2011.03.07 : 平成23年2月定例会 一般質問

質問者:5番(吉田豊史君)

 始めます。
 初当選以来、1年目の12月定例会を除き、すべての定例会で質問の機会をいただき、今回で通算15回目の定例会質問になります。1期4年間、多くの質問の機会をいただきましたことに、改めて感謝申し上げます。
 さて、いきなりですが、皆さんはユキワリソウという山野草が富山に縁の深い植物だということを御存じでしょうか。
 ユキワリソウは、キンポウゲ科ミスミソウ属(へパティカ)の園芸名で、日本には4種類が自生しており、最も注目されるオオミスミソウの自生地は日本海側で、ユキワリソウの中でも変化の幅が大きく、さまざまな色や形が楽しめ、しかも性質が丈夫であるため、交配に熱中する愛好家も多いとあります。紫やピンク、赤が基本の花の色なのですが、黄花と言われる黄色のユキワリソウがあり、それが我が富山県の八尾の山で昭和62年ごろに発見されているのです。魚津の松倉城近辺でも別の黄色の原種が発見されており、ユキワリソウの世界では、この富山の黄花が確固たる地位を占めているそうです。
 今、富山県ではブランドという言葉をキーワードに、地域の力を高める戦略を描いています。ユキワリソウはとてもよい素材だと思います。名前のとおり、雪を割って花を咲かせる力強さ、そしてあわせ持つ慎ましさは、まさに富山県民そのもので、富山の宝だと再認識いたしました。ちなみに、花言葉は「はにかみ屋」だそうです。ぴったりです。
 1問目は、個人情報保護制度についてお聞きします。
 この問題については、昨年の9月定例会で宮本議員が、個人情報と地域コミュニティーということで、重要な質問をなさっています。私はかねがね、これからの地城社会の方向は、改めて連携を図り、顔の見える地域を再生する、お互いが支え合い、頼り合う関係を再構築するしか方法はないと確信いたしておりますので、この個人情報保護法への理解の現状をとても苦々しく思っておりました。宮本議員の質問と当局の答弁はとてもわかりやすく、私自身も地元の報告会などで世話役の方々にこの情報をお渡しし、大いに助かったとの声をいただきました。  ところが、先日、市議会議員との意見交換の中で、例えば、富山市には富山市で個人情報保護条例というものがある。これと国の定める個人情報保護法との関係はどうなっているのだろうかと、こういう疑問が浮かび上がってまいりました。
 まず初めに、個人情報の取り扱いについて、国の定める個人情報保護法と地方自治体で制定する条例との関係をどのように理解すべきなのか、出口経営管理部長にお聞きします。  先ほどの市の条例では、市が保有する個人情報の提供については、本人の同意がある場合とか、人の生命、身体、または財産の保護のために緊急を要する場合に限られますとあります。地域の活性化のために、あるいは住民サービスの向上のために行政は存在するというのが大前提です。しかし、今進めようとしている地域の連携が、より効果的かつ自主的な地域の姿を求めているにもかかわらず、その情報について自主的な収集方法に限られるということは、大きな問題をはらんでいます。
 行政に求めるサービスの多くを地域が担っている現状、あるいは担ってきた歴史を忘れてはならないし、地域の連携とは、本来行政が出てくる以前からの存在、地域の歴史、手法だということです。個人情報保護法の予定する法的利益とは何か。また、地域の連携に寄与する個人の地位の確保。そもそも地域の連携を担保する世話役や組織員のいわゆる個人情報、もっと言えば、公務員の「公」は何のためであって、公の個人の基本情報はどう扱うのか、保護の対象となるのか、疑問は次から次に出てまいります。
 国の消費者庁企画課個人情報保護推進室が出しているA4のチラシには、「よくわかる個人情報保護法」というタイトルで、右半分に「『個人情報』を活用し、人のつながりを大切にした社会へ」、そして同じ紙の左半分に「『個人情報』を漏らさないために適切な管理を」と書いてあります。よくわかるチラシとなっていますが、よくわかりません。私たちは、国において消費者庁がこの法律を扱っていることに特に注目すべきかもしれないと考えます。
 質問します。
 歴史的に住民が自主的に形成してきた地域組織に関する個人情報、具体的には、自治振興会、町内会組織、消防団等に所属する個人に関する情報は、個人情報保護制度上、それぞれの地域組織においてどのような扱いとなるのか。公共性が認められる団体の名簿については公開すべきだと私は考えるがどうか、同じく経営管理部長にお聞きします。
 今日の社会において、情報とその扱いについての危惧は尽きません。私自身、大学では法を学びましたが、憲法を学ぶ中の大切な概念の一つとして、LRAの原則を知りました。これは表現の自由とその規制にかかわる部分においての基本の考え方なのですが、LRAはレス・リストリクティブ・オルターナティブ──より制限的でない他の選び得る手段の基準ということですが、これは、何かを規制するときには、一番最低限にとどめねばならないということです。
 またもう1つ、比較衡量の考え方も基本中の基本です。得られる利益と失われる利益とを比較衡量し、いずれが重大かによって決する。当たり前ですが、さきの個人情報保護法も、法の予定する対象と離れて言葉がひとり歩きしている現状は、とても恐ろしいと感じます。
 携帯電話などの通信に関する記録、情報、高速道路や飛行機、電車による移動に関する情報の記録の取り扱い、富山市議会では安全で安心なまちづくり推進条例を準備している話を聞きました。この条例の中に「防犯カメラ」という言葉が出てきます。とても重い内容だということを、私たちはしっかり理解できているのでしょうか。情報社会の功罪は、私の今後の大きなテーマです。  次に、教育についてお聞きします。
 この4年間、教育について多くの質問を行いましたが、私の子供はまだ未就学児ばかりで、やっとこの春に一番上の子が選挙中に小学校に入学します。私が保護者として小学校の実態を実感するのは、この4月からです。改めて自分が小学校のときのことを考えると、それはもう30年も前のことになりますが、大きく学校教育も変わっているように感じます。
 そこで、幾つかの切り口から現状の教育の立ち位置を確認し、今の状況があるべき姿に近づいているのか、あるいはそれとも離れていっているのか、このことを考えてみます。
 まず、30年で先生が大きく変わりました。あるいは、私たちは先生の社会的立場を大きく変えてしまいました。何よりも先生に自信が薄れていると感じます。忙し過ぎるからか、その忙しさの中身に意義が感じられないからか、ここが大切です。自信のある先生に育ててもらうことが基本です。
 今日の教師の多忙の原因をどのように分析し、その応急策と根本対策にどのように取り組むのか。教師の職務内容の質は近年どのように変化しているのか、東野教育長にお聞きします。
 次に、30年で教室の形態も変わりました。県議会で私が初めて聞いた言葉の一つに、少人数学級があります。私たちのころは1クラス45人が基本で、先輩にお聞きしたら、おれたちのころは50人だったぞとおっしゃいました。少人数教育には理念があるはずです。今の少人数学級はどのように位置づけられるのか。私には、これがどうしてもばんそうこう政策の一つに感じられます。
 少子高齢化の時代の家族は、切磋琢磨がとても難しいということも挙げられます。家で大事にされて、そして学校でも大事に育てられ、私が思う理想の教育、質素でたくましい自立する子供が育ちにくいように感じられます。
 少人数学級の教師と生徒のかかわり方のメリット、デメリットをどのように把握しているのか。また、県として今後さらなる少人数学級の推進を目指すのかどうなのか、教育長にお聞きします。  30年の変化で最大のものの一つに、土曜日が休みになったことがあります。私たちが子供のころ、もしこれが実現されていたら、それはすごいことになったと思います。そのころはもちろん、塾はほとんどなかったし、習い事もそれほどなかったから、私たちは多分、まず土曜日は朝から晩まで外で遊びまくっただろうと思います。しかし、今の子供たちの土曜日の過ごし方は、どうもそうなっていないようです。子供どもがまず遊ぼうとしない社会や時代は、私は明らかに不健康で、不自然な社会だと思います。大体親はこのことをどう認識しているのか、そこも私はわかりません。
 週5日制に完全移行して最も大きな変化は土曜日。児童の過ごし方について、どのように現状把握をしているのか。親とのかかわり方を含め、あるべき姿についての所見を教育長にお聞きします。
 続いて、平成23年度からの新学習指導要領の完全実施に伴い、低学年で授業が増えるなど、学習面や生活面でのさまざまな影響が予測されています。このことにどのように対応するのか、同じく教育長にお聞きします。
 1年生から5時間目の授業なんて、私には子供に学校を嫌いになりなさいと言っているようにしか思えないんです。現場が声を上げないと本当にまずいと思います。私はうちの子に、5時間目は受けずにうちに帰ってこいと言うか言うまいか真剣に悩んでいます。富山市立東部小学校に新たな、私というモンスターペアレントが登場する日が近いかもしれません。
 教育問題の最後に、国民意識について取り上げます。
 私が議員になって4年間続けてきたことの一つに、毎年2月7日の「北方領土の日」に合わせた富山県内一円を回る街頭遊説活動があります。これは自民党としての全国統一行動ですが、先日の大野先輩の言葉にもありましたように、富山県は北方四島に深い縁がある。本県の自民党議員は先頭に立ち、この活動を推進しています。本来、この活動に政党の別はないはずです。だれでも一致協力して取り組めるテーマだと思います。
 残念なことに、年々県民の反応も寂しくなってきており、明らかに無関心層が増えています。テーマに対しての賛成、あるいは反対であれ、はっきりした反応があれば、それはある意味受け入れられますが、無関心は本当に怖いです。
 国にかかわるテーマの啓蒙、教育は、国民と国家の根幹です。国にかかわる問題は、そのテーマの解決のためということはもとより、そのことを取り上げることで国民意識の形成につながる、このことを大切にすべきです。
 北方領土問題や拉致被害者問題の教育を初め、日本国民としての意識の醸成を促す教育を県としてどのように考え、具体的に実施していくのか。国民の一体感や日本国民としての意識を醸成する面において、国が行う具体的な施策に対して不安を感じています。多くの人に日本国民としての意識を思い起こさせるよう、幅広い世代を対象とした教育を進めるべきだと私は考えます。石井知事にお聞きします。
 次に、富山のまちづくりについてお聞きします。
 ここにきて、県の消防防災学校、ふるさと文学館、イタイイタイ病資料館など、さまざまな建物の新築、改築が相次ぎます。建物はいわゆる箱なのですが、富山県のまちづくり、魅力づくりを考えると、箱のデザインはとても重要です。箱そのものが街の魅力となり、人を引っ張る力があるということをもっと強く認識して、そしてこのことを強力に推し進めるべきだと考えます。コストの面からも、このことを真剣に検討する時期が来ています。以前にもこのような質問をいたしましたが、どうも具体的につながっていないので改めて確認します。
 県有施設を建設する際には、どのように建築の仕様やデザインを決めているのか、牧田土木部長にお聞きします。
 『日本の建築家ベスト100』という本があります。クラス分けされていまして、SSクラス、世界の第一線で活躍する建築家5名、Sクラス、世界に誇る建築家10名、Aクラス、日本の第一線で活躍する建築家20名、Bクラス30名、Cクラス20名、Xクラスがありまして、Xクラスは将来が楽しみな注目株10名という区分です。SSクラスには安藤忠雄、Sクラスには隈研吾、磯崎新、黒川紀章、Aクラスには手塚貴晴、手塚由比などが入っています。有名な建築家のデザインは、それだけで建物の価値を何倍にも引き上げます。県内にも、例えば高岡市福岡町のミュゼふくおかカメラ館は、皆さんがよく御存じのようにSSクラスの安藤忠雄の設計です。
 クラスが上がるほど設計料も上がるのは当然でしょう。しかし、すべてのクラスの人に駆け出しの時期があるはずですから、ねらい目はそこだと思います。しかも地元の人、地元に縁のある人、若き棟方志功のように。育てること、見つけることにエネルギーをかけるべきです。
 県の施設を新しく建築するときに、地元の若手の建築士を積極的に登用すべきと考えますが、過去の実例とあわせ所見を土木部長にお聞きします。
 また、地元の若手建築士、都市プランナーの育成をどのように行っているのか。このことについては、活動を発表する場が不足しているため、県民の認知度が低いと感じております。もっと活躍の場が広がるよう支援すべきだと考えます。同じく土木部長にお聞きします。
 まちづくり施策の中での緑についてお聞きします。
 街の緑については、昨年6月の予算特別委員会で、このこと一本で質問させていただきました。しかし、その後も残念ながら、街のあちこちで緑が消え続けています。それは公園の改良であったり、学校の改築であったりするのですが、ひとしお、思いと歴史のこもった樹木が切り倒されていく姿は無残です。木を残すことは心を残すことなのです。切って、またそこに植えるばかさに本当に腹が立ちます。なぜ木を残してのデザインができないのか、レイアウトができないのか、それが街の個性だとなぜ気がつかないのか。
 「桜折るばか、梅折らぬばか」ということわざがありますが、これは切るべきものと切らぬべきものがあるという意味だそうです。切るべきものの理由づけが私は本当に薄過ぎると思います。木を切る者はすべてばかというのが、少なくとも富山市の街の中では当てはまると私は思っています。私は本当に怒っています。
 緑を効果的に活用した景観づくりのため、一定の樹齢を経た樹木を一時仮移植し、保護し、移すためのグリーンセイバーを設置したり、あるいは医療のほうですが、子供の夜間救急アドバイス用の♯8000番のように、緑の♯8000番を創設して情報を集めるなど、少しでも緑を残す努力をしてはどうか、牧田土木部長にお聞きします。これは、前向きな答弁でなければ再質問いたします。
 富山駅周辺のまちづくりも緑化の観点からは急がねばなりません。何せ、木は時間がかかります。緑化の手法もいろいろ考えられます。富山駅北のケヤキ並木がよい例になると思います。県の玄関口である富山駅やその周辺において、行政のみならず企業、県民を巻き込んで緑化整備を進める必要があると考えます。街路樹や都市の緑化は、樹木の育成に時間がかかることから、本来長期的に実施すべきと考えますが、その一方で、新幹線開業に向けて、県の玄関口である富山駅やその周辺などの緑化整備を早急に進めなければならないことを視野に入れるべきです。土木部長にお聞きします。
 そして、富山駅とその周辺は、今後の富山市中心部のまちづくりの起点となります。新幹線がやってくることを最大限にまちづくりにリンクさせねばなりません。ビジョンの共有、イメージの共有は何よりも大切だと考えます。
 富山県の顔・富山駅及びその周辺の整備後のイメージを県民にわかりやすく示すことが必要だと考えますが、今後どのように広報していくのか、土木部長にお聞きします。
 最後に、県債についてお聞きします。質問は以下のとおりです。
 この4年間で県債額は約1兆円から約1兆2,000億円に増えたが、その要因は何か。また、今後の財政健全化に向けた取り組みについて知事にお聞きします。
 私が4年前、県議会に初登場したときの質問の最後はロハスについてでした。ロハスは、ライフスタイルズ・オブ・ヘルス・アンド・サスティナビリティー──健康で持続可能な生活様式を言っています。4年間議会で努めて、求められているものはやはりこれだと思います。健康で持続可能な県政運営。富山県の未来。県債が1兆円。1兆円はゼロが12個です。1兆円を超えたときに議会に参上して、4年間で2,000億円増えました。これはどういうことか説明をしてほしいとよく皆さんから聞かれます。非難の意味ではなくて、わからないから教えてほしいという方がほとんどです。私自身は、避けられない必要な選択の結果が2,000億円になっていると、4年間の議会の中で感じています。
 しかし改めて、この借金の意味は何か、なぜこうなっているのか、そしてこれを背負っていくのはだれなのか、このことを私も県民もしっかりと理解して前に進まねばなりません。国と地方の大きな変動の中に、みずからで富山県が道を切り開いていくためには避けて通れないことです。  ユキワリソウは、雪を分けて花開くたくましい野草です。富山県民の未来は、私たち県民みずからが雪を割って花を咲かせねばならないと思います。山に自生するユキワリソウの群落は、ひときわ見事ですばらしいものだそうです。それぞれがおのれを磨きつつ、また仲間と力を合わせようと思います。富山県の未来のために、私も微力ではありますが、全力で取り組みます。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

回答者:知事(石井隆一君)

 吉田議員の御質問にお答えをします。
 まず、日本国民としての意識の醸成を促す教育についての御質問にお答えをします。
 近年、富山県や日本を取り巻く世界の情勢が大きく変化しまして、これから先のことを従来の延長線上で判断し、対応することが難しくなっております。また、世界的な規模での人、物、情報の交流がますます活発になっておりまして、気をつけないと、若者たちが根なし草のようになりかねないと思います。
 こうしたときこそ、自分が生まれ育ったふるさとに愛着や誇りを持ち、家族や地域とのきずなを大切にしながら、自分でしっかり考えて、先見性を持ち、たくましく未来を切り開いていく人材を養成することが極めて重要だと思っております。そのことが出発点となって、自分が生まれ育った富山県や日本への愛着や誇りが生まれる。ひいては、さまざまな民族が生きる国際社会の一員であるという自覚も生まれてくると考えております。最近、本県が熱心に取り組んでおりますふるさと教育も、こうしたことに通ずるものでございます。
 なお、お話の北方領土について言いますと、日本の領土であるということについては、小中学校の教科書でももちろん明記してありますし、また県内すべての小中学校の社会科の授業で指導されております。また、拉致被害者問題についても、県内ほとんどの市町村で利用されております小学校6年生の社会科の教科書で扱われておりまして、また時事問題としても授業等で指導がなされております。
 また、例えば小学校の社会科や道徳の時間では、ふるさとの歴史、郷土の発展に尽くした偉人などを調べたり、また伝統芸能や文化財の体験などを通じまして、我が国の歴史や伝統文化に対する理解、また愛情をはぐくむ指導もなされております。
 本県においては、さらに県立高校生全員を対象に、郷土史、日本史学習を進める。また小学生を対象とした「ふるさととやまの人物ものがたり」の作成配布等に取り組んでおります。
 また、地域におきましては、公民館などで実施している身近な自然の体験活動、ふるさとの歴史、文化に関する講座、郷土芸能の伝承などを通じまして、幅広い世代を対象に郷土の歴史や伝統文化に対する理解、愛着をはぐくむ活動が展開されております。これは恐らく全国それぞれ各地でやっていらっしゃるとは思いますが、富山県はその中でも最も熱心に取り組んでおるほうじゃないかと思います。
 今後とも、学校だけではなくて、家庭や地域の方々が身近な人、自然、歴史、文化、あるいは産業、こうしたものをよく知ることによって、これらに愛着や誇りを持ってもらう、そういうことが大切だと思います。
 県としましては、これからもふるさと教育の推進を初めとしまして、必要な情報提供等を行って、多くの県民の皆さんが富山県人として、また日本国民としての自覚と誇りを持って、グローバル化がとうとうと進む時代ですけれども、その中でもしっかりと活躍していただけるように努力してまいりたいと思います。
 次に、県債残高が1兆円を超えて、増えているということについての御質問であります。
 平成19年度からのこの4年間におきましては、リーマンショック以降の世界同時不況とその後の景気低迷等によりまして、一方で税収はもう大幅に減少すると。しかし、大変な不況で、御承知のとおり経済も停滞して雇用も大変でしたから、何とか緊急経済・雇用対策を進める。そして地域活性化のための社会資本整備の促進も図る。さらに少子化、高齢化が進みますから、社会保障関係費の増大がどうしても避けられない。そこで、国、地方ともに多額の借入金に依存した財政運営を余儀なくされてきたわけであります。
 特に、地方の自主財源であります地方交付税については、その原資となる国税収入が大幅に減少する中で、将来、元利償還の全額を地方交付税でちゃんと配分するからという約束のもとに、地方がこの間、国全体で約22兆円の臨時財政対策債を発行して、一時的に肩がわりをしてきたところであります。
 平成23年度末の県債残高は、お話のように約1兆1,880億円──当初予算発表時のベースですけれども──と見込んでおりまして、4年前の19年度末と比べますと約1,800億円の増となっております。この主な要因は、まずは今申し上げた臨時財政対策債の大幅な発行によるものでありまして、臨時財政対策債の残高は、平成19年度末は1,500億円でしたけれども、23年度末は2,900億円、この4年で約1,400億円増加する見込みになっております。
 もう1つは、北陸新幹線に係る県債の残高でありまして、建設の進捗に伴う地方負担の増大によりまして、この4年間で約890億円増加する見込みになっております。
 臨時財政対策債は、今申し上げたとおり、本来はキャッシュで、地方交付税として配られるものの身がわりですから、その元利償還は全額地方交付税によって措置されるという約束になっておりますし、また北陸新幹線に係る県債の元利償還金については、従来は交付税措置率50%だったんですけれども、これは懸命にこの数年、知事就任以来働きかけをしまして、平成20年度からは最大70%にまで引き上げる仕組みに制度改正をしていただきました。
 ただ、一般的にはやはり、県債残高の大幅な増加というのは義務的経費であります公債費の増加を招いて、財政の硬直化につながりやすいということですから、これまでも投資的事業に係る県債の発行はなるべく抑制するように努めてきたところでございまして、臨時財政対策債など、こういう特例的な起債を除いた通常債の残高につきましては、平成13年度の8,623億をピークとしまして、23年度末には8,200億円にまで減少する見込みになっております。さらに、この通常債の中でも、北陸新幹線の分を除きました残高は、平成19年度末の7,711億円から23年度末の6,846億円まで、この4年間で約865億円減少をいたしております。
 県の財政収入ですけれども、まだまだ県税収入が低迷いたしておりまして、財政調整基金や県債管理基金も限られた額でありまして、大変厳しい状況にございます。このために、これまでも職員をできるだけ定数削減をする、また職員給与の臨時的減額をする、公の施設や外郭団体の廃止、改革など行財政改革に、職員はもちろんですけれども、幅広い県民の皆様や市町村の理解と協力を得ながら、スピード感を持って取り組んできたところであります。
 その結果、例えば一般行政部門の人件費は、平成16年ごろは毎年約300億円でしたが、平成22年度は約240億円に縮減できた。年間約60億円減ってきたと。普通会計では、人数で言うと1,100人減りまして、累積の削減効果は約304億円というふうになっております。
 あわせて、行革も大事ですけれども、やっぱり政府にしっかり富山県を初め地方の実情を申し上げて、もらうものはもらわなきゃいかんということで、歴代の総理を初め政府等関係機関に積極的に提案、要請をいたしまして、地方法人特別税、同譲与税、地方再生対策費の創設──これは当時、石原東京都知事と全国知事会の場で大激論をいたしましたが、何とか御理解いただいて、東京都に集まり過ぎの──東京都だけではありませんが──税収を富山県のような地方に回してもらうというふうにしたわけであります。市町村の分も入れますと、20年度以来、年間大体50億前後、毎年毎年やっているわけであります。
 また、新幹線整備に係る地方交付税措置率の拡充、これはさっき申し上げました。また各年度の──これは国、地方全体ですけれども、地方交付税の増額を何とか要請してかち取るというようなことで、一定の成果を上げることができました。こうしたことの結果、今回の予算編成では、財源不足を約80億円にまで縮減することができました。
 今後とも、一方では国に対して地方交付税をできるだけ復元、拡充してもらう。また他方では、事業の選択と集中──いろんなやりたいことがいっぱいあって、また県民の皆さんからもいろんな御要望があるんですが、やはりこういう時代ですから、できるだけ効果の大きいもの、緊急度の高いもの、そういうものを中心に選択と集中を図って、県債の新規発行の抑制、また人件費の削減、事務事業の見直しなどの行政改革、これをしっかり取り組みまして、財政健全化に努力したいと思います。
 ただ、議員は本当に本質的な質問をされているんですね。富山県だけを見ますと、私が今申し上げた答弁でほぼ100%だと思うんですが、根本的には、富山県を含めて地方の財政をしっかりよくしようとすれば、やっぱり国も含めて、国、地方を通じて受益と負担のバランスがとれる、こういうふうにしていかなきゃいかん。
 当面、考えてみますと、社会保障関係費は高齢化が進めばどんどん、これからも年金にしろ、医療にしろ、介護の費用も増えてまいります。そういう中で、なるべく効果的な仕組みも考えなきゃいかんということもございます。また、公共事業はピークの4割近くまで減ってきましたから、これ以上減らすというのは非常に、維持管理費のこと一つ考えてもなかなか難しい。
 そうなると、当面は、1つは経済成長戦略をしっかり国でやってもらって、中長期的には経済を活性化して税収がもっと増えるようにしてもらわないといけない。と同時に、私は地方に比べると国の行革がまだまだ不徹底だと思いますから、行革もしっかりやってもらうことを前提に、これからの社会保障なんかをしっかり維持していくためにも、国、地方を通じた税制の抜本的な改革ということもやはりやらなきゃいかん、こういうことだと思っております。
 こうしたことに真剣に、勇気を持って取り組むことが、私も含めてこれからの政治に携わる者が担わなきゃいかん重い課題だと、こんなふうに考えている次第であります。

回答者:経営管理部長(出口和宏君)

 まず、個人情報保護法と個人情報保護条例との関係についての御質問にお答えをいたします。
 個人情報保護法は、個人情報の取り扱いルールを明確にすることを通じて、個人の権利利益を保護しつつ、有効活用を図ることを目的として定められたものであります。
 法律の体系としましては、大きく2つの部分で構成されておりまして、その1つは、基本理念や国、地方公共団体の責務、政府による基本方針の作成など、制度の基本的な事項を定めた部分であります。もう1つが、個人情報取り扱い事業者の守るべき義務など、民間部門における個人情報の取り扱いを定めた部分でありまして、この部分は、国及び地方公共団体は適用除外となっております。
 また、国が保有する個人情報の取り扱いにつきましては、さきに申し上げました個人情報保護法とは別に、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律が定められておりますが、この法律は地方公共団体には適用されません。
 地方公共団体が保有する個人情報の取り扱いにつきましては、個人情報保護法第11条の「地方公共団体は、保有する個人情報の適正な取り扱いが確保されるよう必要な措置を講ずること」との規定の趣旨を踏まえまして、それぞれの地方公共団体の条例で定めることになっております。
 本県では、平成15年に富山県個人情報保護条例を制定し、この条例で定める取り扱いルールに沿って、個人情報の取り扱いをしております。また、各市町村が保有する個人情報の取り扱いにつきましては、それぞれの市町村において条例を制定しているところでございます。
 次に、地域組織に関する個人情報についての御質問にお答えをいたします。
 個人情報保護法は、5,000人分を超える個人情報をその事業活動に利用している者を対象に規定を置いておりまして、これに該当する事業者については、利用目的の特定、目的外利用の禁止、本人の同意を得ない第三者提供の制限といった義務が課されることになります。
 自治振興会や町内会組織などの地域組織につきましては、この5,000人という要件に該当しない小規模な組織が多いものと思われますが、そのような小規模な組織につきましては、この法の義務規定の対象にはならないと思われます。こうしたことから、このような小規模地域組織におきます名簿の公開などにつきましては、構成員の意向を踏まえまして、それぞれの団体において判断されることになると考えております。
 なお、消防団につきましては、市町村の組織でございますので、それぞれの市町村が定める条例に基づいて取り扱いがなされることになります。
 県としましては、個人情報保護制度の適切な運用のもとで個人情報の有効な活用が図られますように、県民を対象とした説明会を開催するなど、さまざまな機会をとらえて幅広く広報啓発をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

回答者:教育長(東野宗朗君)

 教員の多忙化の原因と対策についてお答えしたいと思います。
 多忙化の原因でございますけども、これまで完全週5日制の導入に伴います授業、部活動、指導業務の過密化、そして総合的学習の導入、学力向上、学校評価など、相次ぐ制度改正が続きましたことへの対応、そして最近、現場の声を聞きますと、子供自体が変わってきたということを聞いているところでございます。少子化を背景といたしまして、子供自身が人間関係に大変ナーバスになってきていると言われているところでございます。先生や友達の言葉を受けとめる力や理解する力が大変弱くなってきている。過剰に反応するといったことも増えてきておりまして、これが先生にとりましては、子供への指導につきまして、必要以上に細かく心を砕くことが大変多くなってきているのではないかと考えておりまして、保護者の問題等も加えますと、これが多忙化の原因の大きな要因ではないかと考えているところでございます。
 県教育委員会といたしましては、17年からパワーアップ指針というものを全員に配布いたしまして、子供と向き合う時間を少しでも増やすために、学校現場での仕事の見直し、会議時間の縮減、そして県の全部局にも御協力をいただきまして、持ち込み行事の削減なども行ってきているところでございますし、県教育委員会の調査も3分の1減らす、あるいはICTの活用などにも取り組んできているところでございます。
 また、23年度予算に提案しております、国の予算が廃止された中で小学校専科教員あるいは中1学級支援講師の拡充など県単独でのいろいろな措置、そしてまたスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置なども、対策としては効果があるのではないかと考えておるところでございます。
 根本的な対策といたしましては、極めて厳しい財政状況の中、県教委、県でできる取り組みには限界が当然ございますので、国がしっかりとした定数措置、あるいは外部人材の補助制度の復活など、特に義務教育につきましてはその責務を果たしていただきたいと考えておりますし、私ども、市町村教育委員会、県教育委員会を合わせまして、いわゆる学校を管理するシステムではなくて、学校自身ができる限り裁量によって判断できるような、そうしたことも考えていきたいと考えているところでございます。
 次に、少人数学級の教師と生徒のかかわり方のメリット、デメリットのお尋ねにお答えしたいと思います。
 今も御答弁申し上げましたように、少子化の関係もございまして、同年齢、異年齢の仲間との関係が大変希薄になってきている、切磋琢磨する力が減ってきているといったようなことがございますので、学習集団の中で基本的な学習態度の維持が困難な児童が増えてきているのも事実でございます。
 このような中、一人一人に応じたきめ細かい指導は、例えば10年前、20年前に比べましても、まして極めて重要な手段と言われているところでございまして、本県におきましてはこれまで、各学校が生徒、学級の実態を踏まえまして、少人数学級と少人数指導のそれぞれのよさを生かしながら、工夫を凝らして学校現場で柔軟に対応できるように、効果的な少人数教育を推進してきているところでございます。
 少人数学級を導入することで、学力の向上や、いじめや不登校の出現率、欠席率の低下などが示されている事例もあるわけでございまして、これは1つには、一人一人の子供とふれあう時間の確保とか、個に応じたきめ細かな指導、言葉がけなどが言われているところでございますが、一方では、学級が過度に小規模化することによります切磋琢磨する機会が少なくなること、あるいは施設対応の問題なども指摘されているところでございまして、本県では、中1・35人学級を導入するときには選択制で実施させていただいているところでございます。
 今後の少人数学級を含めた少人数教育の推進でございますが、来年度、新総合計画や教育振興基本計画を策定することにしておりまして、県単独で拡充する小学校専科教員の効果を検証いたしますとともに、現場の声をお聞きいたしまして、何が富山の子供たちに効果的かということをしっかり考え、国の施策、財源措置などを注視しながら検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、土曜日の子供の過ごし方についてのお尋ねにお答えしたいと思います。
 学校週5日制でございますが、子供たちが自主的に使う時間が増えまして、家族とのふれあい、学校、家庭、地域社会が相互に連携しつつ、自然体験、文化、スポーツ体験など、さまざまな活動をみずから選んで経験することができ、みずから学び考える力、豊かな人間性、健康や体力などを目的として導入されたものでございます。しかしながら、この趣旨の実現に向けましては、絶えずその環境づくりといいますか、細かい配慮をしながら、さまざまな取り組みをしていくことが大切であると考えているところでございます。
 こうしたことから、本県におきましては、放課後児童クラブ、放課後子ども教室の実施、博物館や体育施設、図書館などの開放、スポーツ少年団や地域イベントなど、さまざまな活動の充実を積極的に図ってきているところでございまして、子供たちの選択の幅は大変広がったと考えているところでございます。
 学校におきましては、土日の部活動を初め、家庭学習や規則正しい生活習慣づくりの指導を行っているところでございますが、本年度22年度におきましては、県内のすべての中学校区で、中学校区ごとに地域の子供たちについて関係者が集まって考えていただきます、とやまっ子生活習慣推進事業を実施してきておりまして、これは地道ではございますけども、意見交換とか、効果が大変上がっていると聞いているところでございまして、新年度も引き続き実施させていただくところでございます。この中におきまして、いろいろと時間の管理の問題などにつきましても話し合っていただければと思っております。
 今後とも、学校と地域社会が連携し、土曜日を含めて、休日の子供たちの体験的な学習や補充的な学習を支援する仕組みづくりを進めたいと思っておりますが、また最近、家庭では海水浴にも行かなくなった家庭が増えてきているとも聞いているところでございまして、親が大変忙しくても、子供とかかわる努力をしていただく、親子のふれあいを深めていただく、そうしたことの環境づくりのために、県全体としては子育て応援団の事業を通し、あるいは「とやま県民家庭の日」を中心に、親子のふれあいを促進してきているところでございまして、今後とも努力してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、新学習指導要領の完全実施の影響についてのお尋ねにお答えしたいと思います。  新学習指導要領におきましては、知識、技能の習得と、思考力、判断力、表現力の育成のバランスを重視するという観点から、言語活動、理数教育、体験活動の充実のために授業時間が増加されたところでございます。増加した授業時間におきましては、新たに加わった指導事項のほか、つまずきやすい内容の反復学習、知識、技能を活用する学習を丁寧に行うことが定められているところでございます。
 来年度から、特に低学年で週の授業時間が、平成22年度と比べますと1時間でございますが、20年度と比べますと2時間増えることになるわけでございますが、幼稚園や保育所とのギャップ、学習内容の定着度の低下などもございまして、特に対象が低学年でございますので、生活面、学習面への十分な配慮をしながら進めてまいりたいと考えているところでございます。
 各学校におきましては、そのためにいろいろな工夫を行っておりまして、幾つか申し上げますと、幼稚園や保育所とのギャップを少なくするため、入学当初は1年生の学習意欲の持続力を考慮したスタートカリキュラム──例えば申し上げますと、児童が、具体的には生活科という中で学校を探検する学習活動を行い、そこで発見した事柄について、国語、音楽、図画工作などにおきまして、国語では自分の名刺をつくる、音楽では散歩など学校探検に合った歌を歌いながら歩く、図画工作では見つけてきたことを絵にかくなど、時間を有効に活用しながら持続力を持たせる工夫をしているところでございますし、毎朝10分程度、計算や漢字をさせることによりまして──これは文部科学省も認めておるところでございますが、5日分で1時間の授業としてカウントさせる。あるいは、国語や算数は午前中に、午後からは生活科、体育科や図工を行うなど、子供たちの意欲が継続するように配慮してきているところでございます。
 今後とも、各学校におきまして、地域、保護者の理解、協力を得ながら、特に低学年に配慮いたしました無理のない学習活動が展開できるよう、さらに努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。

回答者:土木部長(牧田 潔君)

 まず最初に、県有施設を建設する際の建築物の仕様やデザインの決定についての御質問にお答えをいたします。
 県有施設など公共施設は、県民の関心が高く、町並みや自然景観に与える影響も大きいことから、建築物の仕様やデザインの決定に当たり、周辺景観との調和は重要な要素となっております。
 このため県では、公共事業による先導的な景観づくりを進めるため、富山県景観条例に基づき、富山県公共事業の景観づくり指針を定めております。この指針において、建築物につきましては形態や意匠は施設全体としてまとまりのあるものとし、周辺の景観との調和を図ること。色彩は高い彩度を避けるほか、背景となる町並みなどと色相や色調をそろえること。外壁や屋根の使用材料は耐久性があり、汚れにくいなど、維持管理が容易で、経年変化による景観上の質の低下が少ないことなどを定めております。
 県有施設を建設する際の仕様やデザインにつきましては、建築物の用途にふさわしいものとなるよう配慮するとともに、この富山県公共事業の景観づくり指針に沿って決定することとしており、庁内に設けております土木部景観づくり検討会議において、そのデザイン等の内容が指針に適合しているかを確認しております。
 このようなプロセスを通して、県有施設が地域の景観づくりを先導する質の高い建築物となるよう努力しているところでございます。
 次に、県の施設を新しく建築する際の地元の若手建築士の登用についての御質問にお答えをいたします。
 県の施設は、県民の貴重な財産であることから、設計者の選定に当たりましては、必要な機能や耐久性、デザインなどを適切に設計できる十分な技術力を有する建築士を選定する必要があります。また、県内の建築士事務所の受注機会を確保し、育成することも重要であり、県内の建築物の水準を向上させることにもつながるものであります。
 こうしたことから県では、一般的な県有施設の設計業務は県内の建築士事務所に委託することとし、建築士事務所の選定方法につきましては、指名競争入札によるほか、意欲のある優秀な設計者を選定するため、技術提案書を評価して決定するプロポーザル方式も導入しております。
 特に公衆トイレのように、小規模で比較的取り組みやすく、いろいろな提案が可能で、若い建築士にも興味を持っていただけそうなものについては、設計実績を問わずに、公募または数値の低い事務所に限定した指名によるプロポーザル方式で実施しており、小規模な建築士事務所も参加可能となるよう配慮してきているところでございます。例えば、比較的若い建築士が受注した実例としては、今年度に設計した常願寺川公園のトイレがございます。
 今後とも、意欲のある若手建築士が県有施設の設計に参画できるよう努力してまいりたいというふうに考えております。
 次に、地元若手建築士や都市プランナーの育成についての御質問にお答えをいたします。
 県では、これまで建築士会等の関係団体の協力を得ながら、建築デザインやまちづくりに関する講演会、研修会などを開催し、広く建築士の育成や資質の向上に努めてきたところであります。昨年9月には、富山大学を主会場とし、県内外から約1万人の方々の参加を得て、本県では初めてとなる日本建築学会の全国大会が開催され、建築技術やまちづくりに関する全国トップレベルの研究成果6,790題が発表されたところでありまして、県内の若手建築士や都市プランナーの技術の向上に寄与したものと考えております。
 建築作品などの発表の場としては、学会等が実施する日本建築学会賞、中部建築賞、富山県建築賞などへの応募や、県が実施しますうるおい環境とやま賞への応募のほか、出版社や大手住宅設備メーカーなどが行う作品コンクールなどへの応募も考えられます。こうした表彰等で優秀な成績をおさめられた地元の若手建築士や都市プランナーにつきましても、県が開催する講演会等の講師として招くほか、関係団体にも紹介するなどして活躍の場を提供することにより、県民の認知度の向上に努めてまいりたいというふうに考えております。
 次に、緑を効果的に活用した景観づくりについての御質問にお答えをいたします。
 富山県景観条例に基づく富山県景観づくり基本方針におきまして、花と緑による景観づくりを、景観づくりを進める上で欠くことのできない重要な要素と位置づけておりまして、街路や公園等における新たな緑の確保とともに、長い年月を経た樹木を適切に保存することは、都市における美観風致の維持に大変効果があると考えております。
 このため、これまで公共事業等の実施に当たっては、専門家の意見を聞きながら、保存や移植などを行ってきたところでございます。また、景観条例に基づく大規模行為の届け出があった際、敷地内のすぐれた樹木等をできる限り保存、移植し、敷地の緑化等に生かすよう、必要に応じ指導助言することにより、樹木等の保存を働きかけてきたところであります。
 市町村におきましても、独自に保存樹木の対象範囲や保存に対する助成措置などを盛り込んだきめ細かな緑化の推進に係る条例や要綱を制定し、樹木の保存に取り組んでいるところであります。
 緑を活用した景観づくりを推進するためには、議員御提案のグリーンセイバーなどの緑の専門家の活用や、緑に関する情報収集も重要であり、今後とも市町村と連携し、県民の財産である樹木が適切に保存されるよう、県民への普及啓発等に努めてまいりたいというふうに考えております。
 次に、富山駅やその周辺における緑化についての御質問にお答えをいたします。
 富山駅周辺地区は、県都の玄関口としてにぎわいのある広域交流拠点となるほか、全国からの来訪者のもてなしの空間ともなることから、県では富山市と共同で富山駅周辺景観デザイン検討委員会を設置し、平成20年末に景観デザイン計画を取りまとめております。
 この計画では、駅からの立山連峰や呉羽丘陵など自然景観への眺望に配慮の上、駅前広場については、富山の四季、自然を感じられるような樹木や季節を彩る花を配置するほか、LRTの軌道内に芝生を張ることなど、緑化に配慮した内容が盛り込まれておりまして、この計画に基づき整備することとしております。
 また、富山駅周辺地区の緑化整備を進めるためには、議員御指摘の行政だけでなく、企業や県民の皆さんに愛着を持って緑を守り育てていただくことも極めて有益であるというふうに思っております。
 県としましては、今後とも、新幹線開業に向け、富山市と連携して、富山駅周辺地区が城址大通りやブールバールなどの緑豊かな街路樹と融合した美しい都市景観を形成し、県都の玄関口にふさわしい魅力あるものとなるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
 最後に、富山駅及びその周辺の整備後のイメージの広報についての御質問にお答えをします。
 富山駅周辺では、鉄道・運輸機構が北陸新幹線建設事業、県が連続立体交差事業、さらに富山市が駅前広場などの駅周辺整備事業をそれぞれ進めているところであります。これまで、こうした事業の概要や整備後のイメージにつきましては、県及び富山市のパンフレットやホームページ、富山駅の駅前広場や地下道に設置したPR看板などにより、県民の皆さんにお知らせするとともに、仮駅舎の供用や仮線路への切りかえなど、事業の節目ごとに積極的に情報提供し、新聞、テレビなどを通して県民へのPRに努めてきたところであります。
 こうした中、先月末に県として、富山駅のデザイン推薦案を鉄道・運輸機構に回答したことや、駅部の高架橋構造物がいよいよ建ち上がってくることなどから、県民の皆さんに完成時の姿を示し、より一層理解を深めていただく必要があると考えております。このため、県では新たに大型のPR看板を作製し、富山駅の仮南口広場等に設置するとともに、パンフレットの作成やホームページの一層の充実を図ることとしております。
 県としましては、今後とも、さまざまな機会を通して積極的に広報に努めてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

回答者:土木部長(牧田 潔君)

 まず最初に、県有施設を建設する際の建築物の仕様やデザインの決定についての御質問にお答えをいたします。
 県有施設など公共施設は、県民の関心が高く、町並みや自然景観に与える影響も大きいことから、建築物の仕様やデザインの決定に当たり、周辺景観との調和は重要な要素となっております。
 このため県では、公共事業による先導的な景観づくりを進めるため、富山県景観条例に基づき、富山県公共事業の景観づくり指針を定めております。この指針において、建築物につきましては形態や意匠は施設全体としてまとまりのあるものとし、周辺の景観との調和を図ること。色彩は高い彩度を避けるほか、背景となる町並みなどと色相や色調をそろえること。外壁や屋根の使用材料は耐久性があり、汚れにくいなど、維持管理が容易で、経年変化による景観上の質の低下が少ないことなどを定めております。
 県有施設を建設する際の仕様やデザインにつきましては、建築物の用途にふさわしいものとなるよう配慮するとともに、この富山県公共事業の景観づくり指針に沿って決定することとしており、庁内に設けております土木部景観づくり検討会議において、そのデザイン等の内容が指針に適合しているかを確認しております。
 このようなプロセスを通して、県有施設が地域の景観づくりを先導する質の高い建築物となるよう努力しているところでございます。
 次に、県の施設を新しく建築する際の地元の若手建築士の登用についての御質問にお答えをいたします。
 県の施設は、県民の貴重な財産であることから、設計者の選定に当たりましては、必要な機能や耐久性、デザインなどを適切に設計できる十分な技術力を有する建築士を選定する必要があります。また、県内の建築士事務所の受注機会を確保し、育成することも重要であり、県内の建築物の水準を向上させることにもつながるものであります。
 こうしたことから県では、一般的な県有施設の設計業務は県内の建築士事務所に委託することとし、建築士事務所の選定方法につきましては、指名競争入札によるほか、意欲のある優秀な設計者を選定するため、技術提案書を評価して決定するプロポーザル方式も導入しております。
 特に公衆トイレのように、小規模で比較的取り組みやすく、いろいろな提案が可能で、若い建築士にも興味を持っていただけそうなものについては、設計実績を問わずに、公募または数値の低い事務所に限定した指名によるプロポーザル方式で実施しており、小規模な建築士事務所も参加可能となるよう配慮してきているところでございます。例えば、比較的若い建築士が受注した実例としては、今年度に設計した常願寺川公園のトイレがございます。
 今後とも、意欲のある若手建築士が県有施設の設計に参画できるよう努力してまいりたいというふうに考えております。
 次に、地元若手建築士や都市プランナーの育成についての御質問にお答えをいたします。
 県では、これまで建築士会等の関係団体の協力を得ながら、建築デザインやまちづくりに関する講演会、研修会などを開催し、広く建築士の育成や資質の向上に努めてきたところであります。昨年9月には、富山大学を主会場とし、県内外から約1万人の方々の参加を得て、本県では初めてとなる日本建築学会の全国大会が開催され、建築技術やまちづくりに関する全国トップレベルの研究成果6,790題が発表されたところでありまして、県内の若手建築士や都市プランナーの技術の向上に寄与したものと考えております。
 建築作品などの発表の場としては、学会等が実施する日本建築学会賞、中部建築賞、富山県建築賞などへの応募や、県が実施しますうるおい環境とやま賞への応募のほか、出版社や大手住宅設備メーカーなどが行う作品コンクールなどへの応募も考えられます。こうした表彰等で優秀な成績をおさめられた地元の若手建築士や都市プランナーにつきましても、県が開催する講演会等の講師として招くほか、関係団体にも紹介するなどして活躍の場を提供することにより、県民の認知度の向上に努めてまいりたいというふうに考えております。
 次に、緑を効果的に活用した景観づくりについての御質問にお答えをいたします。
 富山県景観条例に基づく富山県景観づくり基本方針におきまして、花と緑による景観づくりを、景観づくりを進める上で欠くことのできない重要な要素と位置づけておりまして、街路や公園等における新たな緑の確保とともに、長い年月を経た樹木を適切に保存することは、都市における美観風致の維持に大変効果があると考えております。
 このため、これまで公共事業等の実施に当たっては、専門家の意見を聞きながら、保存や移植などを行ってきたところでございます。また、景観条例に基づく大規模行為の届け出があった際、敷地内のすぐれた樹木等をできる限り保存、移植し、敷地の緑化等に生かすよう、必要に応じ指導助言することにより、樹木等の保存を働きかけてきたところであります。
 市町村におきましても、独自に保存樹木の対象範囲や保存に対する助成措置などを盛り込んだきめ細かな緑化の推進に係る条例や要綱を制定し、樹木の保存に取り組んでいるところであります。
 緑を活用した景観づくりを推進するためには、議員御提案のグリーンセイバーなどの緑の専門家の活用や、緑に関する情報収集も重要であり、今後とも市町村と連携し、県民の財産である樹木が適切に保存されるよう、県民への普及啓発等に努めてまいりたいというふうに考えております。
 次に、富山駅やその周辺における緑化についての御質問にお答えをいたします。
 富山駅周辺地区は、県都の玄関口としてにぎわいのある広域交流拠点となるほか、全国からの来訪者のもてなしの空間ともなることから、県では富山市と共同で富山駅周辺景観デザイン検討委員会を設置し、平成20年末に景観デザイン計画を取りまとめております。
 この計画では、駅からの立山連峰や呉羽丘陵など自然景観への眺望に配慮の上、駅前広場については、富山の四季、自然を感じられるような樹木や季節を彩る花を配置するほか、LRTの軌道内に芝生を張ることなど、緑化に配慮した内容が盛り込まれておりまして、この計画に基づき整備することとしております。
 また、富山駅周辺地区の緑化整備を進めるためには、議員御指摘の行政だけでなく、企業や県民の皆さんに愛着を持って緑を守り育てていただくことも極めて有益であるというふうに思っております。
 県としましては、今後とも、新幹線開業に向け、富山市と連携して、富山駅周辺地区が城址大通りやブールバールなどの緑豊かな街路樹と融合した美しい都市景観を形成し、県都の玄関口にふさわしい魅力あるものとなるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
 最後に、富山駅及びその周辺の整備後のイメージの広報についての御質問にお答えをします。
 富山駅周辺では、鉄道・運輸機構が北陸新幹線建設事業、県が連続立体交差事業、さらに富山市が駅前広場などの駅周辺整備事業をそれぞれ進めているところであります。これまで、こうした事業の概要や整備後のイメージにつきましては、県及び富山市のパンフレットやホームページ、富山駅の駅前広場や地下道に設置したPR看板などにより、県民の皆さんにお知らせするとともに、仮駅舎の供用や仮線路への切りかえなど、事業の節目ごとに積極的に情報提供し、新聞、テレビなどを通して県民へのPRに努めてきたところであります。
 こうした中、先月末に県として、富山駅のデザイン推薦案を鉄道・運輸機構に回答したことや、駅部の高架橋構造物がいよいよ建ち上がってくることなどから、県民の皆さんに完成時の姿を示し、より一層理解を深めていただく必要があると考えております。このため、県では新たに大型のPR看板を作製し、富山駅の仮南口広場等に設置するとともに、パンフレットの作成やホームページの一層の充実を図ることとしております。
 県としましては、今後とも、さまざまな機会を通して積極的に広報に努めてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。