2010.06.18 : 平成22年6月予算特別委員会
質問者:吉田委員
11時を過ぎましたので、皆さんこんにちは。
まず初めに、本定例会前の常任委員会、経営企画委員会のほうで、ホームページについての説明が当局からありました。お願いしたと言えばいいか、こうすればいいんのではないかなと言ったところ、富山県のホームページのトップページに富山県議会のボタンをつくってくださったということで、スピーディーに対応され、すばらしいなと思いました。
富山県のホームページは、ぱっと見まして、ホームページの全部が見えるわけではないのです。トップページからずっとくっていかなくてはいけないということで、県議会のボタンはその一番下にありました。それで、せめて議会をやっているときには、今ネズミ色のボタンになっていますけれども、赤く点滅しているとか、議会をやっているのがわかるような改善も今後お願いしたいなと思います。
要らんことをまた言いますけども、一部の方からおもしろいよと言っていただいています、私の質問のときの妻とのやりとりでありますけれども、本日も、議会があるから子供おんぶして来いよ。と言いましたら、本当にいいかげんにしてくれということで、今回は、これ以上やると、私、うちへ帰ったらかぎがかかっていると思いますので、妻とのやりとりはありません。
今回は、街と緑について質問いたします。
街そして緑、それぞれに価値というものがあって、この価値をもう一度考えてみることが非常に大事ではないかなと思っております。
街の価値と言えばそれぞれありまして、今ほど、例えば水との関連の中で街の価値を高めていこうと五十嵐委員がおっしゃいました。私は今回、「緑」にテーマを絞って、街の価値を高めていくことを考えてみます。
緑の価値と言っても、本当にいろいろあると思います。特に今回は、都市、街の中の緑というものの価値に絞って議論したいと思います。
まず初めに、富山県下にはそれぞれ街がありますけれども、街の中の公園や公共施設、それからその街の中には当然家庭があるわけですけれども、その家庭の中の樹木、それから街路樹、さまざまな緑がありますけれども、これらの緑が街に対して果たしている役割、ここをまず確認したいと思います。
できれば、まちづくり部長というのがおられればその方に聞きたいのですが、今回は寺井農林水産部長にお聞きしたいと思います。
回答者:寺井農林水産部長
公園におきます樹木、街路樹などの街の中の緑の果たす役割でございますが、例えば公園におきます樹木は、目に映る緑や四季折々の花々、木陰の形成などによりまして、人々に安らぎと潤いの空間を提供しておりますほか、野鳥や昆虫などの自然との触れ合い、騒音の吸収、気温の調節など、さまざまな便益があります。
また、県や市の植物公園は、こうした機能のほか、子供から大人までの生涯学習に役立っているということもあります。街路樹は、都市景観だけでなく、快適な歩行者空間を提供するといった価値もございます。また個人でも、多くの皆さんが自宅の庭やベランダにおいて木や花を育てることを楽しんでおられますが、道行く人々の目も楽しませておりますし、中にはオープンガーデンとして開放していただいている方もいらっしゃいます。このほか、学校、お寺や神社、企業などの緑も地域住民に親しまれております。
このように、街の中の身近な緑は、潤いあるまちづくりや住民の余暇活動、健康づくり、環境保全、防災などに大きく寄与しておりまして、今後ともその価値を大事にしていかなければならないと考えております。
質問者:吉田委員
答弁いただいたように、都市の街の中の緑もさまざまな効果、役割があります。
まず初めに、街路樹から入りたいと思います。簡単に調べてきた範囲で、街路樹についての概要をお話ししたいと思います。
日本全国を見まして、各地域でどのような街路樹が植えられているのかを見てみました。例えば北海道では一番多いのがナナカマド。東北、北陸、中国、九州ではケヤキ。近畿、関東ではイチョウ。中部ではトウカエデ。トウは唐と書きますので、中国から入ったカエデということです。それから四国ではモミジバフウ。それから沖縄はフクギという沖縄独特の木ですけれども、それぞれ個性があります。
また、時代によってどのような街路樹が好まれているのかということを少し述べますと、1987年、1997年、そして2007年と、10年ごとの上位10種の移り変わりというデータがありましたが、ずっと変わらずイチョウは一番人気でして、そして昔、非常に植えられていたプラタナス──プラタナスというのはスズカケという木なので、「鈴懸の径」という言葉を使えばわかる方もおられると思いますけれども、そういうものがどんどん、最近になりますとハナミズキという木に人気が変わってきている。やっぱり街路樹の中でも時代による変遷というのは強く感じられます。
そして、私が今ほど申し上げたプラタナスというのは非常に成長が早い木で、街の景観を整えていくときには都合がいい面がある反面、いろいろ管理に手間がかかる。そういう管理ができること、それから成長の早さ遅さ、花が咲く咲かない、さまざまな観点がありまして、これらの木の人気が変化しているというのが実情だと思います。
まず街路樹についてですけれど、新しく設置する場合や、また入れかえする場合に、樹木の種類をどのような視点、プロセスで選んでいるのか、このことを牧田土木部長にお聞きします。
回答者:牧田土木部長
お答えいたします。
今ほど委員のほうから全国の街路樹の紹介がございましたが、街路樹が広葉樹の場合は、春の芽吹きや紅葉の秋を感じさせますし、常緑樹の場合は、雪景色の中で貴重な緑となるなど良好な景観を形成いたしますとともに、夏には道路利用者や沿道の人々に緑陰を提供するなど、街路樹は快適な道路空間を形成する上で重要な役割を果たすものと考えております。
委員御質問の街路樹の選定につきましては、植樹するスペースに適合すること、本県の気候風土に合致すること、近隣の植樹状況など周辺景観と調和すること、病害虫に強いなど維持管理が容易なことなどの観点を総合的に勘案しまして、現地にふさわしい樹木としてきているところでございます。
また、その決定に当たりましては、道路管理者である県から地元へ提案する場合、逆に地元自治会から県へ提案される場合など、ケース・バイ・ケースでございますが、いずれの場合も十分協議、調整を行った上で選定しております。
質問者:吉田委員
木を植えますと、今ほど部長がおっしゃったように、それぞれ管理をして世話をしなければいけないというのは当たり前のことですが、世話をしていくときに、今ほど紹介があったように、例えば肥料をやる施肥、剪定、水やり、枝打ちですとか、いろいろ管理をしなければいけないと思います。
まず、だれがどのようにこれらについて行っているかということを部長にお聞きします。
回答者:牧田土木部長
県管理道路における街路樹の維持管理につきましては、基本的には道路管理者である県が、専門業者であります造園業者に委託し実施しております。
その具体的な作業内容といたしましては、施肥は新芽が出るなど樹木が活動を始める春に、剪定は落葉樹の場合は落葉後の秋に、水やりは夏、降雨が極端に少ない場合に、病害虫防除は夏を中心に発見後速やかに行うなど、基本的に適時適切に実施しまして街路樹を健全な状態に保ってきているところでございます。
質問者:吉田委員
県道については基本的に県のほうで管理をしているということでした。例えば街路樹が育つに従って、道路、歩道、さまざまなところで問題が出てくると思うのですが、これらについてはどのような対応をされているかお聞きします。
回答者:牧田土木部長
街路樹の成長は、道路の風格を高め沿線地域の魅力向上、緑陰の増大等に結びつきますことから、それぞれの樹木が本来持つ樹形の美しさを保ちながら育成させることが大切であると考えております。しかしながら、街路樹が大きく成長した場合には、自動車や歩行者の通行に支障を来したり、道路標識、信号等の見通しが悪くなったりすることもありますことから、その場合は、道路交通の安全確保のため剪定をしてきております。
今後とも、街路樹の育成と安全な道路交通の確保との共存に配慮しながら、適切な街路樹の維持管理に努めてまいりたいと考えております。
質問者:吉田委員
今ほど土木部長のほうから、木が本来持つ樹形を大切にしながらという大事な言葉が出ました。
私は富山市に住んでいますので、主に富山市の状況が自分の目に入るんですけれど、例えば子供に木の絵をかかせると、三角形になる絵ですとか、大きく広がった木の絵ですとか、こういうのが普通なんですが、富山市の木の中でも、一部の道路に関しては、トーテムポールのような、木を育てるつもりで植えているのか、木を切るために植えているのかよくわからないような状況になっている街路樹も一部に見受けられます。
そして、この理由を考えてみると、もともとこの場所にこの木を植えて大きく育つことは不可能だったということであったり、それから、この広さがあれば本来もっと大きく育てて美しい街路樹の役割が果たせるのではないかということであったりすると思うのです。
これらのことをもっと綿密に計画して、また現状をしっかりと把握していただいて、これからの対策を打っていただきたいと思うところですけれども、部長、どうでしょうか。
回答者:牧田土木部長
今委員おっしゃられたとおり、木それぞれの樹形というものがございますし、剪定箇所ということになりますと、もちろん委託につきましては造園業者にお願いしておりますので、専門的知識は十分持っているわけでございますが、剪定には夏の時期、それから秋の剪定、いろいろございまして、そのタイミングを適切につかむということが重要でございます。なかなか本数も多いわけでございまして、すべてに十分手が回っていない状況もあり、委員御指摘のような、必ずしも本来持つべき樹形の形になっていないものもあると認識をしております。
質問者:吉田委員
今ほど部長のほうから、秋の紅葉という言葉が出ましたので特に付言したいのですけれども、せっかくいい感じに木が育ってきているな、色づくだろうなと思うと、ばつんばつんと切っていくんですね。これというのは、やはり一方では、虫がついたからとか物理的な理由はあると思います。でも、最終的に秋の紅葉を楽しむという目的でその木を植えているのであれば、そこにきちんと視点を置いて対応していただきたいなと思います。
それでは次に、保存すべき樹木、樹木群ということについてお聞きいたします。
また言葉から入りますけれども、「もり」という言葉がありますが、「森」と「杜」というのがあります。「杜」というのが、今私がとらえている街と緑についてというところで非常に大事な漢字になってくるのではないかなと思いますので、少しこの言葉について私の知る限り御説明したいと思います。
この杜を使う言葉に、例えば鎮守の杜ですとか、それから皆さんがよくお聞きの、東北の仙台市は杜の都と言われておりますが、調べましたら、もともとは森の都と仙台も書いていたそうで、昭和の初めに杜に変わったとのことです。仙台市は、「森」は自然の森で、「杜」はその街に住む人たちが長い年月育ててきた豊かな緑を指すと説明しているとのことだそうです。
具体的に辞書とかで調べてみますと、この「杜」という字はヤマナシという木の種類のことを指しているそうでして、「杜」という漢字自身には、門を閉ざすとか封鎖するという意味があるそうです。これが神社などの場合は、神社の中心に建物があって、その周りを木が囲んで神域を守っている。こういう言葉が「杜」であり、神社における杜の役割なんだそうです。
ここから考えると、街の中で私たちが緑を植えることの一つには、やはり都市の部分をしっかり緑で、いろいろな意味でそこに住む人たちを守っているんだよと、こういう役割を緑に求めたいなと思います。
まず最初に、市街地において歴史的価値を有する名木など、特に文化財指定された樹木がありますけれども、これらの把握、保護、管理の状況について、東野教育長にお聞きいたします。
回答者:東野教育長
街道の並木とか社寺の境内にあります歴史的な名木につきましては、学術上の価値が高く、郷土の自然を代表する樹木でございますので、文化財保護法あるいは県の文化財保護条例に基づきまして文化財として指定し、保護措置が講じられているところでございます。
現在、県内にございます国と県が指定した文化財の樹木は33件でございます。内訳を申し上げますと、国指定のものは氷見の上日寺のイチョウなど4件、県指定の樹木は浜黒崎の松並木など29件でございます。
文化財に指定された樹木につきましては、毎年、市町村教育委員会を通しまして確認、報告をいただいております。こうしたものを富山県文化財・文化施設等一覧として掲載し頒布しておりますと同時に、県のホームページなどで県民に紹介を行っているものでございます。
保護管理でございますけれども、現在、県が委嘱しております文化財保護指導委員というのが35名おりまして、例えば平成21年度ですと年間857件のパトロール業務を行っておりますが、こうしたことを通して生育状況の把握を行いますとともに、所有者あるいは市町村教育委員会からのいろいろな相談に積極的に応じております。
また、衰弱が認められる樹木につきましては、樹木医でございます文化財保護指導委員がおりますので、診断を行っていただきまして、保存修理事業として市町村や所有者に助成を行っているものでございます。委員から御指摘のように、地域住民の宝を地域とともに守っていきたいと思っております。
質問者:吉田委員
今ほどは、文化財として指定された特に価値のある木について、教育委員会のほうで把握して保存管理に努めていただいているということですが、これらに指定されたもの以外で価値がある緑というのも街にはたくさんあると思うのです。
今、公園というのは当然、緑が基本ですから、そこのところは公園として管理していけばよいだろうと私は思うんですけれども、公園以外にも、敷地の中に緑を非常に蓄えている場所というのが都市部にもあると思います。例えば学校の敷地内ですとか、それから県庁もそうでしょうけれども、公共の施設の敷地内。もう1つ気になると言えばいいか大事に考えなければいけないのは、最初に「杜」という言葉のときに申し上げた神社ですとか仏閣ですとか、こういうところの中の敷地にある樹木あるいは樹木群、これらを私たちは別の視点から、文化財に指定するからということではなくて、地域の財産として残していくことを考えなければいけないと思います。
これらの把握状況について、新川生活環境文化部長にお聞きいたします。
回答者:新川生活環境文化部長
県では、昭和63年度から平成2年度にかけて、国の調査と県独自の調査を組み合わせて、巨木・名木保全調査を実施しております。
この調査における巨木、名木の調査件数は、全体が1,221件でありまして、うち文化財以外は1,014件。また、あわせて調査が行われております巨木林、林のほうですけれども、巨木林は39件で、うち文化財以外は23件となっております。
そして平成4年には、この調査結果をもとにしまして、県内各地の代表的な巨木、名木等を紹介する冊子を取りまとめております。この冊子で紹介しておりますのは70件でございますけれども、このうち文化財等に指定されていないものも13件含めて紹介しております。
この調査には、市町村が独自に指定しております保存樹木も含まれておりまして、このような巨木、名木は、長い年月をかけて地域住民の皆さんに親しまれるようになったものだと考えており、地域の皆さんにとっては悠久の文化財だということで大切にしていただきたいと考えております。
質問者:吉田委員
今ほど部長のほうから件数について報告をいただきました。もしわかるものであれば、例えばその中で、今問題にしている都市部の大ざっぱなパーセントですとか、それから県下、東西ありますけれども、どちらのほうに多かったとか、概観でいいんでお伝えいただければと思います。
回答者:新川生活環境文化部長
お答えいたします。
この調査では旧市町村ごとの数字が載っております。ですから、市町村ごとの数字はわかりますが、富山市の中の数字で言いますと、例えば富山市は、先ほど申し上げた1,221件のうち74件となっております。
また、所有形態別も出ておりまして、所有形態別では、社寺──お寺さんや神社ですね──、個人、国、県、市町村、その他、不明となっておりまして、例えば富山市の場合は、先ほど申し上げた74件のうち社寺で46件となっております。
それぞれこの74件なり46件がどこのどういう名木なり巨木であるかというものもデータとして載せておりますので、それは個々にまたごらんいただきたいと思います。
質問者:吉田委員
今ほどの話では平成4年の調査ということですので、既に15年近くたっておりますから、また調べていただきたいなと思います。
それでは次に行きます。緑を効果的に活用した景観づくりについてお聞きします。
先般、スイスのバーゼルに知事が行っておられたときの話ですけれども、自民党の政調会勉強会で、杉本議員、中川議員、五十嵐議員、そして私も同行しました。
そのときに私は、薬のことはもちろんですが、初めてそちらのほうに行きましたが、バーゼル、これはスイスです。それから、フライブルクがドイツ、ストラスブールがフランスですけれども、それぞれの都市が都市として非常に魅力があるなと思いました。その理由の一番大きなところは、やはり非常に大きな緑を保存している、そういう努力があるなということを肌で感じてきたところです。
その場で、どうしてこんなに緑がすごいんですかと聞いてみたのですが、それはもちろん行政が努力しているけれども、地域が、それから家の前に木がある人自身が、さまざまな形で協力してその木を育てる努力を仕組みとしてやっているのだよ、ということを聞きまして、こういうことを富山県でも進めるべきではないのかなと思います。
近隣住民あるいは関係者に管理をしてもらう仕組み、これらを考えてはどうかと思います。牧田土木部長にお聞きいたします。
回答者:牧田土木部長
県管理道路の街路樹の管理に当たりましては、剪定、施肥、水やりなどの作業を行うこととなりますが、このうち剪定につきましては高所作業を伴うことが多いこと、剪定箇所の判断に専門的な知識を要すること、また施肥につきましては、樹種によりその時期や量が異なることなどから、住民の皆さんにお任せすることは難しいと考えております。
一方、水やりのほか、植樹ます内の草刈りや清掃などにつきましては、これまでも地域によっては、沿線の自治会や企業、学校など、道路愛護ボランティア団体の協力をいただいているところでございます。また、夏におきまして雨が極端に少ない場合には、特別に沿線住民の皆さんに水やりの協力をいただいているところでもございます。
今後とも、道路愛護ボランティアの活動等を通しまして、より多くの県民の皆様に、街路樹も含めた道路の維持管理に参加していただきまして、地域の方々に愛される道路となりますよう努めてまいりたいと考えております。
質問者:吉田委員
今ほどは部長のほうから、それぞれの管理について、区分けをしての御説明をいただきましたけれども、今、民間と言えばいいか地元には、それぞれエキスパートというか経験者も多うございますので、樹木の剪定ができないかというと、そういうこともないと思います。それぞれの部分についてできる範囲、もちろんそれは安全面とかの問題もあると思いますけれども、費用の面も含めて、いろいろな検討をいただきたいと思います。
それでは次に行きます。
街の緑ということを考えましたときに、私自身、日本の中で一番緑が少ないのはどこの都市かなと思いましたら、勝手に大阪が頭に浮かびました。それがいいかどうかは別ですけれども、大阪には街の緑に対する政策はあるのかどうかということでホームページを見てみましたら、幾つか気になるところが出てきました。
大阪市では花と緑のまちづくり推進基金というものがあって──当局直接のものではないのかもしれませんけれども、さまざまな助成制度をつくっています。例えば屋上緑化、あるいは壁面の緑化、そして敷地の緑化や生け垣などによる緑化。それからもう1つは、別建てで、先ほど申し上げた保存すべき木や樹木群、これらに対して努力することについて助成をする。さまざまな観点から、政策として、街の緑を保存し、そして大切に育てていこうということが見受けられました。
具体的に気になったのは、街のシンボルツリーという考え方があって、それが何の木なのかは別としても、イメージとしてわかりやすく、地域が一体となってこれらの緑を育てていこう、大切にしていこうということを考えたら、シンボルツリーという考え方も非常によい視点ではないかなと思います。これを公共の場所に植えるだけではなくて、敷地がある程度広い家にはその木を植えていただくとか、こういうことも作戦としては非常に有効ではないかなと思います。
これらのことについて提案ですけれども、進めてみる。この考え方はどうか、土木部長にお聞きします。
回答者:牧田土木部長
幹線道路などに面しました民有地の生け垣等の緑化につきましては、緑化推進に関する条例制定や緑地協定の認可を行っております市町村が主体となって取り組んできているところでございます。
県内では、高岡、滑川、砺波の3市におきまして、民有地の生け垣などの緑化を推進するために助成制度が設けられておりますし、樹木の保全育成につきましては、富山市など4市町におきまして、緑化推進に関する条例や要綱に基づき、指定する樹木に対し助成制度が設けられております。
一方、県におきましては、景観づくりの観点から、民有地の緑化などに支援を行っておりまして、県景観条例に基づく景観づくり住民協定で指定された地域や景観づくり重点地域に指定された地域における修景や緑化などに対し、市町村とともに助成しているところであります。
県といたしましては、今後とも市町村と連携し、これらの助成制度によりまして、緑を効果的に活用した潤いある景観づくりを進めていきたいと思っております。
質問者:吉田委員
今ほど部長から生け垣の話をしていただきましたけれども、例えば大阪の場合、具体的には200万円が限度となっているのですが、非常に大きな額。ブロックだったものを撤去することについては全額、そして新しく入れかえする植栽については200万円を限度として。これらをやった後は、必ず5年間きちっとそれを育てて緑のためにお金を出しているんですよという、その成果も含めて一つのプランとなっている。これらのこともまた参考にしていただいて対策を打っていただきたいなと思います。
それでは次に入りますが、緑の都市宣言というのを見つけましたので、これを読ませていただきます。「緑は、すべての生命の根源であり、自然の健やかな脈搏そのものである。人類の生存と繁栄のために、失われゆく緑を回復し、保全し、発展させ、かけがえのない自然を守り続けたいと願う。この願いをこめて私たちすべての市民は、うるわしい自然を今に伝え誇り高き“森の都金沢”を永遠の緑のまちにすることを宣言する」。昭和49年に金沢市がこういう宣言をしています。
何で金沢市のことを言ったかといいますと、私たちはいつも富山市と金沢市を自分たちの中でライバル意識を持って比べているのですが、特に街の中の緑ということに関しては、相手さんはもともと財産がありますけれども、それを有効に活用して街の魅力づくりに生かしているのではないかなと思います。
それで、都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律、略すと樹木保存法という法律なんですが、これが昭和37年に制定されて、これが今も現行法として生きています。この法律で保存された全国の状況を調べてみました。そうすると、富山県はありませんで、金沢市が指定されており、保存樹124本、保存樹林として18万平米で、これは全国でも一番多いんですね。これらの具体的な指定により樹木を保存していこうという政策を金沢市はやっていたんだなと改めて勉強しました。
翻って、私たち富山県に戻って、これは市町村がそれぞれ具体的に行っていくことだと私も認識しておりますが、今の樹木保存法という法律が県内の街の緑の問題について有効に活用されているのか、このことについて土木部長にお聞きいたします。
回答者:牧田土木部長
保存樹木や保存樹林につきましては、樹木保存法に基づきまして、都市における美観風致の維持を図るために、都市計画区域内の樹木や樹林などについて市町村長が指定することができるとされておりますが、県内では、今、委員がおっしゃいましたように、この法律に基づき指定されたものはございません。しかしながら、今ほどお答えしましたように、それぞれの市町村が独自に、その対象範囲や保存に対する助成措置を盛り込んだ法律よりもきめ細かな緑化推進に係ります条例や要綱を制定しまして、それらに基づき保存樹等の指定がなされているところでございます。具体的には、平成21年度末で、富山市や高岡市など4市町におきまして、保存樹が799本、保存樹林が51カ所、面積として約14.5ヘクタールなどが指定されております。
このように、法律による指定はないものの、市、町における条例等によりまして都市内の貴重な緑が保存されており、これら市、町の条例等は、都市における美観風致の維持に効果があるものと考えております。
質問者:吉田委員
背景の法律や条令は何でもいいと思います。実際にそれぞれの保存すべき緑が適切に保存されているということが一番大事じゃないかと思います。
それでは続きまして、これは街の問題ですから、街の中には都市計画というものがあるのですが、都市計画の中での緑の位置づけを明確にして、そして先ほどからいろいろな答弁の中に出ておりますけども、やはり地域の住民や人の手を借りるということが非常に大事じゃないかなと思います。
住民参加となったときに、基本的にワークショップという手法がぴんと頭に浮かぶのですが、ワークショップをやっていくときに、緑というのは非常に使いやすい、相性がいいんじゃないかなと思います。このことについて、引き続き土木部長にお聞きいたします。
回答者:牧田土木部長
都市緑地法の条文によりますと、「市町村は、都市における緑地の適正な保全及び緑化の推進に関する措置を総合的かつ計画的に実施するための基本計画を定めることができる」とされており、県内14市町村におきまして、この「緑の基本計画」が策定されているところでございます。
同法では、この計画を定めようとするときは、あらかじめ住民の意見を反映させるために、必要な措置を講じた上で、緑地の保全や緑化の目標、またその推進のための施策に関する事項等を定めることとされております。
この住民の意見を反映させるための手法としましては、公聴会や説明会の開催、アンケートの実施、インターネットによる意見募集などがありますが、近年、都市マスタープランの策定等におきましてワークショップの手法も活用されておりますので、緑の基本計画を策定する際にも有効な手法であると考えております。
質問者:吉田委員
今ほどの各市町村でそれぞれということはもちろんですけれども、特に価値がある街の中の緑について、県下各市町村それぞれなんですが、統一した取り組み、また富山県全体としての啓発活動を行うべきと考えます。例えば市町村ごとの街路樹の特徴、そしてそれらの所在、これらについてのマップなどをつくってはどうかと思います。牧田土木部長にお聞きします。
回答者:牧田土木部長
緑豊かな都市づくりのためには、街路や公園などの緑の確保はもとより、地域住民みずからが緑化に努めることが極めて有益でありまして、そのための啓発活動は大変重要であると考えております。
先ほど五十嵐委員の御質問に対し知事のほうから御答弁がございましたが、県では、関係機関と協力して、平成23年春に『第22回全国「みどりの愛護」のつどい』を開催することとしております。このつどいでは、緑化に関するボランティア活動の紹介や、花と緑の愛護に顕著な功績があった団体等の表彰などを予定しておりまして、県民の皆さんの身近な緑への関心と緑を守り育てる機運がさらに高まるものと考えております。
また、市町村におきましても、都市緑化イベントなどを実施していること、「けやき通り」など道路の愛称として街路樹の名前を使用していること、桜並木などを観光パンフレットに掲載していること、巨木や名木のマップを作成していることなど、それぞれ工夫を凝らしながら都市緑化の啓発に努められているところでございます。
今後とも、市町村と連携し、県民の皆さんがより愛着を持って都市の緑を守り育てていけるよう、啓発活動に努めてまいりたいと考えております。
質問者:吉田委員
それでは、少し具体的なところに入りたいと思います。
今、私たちは県庁敷地内にいますけれども、県庁のところでも南別館改修工事を行いました。あそこは県庁本館があって南別館があり、道路を挟んで桜並木があって、緑があって、また桜があって、城址公園があってと、非常に重層的な、富山の中でもすばらしい緑化の地域じゃないかなと思っています。
今回、改修が行われましたが、当然、このときにも緑の役割について御配慮があると思うのですが、実際どうだったのか、出口経営管理部長にお聞きします。
回答者:出口経営管理部長
県庁の南別館は、建設以来47年余を経過いたしまして、松川側では、壁面の表面が浮き上がったり、一部剥離が進行していたということもありまして、壁面の改修工事を行いました。この工事にあわせまして、外壁の柱部分に壁面緑化を施したり、壁面前の植栽帯には、桜、モミジ等の樹木やハーブの植栽などを行ったところであります。
具体的には、壁面緑化としまして、9本の柱部分にそれぞれプランター7段を配置し、上の5段にはツタを、下の2段には季節に応じた花を配しているところであります。また、植栽整備としまして、既存のツバキやニシキギなどに加えまして、新たにコシノヒガンザクラなど8本の桜を植樹いたしまして、松川沿いのソメイヨシノの桜並木との調和に配慮いたしました。
さらに、薬都富山をイメージし、親しみやすい薬草としてハーブを植栽するなど、今回の改修工事におきましては、松川沿いを通行される方々に花と緑を楽しんでいただけるよう、施設の緑化に十分配慮したところでございます。
質問者:吉田委員
県議会では常に新幹線のことが話題になるのですが、私自身は、新幹線は早く来ればいい、来るものだろうと思っていますけれども、来たときに、実際、私たちの街がどうなるのか、このことに非常に関心を持っています。そして、せっかく先輩方の努力で新幹線が富山にやって来る。そしたら、やはり駅周辺は大きく変わるわけです。このときに、チャンスだと思います。緑というものをいかにまちづくりの中に、配慮するというよりは、私は緑を主役にして街をつくるぐらいの動きが出てきていいのではないかなと思います。
今回、私は土木部長に答弁を求めますけれども、これは私に対してでもそうなんですが、自分たちの街だから、やっぱりこんな街がいいよね、こういうふうに街をつくったらどうか。先ほどワークショップという言葉もありましたけれど、それぞれやはりいろんな意見を持って出さないことには……。何も言わないから、そして最終的には自分たちが関与した街じゃないから、プランニングからつくった街じゃないから、自然にいろんな不満を言う。非常に悪い展開が通常どこでも見受けられます。
私はこの富山駅、それこそ富山県の玄関口で顔ですから、やっぱりいろんな人がもっと関心を持って──たまたま私は今回緑ということで提案しますけれども、そういうまちづくりに、ああでもないこうでもない、こんなのはどうかといって、本当に期間は限られていますけれども、こういうことがぜひこれから進んでほしいなと思います。
改めて、県の玄関口の富山駅、そしてこの周辺地域の緑化整備をどのように進めるべきと考えているのか、土木部長にお聞きします。
回答者:牧田土木部長
今ほどの新幹線の開業に伴うところの御質問にお答えさせていただきます。
富山駅周辺では、鉄道・運輸機構が整備します北陸新幹線建設事業と県が整備します連続立体交差事業、さらに富山市が駅前広場などの駅周辺整備事業を進めておりまして、これらの施設が調和した景観となりますよう、県では富山市と共同で富山駅周辺景観デザイン検討委員会を設置しまして、平成20年末に景観デザイン計画を取りまとめております。
富山駅周辺地区は、にぎわいのある広域交流拠点となるほか、全国からの来訪者のもてなしの空間ともなりますことから、この計画では、駅からの立山連峰や呉羽丘陵など、自然景観への眺望に配慮の上、駅前広場につきましては、富山の四季や自然を感じられるような樹木や季節を彩る花を配置するほか、LRT軌道内に芝生を張るなど、緑化に配慮した内容が盛り込まれております。
県としましては、富山市と連携して、富山駅周辺が城址大通りやブールバールなどの緑豊かな街路樹と融合した美しい都市景観を形成し、県都の玄関口にふさわしい魅力あるものとなるよう努めてまいりたいと考えております。
質問者:吉田委員
次の質問に入る前に、皆様に資料を配付したいのですが、ご許可をお願いします。
回答者:横山委員長
はい、許可します。
〔職員、資料配付〕
質問者:吉田委員
お手元に配付しました資料は写真2枚のものですけれども、どちらも「富山県議会四カ年の回顧」という冊子から取ってまいりました。上の資料は昭和42年5月から昭和46年4月の間の冊子から、下の資料は昭和46年5月から昭和50年4月の間の冊子からです。
これはすごく古い写真かもしれませんが、私は見て非常にびっくりしました。ちょうど40年近く前になるものですから、私が生まれるころの県庁というのはこうだったのだなと改めて思いました。
そして、びっくりしましたのは、建物は変わっていないのですが、緑に注目していただきたいと思います。まず上のほうの写真ですけれども、県庁公園のところの木が本当に小さいですね。ぽつぽつ植えていて、そして県庁、議場のある敷地のところ、今は見ていただいてのとおり非常に大きな杉がありますけれども、これも植えたか植えていないかのような感じ。そして、下の写真を見ると、噴水から県議会の議事堂が見えるという、今はあり得ない状況になっているのです。それだけ緑が大きく育ったということを見ていただこうということで資料をお持ちしました。
今、私たちは、この地域にあっても、非常に豊かな緑を享受できる場所が県庁周辺にはあるのですが、これはだれかが種まきをして、これからのためにやってくれた仕事なんだなと。このことをきちっと感謝しなければいけないなと改めて思いました。だれかが木を植えないと木は育っていかない。そして、育つ過程の中で、いろいろな人が関与して地域の財産になっていく。こういうすばらしい効果があると思います。
改めて緑というものが、私たちのまちづくり、地域にとって重要な財産であるということを認識したのでありますが、富山県は、さまざまな計画の中で、平成13年に花と緑の新世紀プランを作成しております。非常に中身のあるプランではあります。けれども、これは非常に時間がたっていると思いますし、石井知事になられる前の話でもありますので、私はこれらのプランを、特に都市の緑を重視した新しいプランに見直す時期に来ているのではないかなと思います。
先ほど申し上げた新幹線の開業という大きな要素もあります。これらのことについて知事にお考えをお聞きします。
回答者:石井知事
平成13年に策定しました富山県花と緑の新世紀プランにつきましては、県民の皆さんの御協力、また花と緑の銀行の事業の効果、もちろん県、市町村、企業、いろんな方々の御協力をいただいているわけですけれども、県内各地で花壇づくりなどの地域活動も大変活発になっていまして、県政世論調査でも「豊かで美しい森づくり・花と緑の地域づくり」が3年連続で満足度の高い施策の第1位となるなど、おかげさまで、それなりに順調に来ているのかなと思います。
ただ、おっしゃるように、現行のプランは、現在の元気とやま創造計画を策定した際に一部手直しはしたのですが、それから5年近く経過しまして、本県をめぐる社会経済情勢も想定を上回るスピードで変化しております。また、今、委員もおっしゃったように、北陸新幹線の開業という地域社会に非常に大きな影響を与えることも、あと4年ちょっとでということになっております。
また、自由民主党の代表質問、本会議でお答えしましたけれども、この花と緑のプランの上位計画である元気とやま創造計画についても、平成24年度を起点とする10年程度を見通した計画にしようと、この秋に本格的な検討に着手することにしていますので、この際、これとあわせて、現行の花と緑の新世紀プランも見直す方向で検討したいと思っております。その際には、広く県民の皆さんの意見をお聞きしながら、できるだけ抽象論じゃなくて、具体的な内容を盛り込んで、美しく豊かな本県の緑をしっかり守る、そういう方向の中長期のプランにしたいと思います。
先ほど経営管理部長から御答弁申し上げましたが、例えば県庁南別館の改修ですね。壁面緑化とあわせて植栽整備をして、新たにコシノヒガンザクラなども植えましたが、あわせて、薬都富山ということで、親しみやすい薬草、ローズマリーとかタイムといったようなハーブも植栽しましたが、これは実は、中小企業の皆さんとの対話とかタウンミーティングなんかでこういう御意見がいろいろ出たんですね。そういう県民の皆さんの意見を生かして進めているわけであります。
新幹線開業に伴う富山駅とか、周辺地域の緑化のお話も委員から出ましたが、これはちょっとややこしいのですが、連続立体は県の事業、それから新幹線の軌道や駅舎や線路はもちろん機構がやる。そして駅前広場は富山市がやるということですが、ばらばらになっちゃいかんということで、今ほど答弁にもありましたように、県、市、また機構やJRにも入ってもらって、一体的にこのプランのデザインをつくっているわけです。さらに各論になってきますから、委員の御意見ももちろん、県議会、また幅広い県民の皆さんの御意見をできるだけ生かして、花と緑あふれる豊かな魅力ある富山県にしていきたいと思っております。
質問者:吉田委員
知事の最後の御説明でもありましたように、確かにまちづくりをしていくときには、組織とすれば、きちんと分かれてしまって、それぞれが仕事をすることで街をつくっていくのですが、今、緑の話になったときに、緑だからこそ住民が自主的に参加できるという要素があると思うので、今の話をお聞きして、やっぱり自分たちの街は自分たちで、そういう機運を高めていくことを本当に急いでやらなければいけないなという思いを新たにしました。
それでは、街の緑について問題を続けてきましたけれども、最後になりますが、緑を街の中に増やしていこうということは、実は一方で、よいはずの緑により住民の方々が困っているという、さまざまな問題が出てきているのも事実です。
北日本新聞のほうにタイムリーに記事が出ておりました。富山市のことですが、街の中の緑、そしてそこに集まってくる鳥によって、さまざまな困った問題、状況になっている。これらのことについて、少し問題を明らかにしていきたいと思います。
まず、市街地の中で、近年、鳥によるふん害、あるいは鳴き声による騒音、これらのことが問題になっているとお聞きします。実際の被害の状況についてどのように把握しておられるか、新川生活環境文化部長にお聞きします。
回答者:新川生活環境文化部長
近年、県内の市街地では、カラスやサギなどの被害が発生しております。
富山の城址公園や高岡古城公園では、カラスのねぐらとなっていることによるふん害及び鳴き声による騒音。また富山市の護国神社や鹿島神社では、サギのコロニー──集団営巣地でございますけれども、ねぐらとなっていることによるふん害や騒音。そして富山市の駅北地区では、秋にムクドリが大群でねぐらをつくることによる騒音などがありまして、都市環境の悪化や住民の生活環境への被害が発生しております。
なお、平成20年に、特に被害の大きいカラスについて市町村から聞き取り調査を行っております。そして、市町村に寄せられております苦情件数は、平成17年度は148件、18年度は186件、19年度は204件と増加傾向を示しております。ただ、そのうち富山市につきましては、平成17年度は7件、18年度は16件、19年度は18件と増えておりますが、平成20年度は5件、21年度は2件というように、苦情件数は20、21年度と減っている実情にございます。
質問者:吉田委員
今ほど部長のほうから、カラス、サギ、ムクドリと名前を挙げていただきました。これらについての県全体での近年の個体数の変化、生息域についての把握状況を引き続きお聞きします。
回答者:新川生活環境文化部長
カラスにつきまして、平成21年度に県が行いました調査では、県内に4つの大きなねぐらが確認されております。富山の城址公園、高岡古城公園、氷見の朝日山公園、射水市の黒河周辺であります。そして、この4つのねぐらを含めて、県内で約2万4,600羽のカラスを確認しております。
富山の城址公園周辺に限れば、これは富山市が行った調査でございますけれども、平成17年度は約6,000羽、19年度は1万1,900羽と増加しておりますが、21年度は約5,900羽に減少しております。これは、先ほど申し上げた苦情件数の増減を反映、裏づけているものではないかと考えております。
そして、生息域や個体数の変化につきましては、専門家の意見でございますけれども、まず個体数については、カラスとムクドリは生息環境にあまり変化がなく、大きくは増えていない。ただ、サギは全国的にも、また県内でもアオサギが増加傾向にあるということです。また、生息域については大きな変化はないと聞いております。
質問者:吉田委員
さまざまに状況が変化している。そして、サギについては特に内水面漁業の問題との兼ね合いもあると思いますので、またそれは別途取り上げたいと思いますが、今回、街なかの問題として、鳥には、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律、鳥獣保護法という守る法律があって、木には、都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律、樹木保存法と、それぞれの立場を代表した法律があります。
これはやっぱり、どのようにそれぞれの法の趣旨を理解しながら適用していくのが、本当の意味で街の価値を高めていくことにつながるのか。要はバランスということですが、この点について、生活環境文化部長に引き続きお考えをお聞きします。
回答者:新川生活環境文化部長
まず、鳥獣保護法の基本的な考え方でございますけれども、鳥獣は自然環境を構成する重要な要素の一つであり、人と鳥獣との適切な関係を構築するため、個体数の管理、生息環境の管理及び被害防除対策の実施による総合的な保護管理が必要であるというのが基本的な考え方です。
もう1つの樹木保存法でございますけれども、都市の美観を維持するため、幹周囲が1.5メートル以上、あるいは高さが15メートル以上の健全かつ樹容が美観上すぐれた樹木などを保存しようとするものであります。
そして、鳥獣も緑も自然環境の重要な要素でございます。この2つの法律の直接の目的は違っておりますけれども、互いに反する関係にあるというものではないということから、この両者の調整は十分可能であると考えております。
質問者:吉田委員
今ほど部長から対立するものではないと。そして、自然の中ではもちろんそうだし、街の中でもそれぞれが大事な街の役割を果たすんじゃないかなと思いますので、今後の考え方の進展を見たいと思います。
最後になりますが、具体的に鳥のふん害と騒音で困っている方がいらっしゃるわけで、これについてどう対応するかということを考えたら、単純に木があるから鳥が来るのだから木を切ればいいじゃないかというのは、これはあまりにも安直です。
私が申し上げたいのは、木は何にしても時間がかかるんですね。鳥はどんなに長く生きても、そんなに100年、200年生きるわけじゃない。同じようにして切ってしまう。同じことをすると、実際に修復したり改善したりするのに時間がかかるのは明らかに木なんです。だから、この木を切ってしまうというのは、本当に考えられるすべての手を尽くした上で、しようがないから切りましょうと、涙をのんで切りましょうと、これぐらいの覚悟で切っていただきたいなと思うのです。
私の知る限り、問題が起こったらあまりにも簡単に切らざるを得ない状況になってしまう。先ほど神社の話も出ました。護国神社、鹿島神社と名前が出ましたけれども、特に神社域の木というのは、それこそ私たち人間が富山市に住む前からあった大切な木じゃないですか。これを後から住んできた人間が、都合が悪いから切ってくれというのは本当に身勝手な話じゃないかなと思うのです。でも、そこの住民の方も、最初から鳥が来るのがわかっていてそこに住んだわけじゃない。いろいろな要因が重なってこういう現状になっている。
だから、私はこのことについては、もっと僕ら人間として知恵を絞って、あらゆる選択肢を模索した上で対策を打っていくべきじゃないかなと思います。何か考えがあれば新川部長にお聞きしたいと思います。
回答者:新川生活環境文化部長
鳥の被害を防ぐ方法でございますけれども、今おっしゃったように、木を切ってしまうというのは、否定はできない1つの方法ではございますけれども、それだけではない、いろんな方法があるということで、それを組み合わせて実施していくことが大事ではないかと考えております。
鳥の被害を防ぐ方法としては、1つは、ねぐら対策とえさ対策の2つの面から考える必要がございます。例えばねぐら対策としましては、先ほどの木を切るというのは、ねぐら対策として木を切るというお話だと思うのですが、そのほかにも、樹木に糸を張って鳥が寄りつかないようにするとか、あるいは不安定な覆いをして鳥がとまれないようにするというような方法もございます。
また、えさ対策としては、例えばカラスの場合は、ごみ集積場を金属製のボックスにしたり、あるいはネットやシートで覆うなどという方法があります。
このように、えさ対策とねぐら対策の2つを組み合わせてやっていくというのが鳥対策の基本でないかと考えております。
ことし2月に、県ではカラス対策基本指針というものを取りまとめております。この直接の対象はカラスでございますけれども、この内容は、ムクドリとかサギなど他の鳥類にも適用できる点が多いことから、今後、この基本指針のPRに努め、また市町村でも活用していっていただきたいと考えております。