令和5年予算案及び3法案採決で反対しました
吉田豊史は今日の財務金融委員会で「所得税法の一部改正法案」とその附帯決議に反対、続く衆議院本会議で「令和5年度予算案」「所得税法の一部改正法案」「地方税一部改正法案」「地方交付税一部改正法案」について反対しました。
以下、反対した理由です。
岸田総理は令和5年の日本の方向性を指し示す施政方針演説の中で、『「新しい資本主義」は新たな経済モデル、「官民が連携し、社会課題を成長のエンジンへと転換し、社会課題の解決と経済成長を同時に実現する。そして持続可能で包摂的な経済社会を創り上げていくこと』とし、コロナ禍から全面的に日常を取り戻し、日本を本格的な経済回復、そして新たな経済成長の軌道に乗せていくと述べました。
その中で、本国会に提出された「令和5年度予算案」「所得税法の一部改正法案」「地方税一部改正法案」「地方交付税一部改正法案」はどのような位置付けにあり、どのような中身なのかが賛否を問うために必要なことだと考えています。
私には予算案及び3法案とも、経済回復や日本経済の成長、地方の活性化につながるものとは思えません。
加えて3法案というか税制全体に関していうと、税制がわかりにくく、現状の世代人口構成の不公平感が改善されていません。わかりにくいものは国民に知ってもらい、興味を持ってもらうこと、議論のまな板に乗せてもらうことも難しいです。
◎令和5年度予算案
まず、本国会が始まる前に、岸田総理が増税メッセージを出してしまったところからのスタートに問題点があります。増税するのにどうして経済成長すると国民が考えるのですか。積極財政と金融緩和で経済成長すれば賃金の上昇が起き、税収も増えるのに、そこが理解できていないように思います。
その上で、本国会では・防衛費の増強 ・こども・子育て政策 の2点が議論の中心になっていますので、この2点に絞って述べます。
・防衛費の増強 日本を取り巻くパワーバランスが崩れてきている以上、防衛力を増強する必要があることはわかります。しかし最初に金額ありきになっています。そして財源で、繰り返しになりますがなぜ増税から始めるのか。
・こども・子育て政策 予算委員会での岸田総理や官房副長官の発言を聞いていると、ふらふらしている印象を受けます。施政方針演説の中で「6月の骨太方針までに、将来的なこども・子育て予算倍増に向けた大枠提示」と言っているわけだから、しっかりとした説明が求められるのは当たり前です。
そして岸田総理の「こども・子育て政策」には欠けている視点があります。こどもを産み育てることのハードルは、出産年齢のタイムリミットやその年齢の人口、こどもが大人になるまで約20年かかるその間の費用、生活が安定していないとライフプランが立てられないなどがありますが、最後の視点が抜け落ちています。雇用が安定していない中で家庭をもち、こどもをもとうと思えるのか。もちろんさまざまな事情で一人でこどもをという方も、雇用や経済的制約でこどもはもてない選択しかできないという環境であってはいけないと思います。
・今回の反対理由とはしませんが、米英仏独などでは国債の債務償還費は予算計上していません。なぜ日本だけが予算に計上しているのか。「国債償還60年ルール」と「減債基金」制度についてもっと議論が必要です。
◎所得税の一部改正法案
・そもそも「資産所得倍増プラン」の目玉がNISAなのでしょうか。資産所得倍増プランとして、貯蓄から投資への流れの実現のためのNISAの拡充を言うなら、まず貯蓄が100万円未満の人が全体の約3割という現状を変え、以前この日本に存在した分厚い中間層の状況に引き戻す施策とパッケージであるべきと思います。また繰り返しになりますが昨年、岸田総理は増税メッセージを国会開会前に出してしまいました。「増税では今後の経済成長が厳しい」と思わせた状況で、個人がどうして日本の証券市場に投資しようと考えるでしょう。「インベスト イン キシダ」の言葉と施策がちぐはぐです。
・岸田総理の施政方針では戦後の創業期に次ぐ第二の創業ブームを実現すると明言しました。リスクをとってスタートアップにチャレンジする人や企業を増やすなら、これも景気回復・経済成長していく流れを作る施策とパッケージでなければなりません。「増税では経済成長しない」とリスクをとりづらくなってしまいます。せっかくの制度も活かされないのです。
・研究開発投資にしても経済成長する機運がない中では、企業も研究開発費を増やせません。研究開発費増加という意思決定と行動をさせたいなら、ルールの改正だけでなく、企業を取り巻く外部環境を良くしていく必要があります。
◎地方税一部改正
これも日本経済の成長や、地方の活性化につながる改正ではないと考えます。
・NISAは地方税一部改正にも関係していますが、所得税一部改正の延べた通りです。
・二地域居住の個人住民税 コロナ禍を機にテレワークなどで地方への「二地域居住」も促進していながら、住民票を分割する仕組みがないため、受けられる住民サービスが限られる問題があります。デジタル田園都市構造でもっと進めたいなら、上記にも着手する必要があると考えます。
・グリーン化特例(重課)の存在 燃費のいいクルマに買い換えてもらうために一定年数経つと自動車税・軽自動車税の税率アップがありますが、地方の生活には自動車が重要というか自動車がないと生活できないです。年数で一律グリーン化特例(重課)自体が厳しいです。鶏が先か卵が先かになりますが、経済回復しなければそうそう買い替えできないです。
・ふるさと納税のワンストップ特例の問題があります。確定申告不要な給与所得者の場合、確定申告で新税された場合に比較して個人住民税の減収額が大きくなります。これは地方自治体にとって厳しい問題です。放置するなら何らかの手当が必要では?
◎地方交付税一部改正
地方公共団体の施設の光熱費といった物価高騰対応として、一般行政経費の増額(700億)をすることはいいと思います。
地方税の増収見込みもいいけれど、それは同時にコロナ禍から「ゆるやかに」回復している地方にとって税負担が大きいことを示しているのです。地方財政の健全化と言いますが、・臨時財政対策債の抑制・交付税特別会計借入金償還の前倒し・国税減額補正精算の前倒しを行うのは、果たして今の時期でしょうか。前倒しせず地方の支出に回した方が、コロナ禍からの回復が早まって結果として地方税の増収分が増えると考えます。それからでも遅くない。