を担っていると思っております。
さらに、富山ならではの食の魅力を全国に発信するため、越中料理やとやま食の街道など、食のブランド化の推進などに取り組んでいるところでございます。
今後とも、これらのさまざまな取り組みの積み重ねによりまして、まちなかや観光地において若者の飲食店の創業が進み、にぎわいの創出につながるよう努めてまいりたい、そのように考えております。
以上でございます。
回答者:知事政策局長(柳野隆之君)
まず、上海便についての御質問にお答えいたします。
上海便につきましては、ことし2月の上海航空と中国東方航空との合併後、両社の経営統合作業が進み、ことしの冬季ダイヤから大幅な変更が行われることとなったところであります。富山・上海便を運航することになる中国東方航空においては、富山空港と小松空港を一体的に運用することがビジネス、観光等における利便性の向上につながるとの考えから、運航日をこれまでの木曜及び日曜から火曜及び土曜に変更して、小松便と運航日が重ならないように運航日を変更すること、小松便との共通チケットを発行すること、こういったことを実施しますとともに、中国東方航空のネットワークを活用した上海からの乗り継ぎサービスの充実についても進めることとしているところであります。これらの変更等により、富山空港と小松空港を合わせて週6便体制となることから、空港利用者の利便性の向上が図られるものと考えております。
また上海は、経済成長が著しい中国の中で、今後も交流の基盤となる都市であることから、県といたしましても、今回のダイヤ改正等を踏まえ、旅行業者等とも連携しながら、また経済界の協力も得て路線のPRや利用助成の円滑な実施に努めるとともに、上海便のより一層の利用促進にも力を入れていきたいと考えております。
次に、リージョナルジェットについての御質問にお答えいたします。
現在、日本国内において開発が進められているリージョナルジェットは、旅客数が70人から90人程度の低騒音で環境に配慮された小型の航空機であり、燃費性能がよいことから低コスト運航が可能で、小規模需要の路線において採算性にすぐれているところであります。このため、近距離の都市間を結ぶ新たな高速交通手段として期待されているところであります。
リージョナルジェットを活用し、新たな国内路線の開設や過去に実績のある路線の再開、あるいは羽田便への就航などについて検討いたしますことは、北陸新幹線の開業を見据え、富山空港の価値を高めるための戦略として有効なものではないかと考えております。
過去に実績のある路線の再開を含め、新たな路線が就航するためには、就航地との間で一定の安定したビジネス需要や観光需要等があり、その旅客規模に応じた適切な機材があることなどが航空会社にとって重要なポイントであります。県といたしましては、こうした点を踏まえながら、今後リージョナルジェットを活用した運航について、富山空港を発展させる会を初め県内経済界等とも連携しながら、航空会社を初めとする関係機関に強力に働きかけてまいりたいと考えています。
以上でございます。