2009.03.13 : 平成21年2月予算特別委員会

質問者:吉田委員

 皆さん、こんにちは。
 10時、11時というのは、日本語のあいさつにとっては非常に魔の時間でありまして、「こんにちは」か、「おはようございます」か、悩んだんでありますけれども、こういうのが日本語のいいところじゃないかなというふうにも思っております。
 きょうは、議会のほうに着きましてから既に4人の方に、「しっかり頑張れよ」と言われ、議長には2回も肩をたたかれまして、この4月で、実は私がいただいた県議会議員の任期の半分を超えることになります。その2年間に7度も、こうして一般質問、予特の時間に質問させていただいた会派の諸先輩方に感謝しながら、また私の取り柄は元気で笑顔しかございませんので、そこだけは忘れないように、厳しい質問にはなると思いますが、きょうまた1時間頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 今回の私のテーマは、足元を見つめ直してみるというものであります。非常に厳しい経済の状況でありますが、今をつなぐために、何かしてほしいという要求をついつい出してしまうんでありますけれども、そうではなくて、このときこそ、本物は何か、大切なものは何かということを見つめ直す本当に大切な機会でもあると思います。そして私のメインテーマは、常に種をまくという視点でございますので、この2つを合わせながら、質問してまいりたいと思います。
 問1は、県民アイデンティティー確立の教育についてということで質問させていただきます。
 「アイデンティティー」という言葉は、本来は日本語を使いたかったんでありますけれども、なかなかぴったりくるものが私自身まだ見つけられていないところでありまして、質問に先駆けて、藤原正彦の「国家の品格」という本を何度か読み返しました。例えば武士道ですとか情緒と形、私たちが日本人として持っていなくてはいけない、そういうものを改めて勉強させていただくすばらしい本だと思います。
 その中で、これからの時代に、例えば競争ですとか、特にここのところ「格差」という言葉が非常に出てきておりますけれども、格差という言葉は、特に都市と地方の格差ということでよく使われるんでありますが、これから先を見据えると、これは都市と地方の格差の問題ではなくて、格差というのは地方同士、そして身近な地域同士でこそ考えなくてはいけない問題で、そして別に競争はしなくていいと思いますが、しっかりと生き残って存在感を出していくということが、私たち一人一人が、地域にしろ個人にしろ考えていかなくちゃいけないことだと、こういうふうに思うわけであります。
 そのときに、幸い富山県というすばらしい県に育てていただいた私でありますが、これからアイデンティティーというものは、自分は何者かと、結局そういうことになるんではないかと思うんですけれども、富山県人ということを、今私は非常に自覚させていただいております。でも、富山県民の方それぞれみんなが、そういうふうに強く思うということは、これからの富山を豊かに明るくしていく一番大切なことじゃないかと、こういうふうに思うわけであります。
 明日のとやま教育創造懇話会というところからの提言書も出てきておりますし、それから国のほうでは新学習指導要領でも言っております。当たり前のことなんですけれども、私はもう一度、この「富山県民とは」というところにスポットを当てていただきたいと、そういう気持ちの質問であります。
 長々としゃべりましたが、もうちょっとだけです。すみません。
 例えば広島とか長崎は、不幸な歴史でありますけれども、被爆という事実があって、そのことを県民の方は感じて、理解して、語ったりするということだけでも、日本の中において、その方々の意味というのは非常に深いものがあると思うんです。
 翻って、私たちが富山県のことを考えたら、特に近代でありますけれども、イタイイタイ病のことというのは外せないんじゃないかなと思います。私自身も小さいときの教育で、本当に痛い、痛いというふうに苦しんでおられる方の写真ですとか話とか、理解できたかどうかは別として、そういうものがきょうの富山県の教育の中にあって、そしてそのことが本当に大事なことでないかと思うわけであります。
 イタイイタイ病について、資料館整備という機運が高まり、今議会でもいろいろ話がされておりますけれども、教育という点に関して、現状がどうなっているのか、東野教育長にまずお伺いしたいと思います。

回答者:東野教育長

 本県におきますすべての小中学校が、イタイイタイ病に関する記載がある教科書を使用して学んでおるところでございます。
 具体的に申し上げますと、小学校5年の社会科の「生活と環境」の学習の中におきましては、日本の四大公害病の一つでありますこと、中学校社会科公民の分野におきましては、「公害の防止と環境保全」の学習におきまして、四大公害とその原因や環境を守る取り組みについて学んでいるところでございます。
 高校におきましては、公民科の「現代社会」「政治経済」の教科書におきましても、こうした記載がございまして、企業の社会的責任、環境対策行政につきまして、学習をしているところでございます。
 特にイタイイタイ病とかかわりの深い地域の学校におきましては、社会科、総合的な学習の時間などにおきまして、イタイイタイ病をテーマとして取り上げまして、いろいろと関係者に話を聞くなど、調べ学習も行っているところでございます。
 こうした形で、イタイイタイ病を教訓といたしまして、産業の発展などにより発生した公害が、人々の健康や生活環境を脅かしたこと、多くの人々の努力により、公害防止や生活環境の改善が図られていることについて学習し、理解を深め、かけがえのない自然や環境の大切さについて、次世代に受け継いでいくことは大変大切だろうと考えておるところでございます。

質問者:吉田委員

 続きまして、個別の例、もう1つお聞きします。
 2月7日が「北方領土の日」だということを皆さん御存じだったでしょうか。特に自由民主党が中心となって、このことについて国民の皆様にお訴えしておるところでありますが、富山県が北方領土と非常に関係が深いということを、私は議員になってから、特に大野先輩の薫陶を受けて勉強させていただきました。大切なことを教えていただいたと思っております。
 この北方四島、国後、択捉、歯舞、色丹と、まず4つが言えるのかということ、そしてこれを漢字で書きなさいとなったら、ここにおられる方全員が書けるかということは非常に疑問でもございます。しかし、こういうことは理解する以前に、特に小さい子供には書かせて覚えさせればいいということでないかと、こういうふうに思うわけであります。
 北方領土、そして北海道とは当然縁が深いわけでございますけれども、こういうことについて、富山県として教育の中に取り入れているのかどうか、東野教育長にお聞きいたします。

回答者:東野教育長

 本県におきましては、北方領土からの引揚者は1,400人余りでございまして、北海道を除くと、全国の中では群を抜いて大きい人数になっておるところでございます。県内の、特に引揚者の多い地域、県東部を中心といたしまして、本県では、北方領土に関する学習に熱心に取り組んでいるところでございます。
 具体的に申し上げますと、小中高等学校の社会科等の教科書におきまして、資料集をもとに、北方領土が我が国固有の領土でありますこと、我が国の領域をめぐる問題にも着目させ、取り組んできているところでございます。
 また、北方領土返還要求運動富山県民会議に大変熱心に活動を行っていただいておりまして、総合的な学習の時間におきまして、こうした県民会議からの出前講座、そして元島民の体験談、ビデオの視聴などによりまして、先人の方の御苦労、島と本県とのつながりなどを学んでいるところでございます。
 北方領土返還要求運動富山県民会議がおつくりになられました体験談を収録したDVDの活用、県民会議が実施しております作文コンクールへの応募などによりまして、関心を高めている学校もあるところでございます。
 さらに、近年の動きでございますが、すべての中学校が参加しております中学校教育研究会──任意の団体でございますけれども、毎年学力調査を行っておりますが、今年度、北方領土に関しまして出題がなされるなど、北方領土教育の推進が図られているものと考えているところでございます。
 今後とも、関係団体と連携いたしまして、子供たちの北方領土への関心を高めますとともに、富山県人の生活の跡が色濃く残されております北方領土の学習につきまして一層努めてまいりたいと考えております。

質問者:吉田委員

 富山県において、その年その年のタイムリーな話題といいますか、そういうことがあるんですけれども、例えば本議会でも出ています「黒部の太陽」のこと、あるいは「劔岳 点の記」のことですとか、それから高岡の開町400周年と、こういうことが身近に行われると、これに合わせて郷土教育というものに取り組むというのは、私は非常にいい考えじゃないかなと思っております。
 これは観光・地域振興局と教育委員会との共同作業であれば、なおすばらしいなと思うんですけれども、子供たちが学校で学んでくると、やっぱり親も一緒に行ってこようよという話にもなってくるんじゃないかなと。こうしたつながり、広がりが望めるわけであります。
 そういう現地をフィールドエクスカーションの場所としてとらえて、郷土教育を行うという考えについて教育長のお考えをお聞きします。

回答者:東野教育長

 今ほど御指摘ございましたとおり、実際に現地に足を運ぶこと、史跡や伝統芸能等に直接かかわることは何よりも大切なことと考えておりまして、各学校におきましては、見学、観察、調査などいろいろ取り組んできているところでございます。
 具体的に申し上げますと、例えば高岡市におきましては、ものづくり・デザイン科というものをやっておりますけれども、すぐれた技術を持つ方に直接指導していただく制作活動を授業で行いまして、高岡開町400年事業の作品展に出品し、イベントへの参加意識を持たせること。高等学校の理数科や自然科学コースにおきましては、立山、黒部川などでフィールドワークを行いまして、体験的に自然科学を学ぶ、富山県の自然環境に対する認識を深めるなど、いろいろと取り組んできているところでございます。
 御指摘ございましたように、タイムリーなイベントをふるさと学習のきっかけ、調査活動の場として活用することは大事なことと考えておりまして、今後とも、子供たちの状況を踏まえまして、学習にふさわしいイベントが積極的に活用されるよう取り組んでまいりたいと考えております。

質問者:吉田委員

 先ほども言いましたが、改訂学習指導要領は、教育基本法の改正に伴って改訂されたものでありますけれども、ここにおいて、郷土教育というものが非常に重視されているのではないかと考えておりますが、富山県としてどういうふうに考え、具体的に対応していくのか、このことについてお聞きいたします。

回答者:東野教育長

 今回の学習指導要領の改訂でございますが、我が国やふるさとの伝統や文化に対する教育の充実というのが、主な改善内容の一つに掲げられているところでございます。
 ふるさと教育につきましては、社会科、総合的な学習の時間におきましてこうしたことを取り上げ、ふるさとについての理解を深め、ふるさとに対する誇りと愛情を育てることがねらいとされているところでございます。
 本県におきましては、これまで社会科におきまして郷土の先人を取り上げまして、時代背景とともに、苦労、努力をとらえさせること。総合的学習の時間においては、地域に伝わる浄瑠璃などの伝統芸能を取り上げまして、それを直接体験することを通しまして、伝承者としての自覚を高めていただくことなどに取り組んできているところでございます。
 こうした積み重ねもございまして、全国学力・学習状況調査におきましては、地域の行事に参加している子供の割合が、全国的に見て大変高くなっている状況になっているところでございます。  また、今回の高校入試におきましても、世界遺産としての五箇山合掌集落、富山県の工業生産などについて出題されたところでございまして、今後とも、さまざまな面におきまして、ふるさとに愛着を持った子供、生徒を育ててまいりたいと考えているところでございます。

質問者:吉田委員

 この郷土教育ということですけれども、たまたま先日行われました県立高等学校入試の社会科の問題を、私が質問をつくった後でしたが、拝見しましたら、富山ということを意識する設問がかなり多うございます。米騒動のことも入っていたり、それから世界遺産登録のことですとか、そういう意味で、非常に基礎的な教養といえばいいか、素養じゃないかというふうに思います。やはりこういうことが富山県の子供たちはしっかりとできていると、これが最終的にいろいろな場所に行って効いてくる──効いてくるというのは効果があらわれるということですけれども、そういうことになるのではないかというふうに考えます。ぜひこの部分についても積極的にお進めいただきたいなと考えます。
 それでは、この設問の最後でありますけれども、もう一度話を戻しますが、今、やはり国際化の時代ということで、世界の中の日本という話がまず出てきます。けれども、世界の中の日本は、日本の中の北陸であって、北陸の中の富山県であると。富山県の中の、例えば私は富山市であると、こういうことに必ずなるわけで、自分の足元をしっかりと認識しているということは一番大切なことであると、繰り返しになりますが、私は思うわけであります。
 目の前に石井知事がいらっしゃるわけでありますけれども、知事はさまざまな勉強をなさって、そして一度都会のほうに出られた。だけれど、最終的にこの富山に来て、富山のために一番先頭に立って頑張っておられるということは、紛れもない事実なわけであります。
 知事の体験というところも含めてでありますけれども、県民アイデンティティーの大切さというところについて、御所見を知事にお聞きいたします。

回答者:石井知事

 富山県の子供たちにつきましては、全国学力・学習状況調査なんかを見ますと、学力はなかなかいいんですけれど、例えば自然が豊かで美しい富山県なんですが、案外子供たちの自然体験が少ないといったような結果も出ております。
 また、安田善次郎さんとか浅野総一郎さん、こういったふるさとを支えたというか、出た偉人のことを案外知らない若い人が多いとか、また若者中心に活字離れが進んでいまして、言葉とか文学への関心を高めるための取り組みということも課題だなと思っておるわけです。
 今ほど委員から大変貴重ないいお話がありましたけれども、これまでも、小中学校の社会科や総合的な学習の時間にふるさと学習をやったり、これは学校にもよりますが、立山登山をやったり、また昨年からは、もっと自然体験をしてもらおうということで、公民館を中心に、身近な自然を生かして行う子供の自然体験活動などに取り組んでおります。
 自分の体験も話せというお話でしたが、私の子供のころを振り返りますと、例えば学校の帰りに牛ケ首用水でナマズをとって土地改良区のおじさんに怒られたりとか、こういうようなことが、今の自分にとって実は非常に貴重な体験になっている。あるいは滑川の母の実家に行ったら、この近くで昔米騒動があったんだよと、こういう話を聞かされると、米騒動というのは、子供ですからよくわからないんだけれど、いろいろ聞くと、そういうこともあったのかと。そういうことが、やっぱり今の自分をつくるのに役に立っているんじゃないかと思います。
 そこで今回、明日のとやま教育創造懇話会の提言もありましたし、また、ふるさと文学魅力推進検討委員会の最終報告なんかもいただきましたので、来年度の予算案で、富山ならではの取り組みである富山スタンダードというのを推進しようと。その中の一つの重要な事項として、委員のおっしゃる、子供たちのふるさとに対する誇りと愛着を育成するための事業を新たに進めることにしております。
 具体的に言いますと、例えば郷土の歴史と文学入門講座とか、また大学と連携しまして、ふるさと文学県民講座とか、あるいは文学ゆかりの地を散策するツアーをやろうといったような、幅広い県民の皆さんにこのふるさとのよさに親しんでいただく企画をすると。
 また、ふるさと文学に親しみ学ぶための基盤づくりということで、県立学校で郷土史や日本史学習、これは来年度、学習内容や補助教材を調査研究しまして、22年度にはモデル校で試行するというふうに実施に向けて進めていきたいと思います。
 さっき藤原正彦さんのお話がありましたが、私も何度かお話しする機会がありましたけれども、あの方がいつもおっしゃるのは、郷土を誇りに思う気持ちが、その人の人間的な魅力とか信用につながるんだと。本当の意味の国際人になるには、まさにそれが重要な要素なんだということを力説されます。
 私は、富山県の子供たちが、ふるさと富山の自然や歴史や文化を学んで親しんで、そしてそれに誇りや愛着を持って、みずからのアイデンティティーをしっかり確立して、富山県や日本の活力ある社会づくりにしっかり貢献してもらう、また世界に羽ばたいてもらう、そういう人間になっていただくように、教育委員会なんかともよく相談しながらしっかり取り組んでまいりたいと、こういうふうに思っております。

質問者:吉田委員

 知事、ありがとうございます。
 知事の言葉にもありましたが、最初に、わかったかわからないかは別として、学ぶと。そして後になって、自分が振り返ると、それが本当に大切だったというふうにおっしゃいました。私もそうだと思います。
 例えばイタイイタイ病ですとか米騒動にしても、小さい小学生に教えてどこまでわかるかというと、非常に難しいところがあると思うんです。でも、イタイイタイ病にしろ米騒動にしろ、そこには富山県民の勇気といえばいいか、日ごろは静かだけれども、やるべきときにはやらなくちゃいけないという、そのすばらしさが、振り返ったときに出てくるでしょうし、そういうものが本当に大事な郷土教育だと思いますので、私は郷土教育は押しつけでいいと思います。どんどんやっていただきたいなというふうに思うところであります。よろしくお願いいたします。
 次に、観光・地域振興について質問させていただきます。
 元気とやま観光振興条例は、自民党を中心にして、12月の議会で皆様に通していただいたということであります。観光、そして地域振興ということでありますけれども、このことについても、やはり大切なのは、観光という一つの手段を使いながら、自分たちを見詰め直してみようと。ここが本当のみそでありまして、一番大切なことじゃないかなというふうに思うわけであります。
 以下、4問質問いたしますが、観光・地域振興局長の寺井さんにおかれましては、私は日ごろの人柄というものを存じ上げておりますので、答弁のときにはもっと笑顔で、そしてやっぱりあこがれの部署じゃないかなと思うんですね、県の職員にとっては。やっぱり地域振興の親分ができるというのは本当にすばらしいことだと思いますし、そういう意味で御答弁いただきたいなと思います。
 まず、県内での県民向けの観光、そして時節ごとに、富山県においてもタイムリーなものがあるわけでありまして、こういうものを組み立てて、そして市町村と協力しながら情報を共有し、戦略を練っていただいているのが観光・地域振興局だと思います。このあたりの御努力について、寺井さんにお聞きいたします。

回答者:寺井観光・地域振興局長

 観光振興におきましては、委員おっしゃいますとおり、県民、事業者・民間団体、市町村、県などが協力しまして、県民こぞって取り組んでいくことは大事なことであります。せんだって中間取りまとめが行われました観光振興戦略プランにおいても、そういった意味で意見交換会をしたりとかという形で、皆さんの意見を聞きながら検討しておるということでございます。
 市町村や観光事業者の皆さんとの連携につきましては、これまでも随時説明会とか情報交換会を行っておりますし、市町村からいただいた観光情報などもいち早くホームページに掲載するなどして周知いたしております。
 また昨年、東海北陸自動車道の全線開通を契機に、いろんな形で首都圏等でキャンペーンを行いましたけれども、その際にも、市町村や観光事業者の方と共同で実施いたしております。今週末、15日にも東京などでキャンペーンを行いますが、市町村の皆さんと一緒に行う予定にいたしております。
 来年度は、さらにそれを進めまして、市町村の皆さんと共同で大規模広告なども実施したいと考えておりますし、富山湾横断観光船といった形で、県、黒部市、氷見市の3者が協力して新しい魅力に取り組むといったようなこともいたします。
 また、おっしゃいましたように、県内観光の点につきましても、県内の温泉などの宿泊は県内客のウエートも結構あるといったようなこともありますので、そういった視点で、県内の地域間交流が活発になるように取り組んでいきたいというふうに考えております。

質問者:吉田委員

 1問目の郷土の勉強ともかかわるんですけれども、高岡開町400年事業というのが目前に迫っております。これが内向け観光、県民向けの観光としても非常にいいのではないかというふうに思うんですけれども、局長のお考えをお聞きいたします。

回答者:寺井観光・地域振興局長

 高岡開町400年につきましては、地域の魅力再発見、継承といった観点から絶好の機会でございまして、市民が伝統産業でありますとか、町衆文化といった高岡の魅力を再発見、再認識していただいて、新しいまちづくりに取り組むエネルギーが高まることを期待いたしております。
 高岡市民以外の県民の方も、こういった行事に参加していただくことによりまして、富山県のすばらしい歴史、文化を再認識していただくというだけでなくて、先ほども申しましたように交流人口の拡大にもなりますので、大変意義深いというふうに思っております。
 県といたしましては、高岡開町400年もそうでありますが、それに限らず、地域間交流を活発にするねらいで、お祭りフォトラリー・フォトコンテストの実施も計画いたしております。それから、富岩運河のソーラー船でありますとか、射水市内川の水辺のまちづくり、今ほど申しました富山湾横断観光船といった新しい魅力を創出するといったようなことにも取り組みまして、県民の皆さんのふるさとの再発見、地域間交流、さらには観光振興というふうに結びつけていきたいと考えております。

質問者:吉田委員

 観光・地域振興局のほうでホームページ「とやま観光ナビ」を刷新されたということであります。私も見させていただきました。非常に明るい、いいものに改良されたなというふうに思うんであります。
 「内向け」という言葉は、県民向けという意味でありますけれども、そういう観光の視点から、このホームページの特徴が何かないのかと思うんでありますが、どうでしょうか。

回答者:寺井観光・地域振興局長

 最近は、御案内のとおり観光情報をインターネットから入手するということが多くなってきておりますので、そういうこともございまして、本年度、県の観光ホームページをリニューアルいたしました。先月末に公開いたしましたけれども、見やすく、インパクトのあるものになったというふうに思っております。
 これは、もちろん県民だけでなくて、全国あるいは外国に向かってもつくっておるものでございますけれども、県民という視点も含めまして、トップページに海越しの立山連峰から四季折々の観光スポットに自動的に切りかわるバナーを設定いたしまして、県外の方はもちろんですが、県民の皆さんにも、改めて富山県の観光資源はすばらしいなと思っていただけるように工夫いたしました。
 それから、県民を初め、既に富山県のことをよく御存じの方にももっと知っていただけるように、「絶景」「味覚」「祭り」「文化」などの区分によって、詳細な情報を記事風に掲載させていただいております。
 また、観光施設や見どころの情報につきましても、名水百選を追加するなど内容の充実を図りましたほか、地図のサイトと連動して位置を表示できるようにいたしました。  また、バリアフリー対策の有無といった情報もつけ加えまして、使い勝手のよいものに工夫したつもりでございます。
 今後も、引き続き情報の更新に努めまして、よりよいホームページの充実を目指してまいりたいというふうに思っております。

質問者:吉田委員

 ホームページについては、私は何度も質問させていただいておるところでありますが、非常にすばらしいものに仕上がっていると。こうなったときに、富山県のトップページから観光のところに飛ぶというところが、まだもうちょっと改善の余地があるなというふうに思ったところであります。ここについてもぜひ、いいものができたから、それは期間限定でもいいんじゃないかなと思うんですね。そのときそのときで一番タイムリーなものを、リニューアルしたときには富山県のトップページからすぐそこに入れるようにすると。こういうような改善を、ぜひまた当局としても御努力いただきたいなというふうに思うわけであります。
 私自身は、富山青年会議所という団体に所属しております。青年会議所については御存じの方も多いと思うんでありますけれども、きょう実は青年会議所からも傍聴ということで応援に何名か来てくださっているんですけれども、ニュージェネレーション育成委員会という委員会を、富山青年会議所のほうではことし一年立ち上げておりまして、ここが地域社会について自分たちでできることは何か、そういうことをやっていこうというテーマで頑張っている委員会であります。
 本年度の取り組みとして、僕が非常にいいなと思いましたのは、青年会議所というのは大体20代から40代の大人の人たちが、自分たちでまちづくりの企画の中身まで決めて、それを子供たちにやっていただくというのが通常の手法なんですけれども、そうではなくて、小中高大学生、その地域の子供たちが、自分たちで中身も考えて、そしてそれを実行していくという、もう一歩先に進んだ考え方、これを実行しようとしているわけであります。
 宣伝になりますけれども、鈴木さんという方がおられまして、東京大学の現役の学生さんだそうですけれども、この方がユナイテッド・チルドレン・ジャパンというものを設立されたそうです。この方は、中学生のときに自分たちが参加してやっていくまちづくりの楽しさとか、こういうものを勉強されて、やられたのは静岡が最初だったということなんでありますけれども、そこから全国に広げていきたいということで、今月の17日に富山県へ講演に来られるわけであります。聞いていただければ、非常に地域振興という意味でのとっかかりにつながるのではないかなという意味で、すみません、少し宣伝させていただきました。
 私は、これからの富山において、さまざまな地域振興の活動をしていくときに、これは非常に有用な考え方じゃないかというふうに思うわけであります。地域の若者が主体となって、さまざまなことを企画のところからやっていくという、この考え方について寺井観光・地域振興局長にお聞きいたします。

回答者:寺井観光・地域振興局長

 地域の問題につきましては、少子高齢化や人口の減少などに伴いまして、地域コミュニティーの機能の低下が問題となっておりますし、地域活動を支えておる人材自身も高齢化が進んでいるといった状況もあります。
 未来を担う若者が柔軟な発想と行動力で積極的に社会活動に参加していくことが、自立した活力のある社会をつくっていく上で重要なことであるというふうに思っております。  このため県では、中学生のときから職場体験やボランティア活動による社会性を高める14歳の挑戦や、県立各高校におきましてチャレンジショップやオリジナル商品の開発など、中高生の時代から社会の一員としての自覚を養うように努めております。
 また、今ほど御紹介いただきましたように、JC青年会議所におかれましても、子供を将来の産業人、社会人として育てていかれるような、そういった社会貢献活動もしていただいております。また、若者の自主的なイベントと申しますと、例えばスキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドのような成功事例もございます。
 このように、若者が主体となって地域の活性化に取り組む活動がもっともっと盛んになってほしいというふうに期待いたしております。
 県といたしましては、このために、とやま若者・地域チャレンジ支援事業を活用いたしまして、若者が斬新な発想により企画し、主体的に取り組む地域の活性化につながるイベントに支援していくことにいたしております。また、とやま起業未来塾に地域づくりリーダー養成コースを設けておりまして、これにより、地域の課題に積極的に取り組む人材の育成に努めたいと思っております。  今後とも、県庁各部局と連携して、できるだけ若者が地域づくりに参画できる場を提供することなどによりまして、「元気とやま」の創造を目指していきたいと思っております。元気で若々しい吉田委員にもぜひお力添えをいただきたいと思います。

質問者:吉田委員

 ありがとうございます。
 続いて、英語教育についての質問をさせていただきます。
 英語教育については、今議会が始まる前の教育警務委員会のほうでも横山先輩が質問されておりまして、これは実施されるのが前提ということで横山先輩は質問されておられたわけでありますけれども、私自身は、もう一度、この英語教育というものの位置づけ、必要性、そしてこれが今度の新学習指導要領では、幼稚園はいいとしても、小学校のほうに完全に導入されることが決まりますし、高校のほうでは英語を英語で教えるというような、とんでもない話にまでなってきているわけであります。
 まず根本的に、この英語というものは、私たち日本人というものをつくっていくに当たって、本当の日本人としての力、そこにプラスになるからこそ英語を学ばせるはずでありまして、これが逆に日本人としての考える力ですとか生きる力とか──生きる力はちょっと言い過ぎでしょうけれども、そこにまで影響していくようなものであっては断じてならないわけであります。
 非常に哲学的といえばいいか、考え方のところになりますので、私自身勉強がまだまだ足りないなと思っておるところでありますが、ぜひここは八木教育委員長にお考えをお聞きしたいと思いましたので、英語教育を導入していくこと自身の賛否、それからメリット、デメリット、このあたりについての御所見をお聞きしたいと思います。お願いいたします。

回答者:八木教育委員長

 小学校などに英語教育を導入するということの、まずメリットから申し上げたいと思いますけれども、子供というものは実に柔軟であります。そして私どもの考えも及ばないほどの適応力を持っております。したがって、コミュニケーションというものに対する積極的な態度の育成であるとか、あるいは英語の音声は日本語とはまるっきり違うので、そういうものや基本的な構造、表現やなんかというものになれ親しむということ、そのことは小さければ小さいほどよいということは言えるだろうと思います。
 それからまた、年齢が低ければ、外国の風物であるとかそういうものに対して物おじするということがない。そしていわれのない優越感であるとか劣等感を持って、それに接するということがない、そういうメリットもあろうかと思われます。
 そしてまた現在、実際問題としては、ほとんどの小学校で英語の活動というものは行われているのでありますが、これは本県の場合でも非常に大きなばらつきがあります。そういったものが学習指導要領できちっと定められることによって、そのばらつきが解消されるであろうというようなことも一応はメリットになるかなと思われます。
 デメリットというものはあるのですね。いかなる物事であっても、よい面と同時に、それは悪い面を持っております。例えば今の場合、小学校の子供に英語教育を導入して、指導の方針であるとかそういうものを間違えたといたします。例えば中学校でやることを前倒しすればいいだろうというような考え方でありますが、そのおそれは確かにあるのです。そうすると、早い時期に英語嫌いをつくってしまうというようなことも心配されます。
 さらにまた、これは時間の問題にもなるのですけれども、そういったものを導入することによって、肝心かなめの国語力、日本語の力、そういったものに影響するところがあるのではなかろうかという心配であります。これは中教審においてもかなり議論があったところであります。  さりながら、現在の状況というものを考えてみますと、急速にグローバル化というものが進んでおります。さような点を考慮に入れた場合には、小学生の発達段階というものに十分考慮しながら、楽しんで学ぶということは大事なことだろうと思うのです。そのことによって、コミュニケーションというものに対する積極的な態度を育成すると。あるいはまた言葉への自覚を促す。そうして幅広い言語に関する能力というものを伸ばしていく、あるいは国際的な事物であるとか、物の見方というものへの基礎的なものを養うということに、英語教育というものはかなりの力を発揮するであろうと、そのように考えるのであります。
 このことは非常に重要なことでありますので、デメリットとメリットを比較考量した場合に、やはりメリットはかなりあるだろうと思われます。そういうことで努めてまいりたいというように考えております。

質問者:吉田委員

 教育委員長のお話をお聞きしましても、本当にメリットもデメリットもあるんでありますけれども、デメリットになったときのことが、やはり私は怖いなと思います。
 新しい試みでありますので、注意深く私たちも見ていくことこそが一番大切なことじゃないかなと思います。英語にこのやり方を導入したことによって……。何といっても日本語というのは、実は言葉は考えのすべてでありますから、言葉がきちんと自分の中で概念として定義されていないと、物事を考えていること自身が非常に足場のないものになってしまうと思うんです。
 最終的に英語ができなくても、その人は英語ができないということで生きていくことができなくなることはないと思います。けれども、日本にいて日本語ができない、あるいは自分の考える筋を持つ言語というものを持たない子供をつくってしまったら、それは本当にこれからの日本にとって致命的だと思うんですね。
 教育というものは、国がいろんなことを決めていると言っているけれども、現場は私たち地域に任されているというのも現実だと思います。そういう意味で、特に英語教育については、しつこいようですけれども、本当に危惧している状況にいかないのかということを注意深く見詰めていただきたいなというふうに切にお願い申し上げます。
 大変生意気でございますけれども、私たちはここで教育された子供たちと一緒にこれからの国をつくっていかにゃあかんということでありますので、本当に心配いたしております。
 続いて、この導入において、現場で想定されている問題点についてどのように認識されているか、東野教育長にお聞きいたします。

回答者:東野教育長

 今ほど委員長から答弁がありましたように、すべての小学校では何らかの英語活動を行ってきているのが実態でございます。
 小学校の教員は、英語活動自体につきましては一定のイメージは持っているわけでございますけれども、今回正式に学習指導要領の一環といたしまして、外国語活動ということにされます。週1時間、目標とねらいを持って、「英語ノート」という正式な教材をもとに展開されるわけでございまして、委員御指摘のように、現場のほうにおいてはいろいろな戸惑いがあるわけでございます。  昨年実施いたしました、校内研修の指導者となります中核教員を対象としたアンケートでは、効果的なわかりやすい指導資料や教材、ALTや英語に堪能な人々に学校へできるだけ多く来てほしいといったようなことなどの要望が寄せられたわけでございます。
 現場において一番の戸惑いといいますのは、今まで授業として国語、社会、算数、理科のみを教えていた教員が、週1時間、正式な学習指導要領に基づいて英語を行っていくということへの戸惑いで、特に研修はいろいろやるわけでございますけれども、発音面などを含めた英語指導の悩みなどについて、私どもも適切な指導助言を行っていく必要があろうかと考えているところでございます。

質問者:吉田委員

 富山県においては、実施に向けた準備の状況はどうなっているのか、続けて教育長にお聞きいたします。

回答者:東野教育長

 富山県におきましては、全部の小学校から1名代表教員を選びまして、外国語活動中核教員研修会を実施しておりまして、こういう人たちが各学校へ帰りまして校内研修で教えるといったようなこと。国からの教材だけでは少しわかりにくい面もございますので、具体的な授業の進め方について示しました活用事例集を作成いたしまして、各学校に配りたい。あるいは雇用交付金を活用いたしまして、地域の拠点となる小学校20校に小学校外国語活動協力員を配置いたしまして、教材作成や発音指導の支援を行いたいということを考えているところでございます。

質問者:吉田委員

 続きまして、英語教育は、新学習指導要領においては、高校のほうでも非常に大きな変化が予想されています。英語で教えるということが、さらっと指導要領に書いてあるんでありますけれども、これは本当にどうなのかなと思うんですね。
 何よりも私が心配なのは、英語を英語で教えるとか、そういう努力はいいですけれども、発音が別に下手でも、必要であれば心で会話というものはしていくものであって、発音が下手だから英語が使えないとか、そういう話というのはとんちんかんなことなんですね。それよりも、例えば英語には英語の論理があるわけでありますし、それから何で英語を学ぶのかという本質をきちっと押さえた上で、必要だから英語を英語で教えますという話に落ちているのかどうか非常に不安であります。八木教育委員長に、所見をお伺いいたします。

回答者:八木教育委員長

 先ほども申しましたけれども、今日、グローバル化というものが非常に急速に進展しております。物も資本も、あるいは人間も、情報もそうでありますけれど、行き交いをしているわけであります。
 さような事態になりますと、通商や文化、政治、そういうものの言葉というものは何語を用いるのかということが問題になります。圧倒的に優位に立っているのは、それは確かに英語であります。そのこと自体がよいことか悪いことかという議論はともかくとして、例えば日本語の場合には、非常に外国語を受け入れやすい構造になっておりますから、例えば「パソコン」というような言葉がそのまま用いられます。フランス人は、そういう点では法律までつくって頑張っておりますから、コンピューターについては「オルディナトゥール」という別の言葉をつくり出しております。さりながら、こういうものが英米を基本としてできたということは、これはもう仕方がないのであります。今日では、英語がわからなければやっていけないという状況になっております。
 さような点を考えますと、およそ言葉というものを勉強するその根底には何があるのかと申しますと、それは自分の考えや何かというものを相手に伝えること、そのことが非常に大切なことになるわけなんです。その場合には、相手をよく理解しようとする態度も必要になります。そして、より多くのものを学ぼうとする、そういう態度がどうしても必要なのです。そのような資質を養うということが言葉の学習には求められます。
 今、英語が世界でこのような状況であるということを考えるならば、若い者にとってはどうしても必要だと言わざるを得ない。その場合に、英語の学習というものの充実を図るということは、その意味からも非常に重要なことだと思います。すべての言葉を学ぶというだけの時間はございませんので、もし1つだけ学ばなければならない外国語とすれば、やはり英語になるであろうということになります。
 そして、英語を英語で教えるということでございますけれども、私の体験を申しますと、私は30代になってハワイへまいりました。そうしたら最初に向こうの人が真珠湾へ連れていって何かしゃべっているわけであります。寄せては返す波のごとく、私には何も理解できなかった。ただ、あっちの方角からゼロ戦が来たというようなことを言っているのであろうということぐらいしかわからなかったものです。これは、そういった教育というものを全く受けていなかったことに由来するであろうと思われます。しかし、そのかわり50冊の書物を渡されて、これを読んでおきなさいと言われたとき、それを読むことができたのは、私の特典であろうと考えております。
 今日、戦後を考えてみますと、子供たちであれ何であれ、非常に音声面では進歩したと思います。それはもう間違いがない。そうでありますので、そのような意味合いから申しましても、およそ言葉を学習する場合に、それが外国語であるならば、その言葉によって学習を進めるというのは本道なのです。さような意味合いを考えますと、実は日本語を勉強する場合も日本語で勉強するのです。外国語の場合も同じことであります。
 私はその点について、必要な場合に日本語を使用するということ──英語を教える場合にもですよ、必要な場合において、日本語を使用するということを否定するものでは全くありません。どんどん使わなければならない。さりながら、外国語であれ何であれ、言葉の学習には、その言葉をもって教えるというのが非常に大切なことなんだということは言える、また、言わざるを得ないというように思うのです。
 これから後の若い人たちというものは、そういう点では有利な立場にありますので、教育委員会においても、それはそういった英語の先生というものを養成するということに非常に力を尽くしていかなければならないと思い、そしてまた現実には、そのように取り計らっているところなんです。

質問者:吉田委員

 八木先生にハワイの話までしていただいてのことでありますので、安心してお任せしたいなと思うところでありますが、よろしくお願いいたします。
 問4、電力エネルギー政策について質問させていただきます。
 富山県は、実は1人当たりの電力消費量が全国一だと。これは各家庭でそれだけ使っているということではなくて、県内の産業を含めたすべての数字でありますので、一概に富山県民が電気をだらみたいに使っているということではないんです。特に今回は水力についての電力のことをお聞きしようと思うんですけれども、富山県が歴史的にも非常に先進的な、また重要な役割を果たした県であることは間違いないわけであります。
 本議会においても、小水力発電について非常に多くの質問がありましたし、当局としても、ここに力を入れていらっしゃるという現状であります。私は、そのこと自身は温暖化対策ですとか、さまざまな大きな観点から非常に大事なことだと思いますし、応援しております。ですけれども、何かあっても小水力発電があるからというような──そこまでは言っていないにしても、私は小水力発電というもの自身も、これからの次世代の電力エネルギーのための一つのつなぎの電力であるという謙虚な姿勢といえばいいか、そういうものが常に私たちに必要じゃないかなと思うわけであります。
 まず、富山県として、この小水力発電について、電力需要の中で、石油代替エネルギー、環境モデルなどさまざまな位置づけがあると思うんですけれども、どのようにとらえて位置づけしているのか、斉藤商工労働部長にお聞きいたします。

回答者:斉藤商工労働部長

 小水力発電は、CO2を排出しないクリーンな再生エネルギーであり、また設置する際の地形の改変が小さく、水量も小さい環境調和型エネルギー、さらには地域の既存施設の維持管理費の軽減にも寄与する地域密着型のエネルギーなどの特徴があります。また、新エネルギー法では石油代替エネルギーの一つとして位置づけられております。
 こうしたことから、小水力発電事業は、どれに位置づけるということではなくて、低炭素社会や代替エネルギーへの対応、あるいは地域振興など、多面的に位置づけられる事業であると思っております。

質問者:吉田委員

 この小水力発電が、今おっしゃったようなさまざまな観点から資するということは、私もそうだろうと思います。
 小水力であっても水を使うわけでありまして、本質的には自然の川の流れの中で、私たちの経済活動やさまざまな需要、目的のために水を分けて、そしてそれが例えば発電に使われたり、農業用水に使われたりと、そういう役に立つべき水ということで使われているわけでありますが、富山県において、今小水力発電に適する場所を探すことは非常にすばらしいことだと思います。
 ただ一方で、ずっと言われていることの一つに、使った資源をもう一度本来あるべき姿に戻していくという努力も並行してやっていかなくちゃいけないという大きな観点がありますけれども、それとの整合性という意味で、どのように小水力発電を考えていらっしゃるのかお聞きします。

回答者:斉藤商工労働部長

 小水力発電を整備する場合、まず水利権の問題がございますけれども、この水利権の取得に当たりましては、生態系の維持とか景観、流水の清浄性の保持のため維持流量を確保することとされておりますけれども、委員御指摘のように、水環境とか河川本流の生態系などに影響が出ないように取り扱われているところでございまして、例えば県企業局で小水力発電を整備するに当たっては、関係者立ち会いのもと、水生生物の生息調査を行い、その結果を踏まえて、水生生物保護の観点から水路の維持放流量を決めるなど、必要に応じて水環境に十分配慮しているところでございます。

質問者:吉田委員

 小水力発電の一番のトピックスとして、今、仁右ヱ門用水の発電があるわけであります。私自身も、非常に注意深くといえばいいか、応援もしたいし、そして気をつけていただきたいなと思うんでありますけれども、トヤマ・ジャスト・ナウの資料によれば、年間供給電力量が一般家庭の840世帯分ということで、私はこれを聞いて、非常に大きな電力を生むんだなと思いました。そうなんですけれども、本質的には、ここでそれだけできてくるから、県として、ほかのところでその分を抑えていこうという、そこが並行して進んでいくべき考え方じゃないかなというふうに私は思うんです。
 また、小水力と言いながらも、非常に大きなお金をかけて、大きな設備になってしまうというのが今の現状だと思います。さまざまな点で、これからの小水力発電への考え、運用というところに、最終的には撤去する部分までも考えた小水力への取り組みというものを、富山県だからこそ進めていただきたいと私は思いますが、商工労働部長の見解をお聞きいたします。

回答者:斉藤商工労働部長

 御指摘のように、小水力発電が設置される場所というのは、自然環境が豊かであるとか、それから住居地域の隣接地域というような場所もございますので、そういった発電設備といいますか、建屋等の設計等においては、外観に配慮するということは十分必要であろうと思っております。
 それから、この水力発電の設備というのは通常五、六十年、それ以上使うという想定でございまして、大規模な水力発電に比べると、運転保守とか、修繕とか、維持管理、撤去などは比較的容易であります。しかしながら、こうした利点も生かし、景観にも配慮しながら、撤去というよりは採算性の向上という観点からも、短期ではなくて、維持修繕しながらなるべく長期に運用して、採算性の向上にも努めていくということが大事であろうと思っております。

質問者:吉田委員

 部長の御答弁は、当然だなと思うところもあります。なおさら、つくられるときに、これからの時代に引き渡していくんだよという考え方のもとで、慎重な設計、それから運用をお願いしたいというふうに思うわけであります。
 最後に、特に電力エネルギーについてでありますが、富山県としての政策、施策も、やはり地球温暖化対策、脱二酸化炭素社会という大きな目的の中で位置づけられていくことであろうと思います。
 富山県では富山県地球温暖化対策県民会議というものを既に立ち上げておられて、会議も3回重ねておられると。非常によい意見も出ているように私は思っております。全体として、電力エネルギー消費量自身をまずは抑えていこう、不必要なものを削ろうと、これがまずあった上でのさまざまな対策でなくてはいけないというふうに思うわけであります。知事に、このあたりについてのお考えをお聞きいたします。

回答者:石井知事

 委員の御指摘のとおりであります。もちろん、小水力発電などを推進するだけではなくて、無駄なエネルギーを使わないエコスタイルへの見直し、あるいは省エネ設備の導入、いろんな分野で努力しなきゃいかんと思います。
 県では、御承知のとおり、昨年全国で初めてレジ袋の無料配布とりやめをやったんですけれども、それだけではなくて、昨年7月の全国知事会で富山県として提唱しまして、このレジ袋の削減をやろうじゃないかというふうにしまして、緊急決議をしてもらいました。結果として、この4月1日から始めるところも含めて、5つの県で富山県に続けということで、今、レジ袋の無料配布廃止が広がっております。
 そのほか、エコドライブ推進運動なども県民総ぐるみでやっているわけですが、新年度におきましては、今ほどお話がありました地球温暖化対策県民会議の御意見もいただいて、まず新たに、家庭部門では住宅用の太陽光発電システムの導入を補助金や融資制度で応援しようと。また、ノーレジ袋運動ももっと全国に広げようと、これは環境省も応援するということで、全国フォーラムを富山県でやる。
 また、産業部門では、とやま省エネ鑑定団というもの──これは昨年の9月にできましたが、こういう皆さんのボランティアで、中小企業の省エネ診断を進める。また、融資制度もさらに金利を下げるというふうにしております。
 また、運輸部門では、エコドライブコンテストとか、ノーマイカー運動を促進するモデル事業をやっているんですが、県によります電気自動車の率先導入。また低公害車化を4年で200台進めるというふうに県有車について言いましたら、これに早速反響がありまして、きょうの新聞に出ましたが、地元の田中精密さんなどから、その趣旨に賛同するということで、高性能のハイブリッド車の贈呈もいただきました。これも、今車の技術が進んでいるなと思うのは、イーコンモードとかコーチング機能、ティーチング機能とかがあって、要するに、そのとおりにしますとエコドライブにならざるを得ないような性能を持った車になっていまして、やはり富山の企業もすごいなというふうに思った次第です。
 このほかにも、例えば、先ほど来話が出ておりますソーラー船の運航とか、また農家の皆さんにも協力してもらって、省エネ設備を園芸農家に導入してもらう。また、漁業者の方には省エネ操業をしてもらう。こういったものを支援するとか、また水と緑の森づくり税を利用して元気な森の再生をやるとか、また太陽光を利用した大容量ポリマー電池システムの開発をするとか、いろんな点でしっかり、あらゆる分野で頑張っていきたい、こういうふうに思っております。

質問者:吉田委員

 ありがとうございました。