2009.06.24 : 平成21年6月予算特別委員会

質問者:吉田委員

 よろしくお願いします。
 今ほどお越しになりました副議長のほうから、「吉田君は元気しかないんだから、元気だけはしっかりやるように」というふうに言われました。私も常々そう思ってはおるんですが、やっぱりそうなのかなというところでございます。一生懸命質問させていただきます。
 クールビズの季節でございますが、きょう私はネクタイをしてまいりました。今ほどおめでたい山本先輩のほうから質問がありましたが、これは雨晴のデザインのネクタイでありまして、少し宣伝ということでございます。また、クールビズなのにその暑苦しい頭は何だと皆様から御指摘いただいておるんでありますが、解散が長引いておりますので、髪の毛も長くなっておるということで、御了承いただきたいというふうに思うわけであります。
 今回の質問のキーワードは、「鍛える」であります。みずからを鍛える、地域を鍛える、心を鍛える。テーマにつきましては、毎回同じでありますが、「未来への種まき」ということであります。
 本会議におきまして、我が党だけでも、米原議員が代表質問で、新しい学習指導要領の評価について。五十嵐議員が一般質問で、新しい教科書の採択について、郷土の歴史、伝統、文化の教育について、全国学力・学習状況調査の結果について。井村議員が、教師の学び支援塾について、小学校の英語学習について。稗苗議員が、これから教員となる人材について県の考え方と採用評価について。中川議員が、新学習指導要領での武道、ダンスの位置づけについてと、さながら「これからの教育について」というテーマでの集中議会を行っているような感がございます。
 先輩方の教育に対します熱い応援に感謝しながら、私は教育問題について、これからの長期的な視点ということを踏まえまして幾つか質問させていただきたいと思います。
 また、ちょっと蛇足にはなりますが、本議会に入りまして、私は井村議員のほうから一冊の本を渡されました。タイトルが「危うし!小学校英語」。鳥飼玖美子さんという方の本でありまして、私のはサイン入りの本でありました。「おくりびと」の地の井村先輩でありますが、先輩が「おくられびと」になる前に私にこれを渡されたんじゃないかと、それぐらいの、何と言えばいいか、熱い目で、教育のことは吉田がしっかりやれと、こういうふうに言ってくださいましたので、またしっかりと質問してまいりたいと、こういうふうに思うところでございます。
 問1、長期的な教育の方向について。
 新しい学習指導要領では「生きる力」、これが大きな言葉であり、そこに確かな学力、豊かな心、健やかな体、これらの調和というふうにうたっておるわけでございます。村井教育委員長の答弁にもそのようにありました。確かにそうではありますが、私は、今富山県において、元気とやま創造、そして富山県に必要な子供の資質を一番に考えると、もっと砕けた言葉で言えば、たくましい子、打たれ強い子、かい性のある子、こういう子供をいかに育成するかということがすべての基本になるのでないかというふうに思うわけであります。村井教育委員長の見解をお聞きします。

回答者:村井教育委員長

 元気とやまを創造するためには、あすの富山を担う知徳体のバランスのとれた、健やかでたくましい子供の育成が何よりも大切と考えております。
 近年、都市化、少子化の進展や、経済的な豊かさなど社会環境が変化する中にあって、子供は自己中心的で、我慢し粘り強く頑張ることが弱くなってきていると思っています。このため、子供の学ぶ意欲や学力、体力の低下、問題行動などが課題となってきておりまして、すべての子供が社会でたくましく自立して生きていく力を身につけさせることがますます重要になってきていると考えております。
 このような力を身につけさせるためには、子供の発達段階を踏まえて、いわゆる適時適切に指導を積み重ねていくことが大切であると思っております。具体的には、幼児期、小学校低学年では、家庭と連携し、善悪の判断力や基本的な生活習慣を身につけさせること。また、小学校の中・高学年では、悔しさや自分のふがいなさを克服し、仲間と頑張る体験を通し忍耐力や社会性をはぐくむこと。また中学、高校では、ボランティア体験等を通し自己を見つめ、人間としてのあり方、生き方を考えさせること。こうしたことなどを子供の成長に合わせて、身の周りの人々との交流や友達との切磋琢磨を通じた自立を支援し、たくましさを身につけさせることが大切であると考えております。
 また、こうした力を支える基礎体力や健康を管理できる能力をはぐくむことも大切でございます。
 学校、家庭、社会が協力し合い、このように子供の発達に合った体験を適切に取り入れることなどにより、打たれ強く、忍耐力やみずから考え行動する力、委員御指摘のいわゆるかい性を持った、たくましい子供を育てていくことができるのではないか、そういうことが大切なのではないか、そう考えます。

質問者:吉田委員

 今ほど教育委員長のほうからも最後のところで、やはりかい性のある子というのが基本になるというような御趣旨の答弁だったと私は思うわけであります。これからいかにそういう子供を育てていけばいいのか。そして今、この富山県において、あるいは全国的ではありましょうけれども、そういう環境が整っているのか。そのことを検証しながら進めていきたいと思います。
 まず初めに、私が申し上げた、たくましい、打たれ強い、かい性のある、これはすべて体にかかわってくる部分が基本でないかと、こう思うわけであります。20年前あるいは30年前と比べますと、今の児童というのは、体格はよくなっているのは皆さんも御存じのことでありますが、体力の部分で低下が見られるのではないか、ここが非常に気がかりなところでございます。
 本県の児童生徒の体力の状況について、今、現状をどのように認識されているのかということについて、東野教育長にお聞きいたします。

回答者:東野教育長

 平成20年度に実施いたしました富山県児童生徒体力・運動能力調査によりますと、小学生及び中学生の総合的体力につきましては、小学5年生、中学1年生、3年生の男子が全国平均をやや下回っておりますものの、その他は全国平均を上回っております。高校生の総合的体力は、すべての学年、男女において全国平均を大きく上回っているという結果が出ているところでございます。しかしながら、委員からも御指摘ございましたように、昭和60年ごろ──ちょうどファミコンが始まった時代でございますけれども、児童生徒の体力を60年ごろと比較いたしますと、本県も全国と同様に60年をピークに低下してきているところでございまして、平成10年から20年度にかけまして、おおむね向上傾向には転じているところでございます。
 また、小中学生の体力を平成10年度の県平均と種目別に比較してみますと、敏捷性を見る反復横跳び、瞬発力を見る立ち幅跳び、全身の持久力を見ます20メートルのシャトルランというものは大きく伸びております。しかしながら、課題といたしまして、小学生では筋力を見る上体起こし、走力を見る50メートル走、中学生では50メートル走、ハンドボール投げが下回っておりまして、筋力、柔軟性、走力などが低下しているところでございます。

質問者:吉田委員

 今ほど教育長のほうから紹介いただきました平成20年度の全国体力・運動能力調査というのは、運動習慣と生活習慣についても同時に調査していただいているものであります。文科省が行ったものでありますが、御存じのように、富山県は学力については全国トップレベルの結果が常に出ているわけでありまして、文武両道というところからいけば、平均を上回ってはいるものの、やはりもう少し上を目指さなくてはいけないと、こういうふうにも思うわけであります。
 また、全体的な体力低下の根本の問題として、教育長から「ファミコン」という言葉が出ましたけれども、テレビゲームあるいはテレビというものが、今本当に私たちの身近にあり過ぎるというか、非常に時間を使うものとして子供たちの生活環境にもあるわけです。
 調査によりますと、2時間、2時間半、3時間と、これぐらい毎日見ているのが当たり前というか標準というような状況になっているわけであります。ここについて、体力をどのように向上するかといったときに、基本的に学校でできることはやはり限られていると。そして、この体力を向上するためには、家庭での生活習慣がどのようなものかということも非常に大事だと思うわけであります。
 ちなみに、福井県は、この調査で体力が1位で学力は2位という文武両道を達成している県なんでありますが、どのような方法を試みたかといいますと、例えば親子の食育教室、あるいは朝食、早寝早起きの必要性を家族で訴える。分析の中では、3世代同居の住居が多いということ等、さまざまな面で子供をよい生活習慣に導く要因になっているのではないかと、こういうふうな分析まで福井県のほうは行っているということであります。もう一度、生活習慣についても必要な施策を講じるべきではないかというふうにも思うわけであります。
 次に入りますが、たくましい子、かい性のある子、打たれ強い子、そういう子供たちを育てていくために一番大切なことは、やはり子供たちを競争する環境に置くということがどうしても避けられないのではないかと、こう私は思うわけであります。
 しばらくの間、競争するということが非常にマイナスなことであるというふうに考えられて、例えば運動会では横に並んでみんな一斉にゴールに入る、こういうばかばかしいことが行われた。これはすべて競争というものにかかわる混乱状況だったんじゃないかと思うわけであります。いっときよりはましになってきていると考えますが、児童生徒の体力向上のために、地域内で、例えば市町村という単位において学校同士が体力を競い合う、そういうような行事を行うことが、広い意味での向上心、競争ということを導入していくに当たって適切なのではないかと、こういうふうに思うわけでありますが、このあたりの現状について、また今後の取り組みについて、東野教育長にお聞きいたします。

回答者:東野教育長

 現在、各市町村におきましては、小学校高学年の全児童を対象に、連合運動会、陸上記録会、水泳記録会などを開催しております。これらの行事の開催につきましては、自己記録の更新や新記録の樹立を目指し、日ごろの体育の授業にも意欲的に参加するようになる効果がありますこと、他校の児童に刺激を受けて目標にさらに取り組むといったようなことなど、小学生の体力向上には大きな役割を果たすものと考えているところでございます。
 中学校におきましても、全国と比較すると運動部の部活動の加入率は大変高いわけでございますが、加入している生徒も、市民体育大会、地区選手権大会、県体予選などがお互いのよき刺激の機会となっておりまして、切磋琢磨して体力の向上に努めているところでございます。
 こうしたことに加えまして、みんなでチャレンジ3015、これはちょうど立山の標高3,015メートルを目標といたしまして、いろんな運動の中から自分のした運動量を点数にカウントして3015を目指す、そういったものをやっておるわけでございますが、こうしたことを活用して、ふさわしい運動を教師が個々の子供にアドバイスする。弱点はこれだよと、鉄棒が弱いよとか、いろんなことを言いまして、一人一人の児童生徒の体力向上に向けて、さらにきめ細かく取り組んでまいりたいと考えております。

質問者:吉田委員

 私がこの質問をするに当たって、ホームページを幾つか調べたんですけれども、文科省が委託しております財団法人日本レクリエーション協会というところで、子どもの体力向上ホームページという、まさにそのものずばりのホームページがございました。
 ここで提案していることに、1つの施策として、「全国いつでもチャレンジ・ザ・ゲーム」というタイトルのものがありました。これは具体的には、例えば学校において、大縄飛びとか、多人数でグループを組んで、そしてその中で協調性とかさまざまなことをねらえると思うんですけども、しっかりと向上していこうよと。ゲームでありますけれども、競技性をしっかりと持たせていますので、競争心とか向上心とか、そういうものが同時に図られる。そして、ゲームであるからこそ楽しみながら進めていくことができると。文部科学省というと、どうしても私は一歩引いてしまうところがあるんですが、私は非常に有効なアイデアを出しているのではないかと、こういうふうにも感じました。
 次に入ります。厳しさというもの、あるいは競争というものがたくましさを生む原動力であり、たまには負けること、敗者になることもやっぱり必要な経験であると思います。
 先般の教育委員長の答弁の中で、「冷たくない厳しさと甘やかさない温かさ」という非常に印象に残る言葉をいただきましたが、これにつきましても、できれば具体的に富山県らしさということを出すことが望ましいと思います。
 今ほど教育長のほうから、みんなでチャレンジ3015という運動について御紹介いただきました。3015は立山の標高であります。実際に3,015メーターの立山に登りましょうという運動は、富山県において立山登山という非常に大切な伝統として残っておるわけであります。しかし、最近の立山登山の現状をお聞きしますと、学校が直接、学校行事として行うことがなかなか困難な状況にある場合もあるというふうにもお聞きするわけであります。
 これについて、立山登山の現状を教育長にお聞きいたします。

回答者:東野教育長

 立山登山を行っている学校でございますが、近年増加してきておりまして、平成20年度には、前年度より12校多い98の小学校が実施しているところでございます。なお、このほか、73の小学校が立山以外の地元の山に登山をしているという実態もございます。
 立山登山をしております98の小学校のうち、学校主催で立山登山を実施している学校は、19年度より8校増えて80校でございまして、このほか、いろんな事情でPTA主催の学校は4校増えて18校となっているところでございます。

質問者:吉田委員

 さまざまな行事として、競争であるとか、あるいは心身ともに負荷をかけるような行事を行うということについて、私は学校としてもしっかりとこれを実施していただきたいと、こういうふうに考えております。
 けれども、今の社会情勢、具体的には教師の体罰問題であるとか、あるいはPTAの存在、考え方、モンスターペアレンツなど、これはどうなっているのかなというふうに私たちが危惧するような部分でありますけれども、学校を取り巻く環境において大きな根本的な問題があるのでないかと、こういうふうに私は思うわけであります。東野教育長の見解をお聞きします。

回答者:東野教育長

 子供たちの健全な成長のためには、個々の子供の発達の程度や個性に即しまして適度なハードルを与えることは大変大切だと考えております。
 そのため学校におきましては、学習面、体力づくり面におきまして、さまざまな場面で子供たちに具体的で一段高い目標、例えば読書につきましては読む本の冊数、マラソンにつきましても同じでございますが、そうしたものを持たせて頑張らせているのが実態でございます。
 また、最近は兄弟が少ないわけでございますので、時には挫折感を味わうことも子供の成長には必要であると考えておりまして、教師としては、見守りながらも手助けはしない、目はかけるが手はかけない、といった指導も大切であろうかと考えております。
 昨今、褒めることが大変重視され、とかく厳しさが敬遠されがちでございますが、子供が将来、社会の荒波の中でひとり立ちしていくためには、教師といたしましては、心を鬼にしてしかったり、安易に褒めたりしないといったことも必要な配慮であろうと考えているところでございます。  また、保護者の理不尽なクレーム等がありました場合には、管理職が中心となり、学校が一丸となって担任を孤立させないこと、PTAの理解、応援もいただくことなどにより対応が求められるのではないだろうかと考えておりますし、体罰は許されないことでございますが、いかなる場合も子供の体に触れてはいけないということではございませんで、後ろから抱きとめる、体で制止することなど、そのときそのときの状況に応じまして冷静に判断をして対応してきており、本県の教員は、情熱、使命感を持って、体をかけて指導しているところでございます。
 このように、教師が毅然とした指導を行うには、日ごろから保護者や地域の方との強い信頼関係が不可欠でございまして、今後とも、子供とともに歩む師弟同行の姿勢を大事にし、真剣にしかること、厳しさの中にもぬくもりが伝わる指導に一層努めてまいりたいと思っております。

質問者:吉田委員

 今ほどの答弁で安心いたしました。しかし、もう少し具体的に、この富山県において、おっしゃったようなモンスターペアレンツでありますとかPTAとかで、学校だけで対応し切れなくなっているような状況はないというふうに認識しておられるわけでありましょうか。教育長にお聞きいたします。

回答者:東野教育長

 すべては詳細に把握しておりませんけれども、さまざまにぎりぎりのところで苦しんでいるケースはございます。

質問者:吉田委員

 今ほどの答弁をお聞きしましても、やはりPTAあるいは地域がどのようにこの状況を応援していくかということが非常に重要だということが、教育長の答弁からもにじみ出ておるように思います。私たちは私たちで、保護者あるいは地域の住民として、この問題についてできることがまだまだある状況ではないかというふうに改めて感じさせていただきました。
 それでは、次の問題に入ります。
 もう一度原点に戻りますが、生きる力、確かな学力、豊かな心、健やかな体、これらの調和ということが教育の目標であると。これはだれもがそうだと思うところでありますが、昔からの言葉にありますように、「健全な魂は健全な肉体に宿る」あるいは「心身同一」、このような考え方が、私は、特に日本においては当たり前と言えばいいか、皆さんの共通理解ではないかと、こういうふうに思うわけであります。
 先般の中川委員の質問にもありました武道につきまして、私は、武道というものは、心身同一、そして健全な魂と健全な体、健全な心、このようなことを自然に身につけていくために非常に有用な素材ではないか、環境ではないかと、こういうふうに思うわけであります。
 今の指導要領では、中学校から導入ということが決まっておるわけでありますが、もう一つ言うならば、「三つ子の魂百まで」とか「鉄は熱いうちに打て」と、小さいときからこのような考え方を導入することが、さまざまなことを身につけるという意味では非常に有効であると私は考えます。
 あえて小学校から武道というものを取り入れる、このような考え方について、村井教育委員長の御所見をお聞きいたします。

回答者:村井教育委員長

 武道は、礼に代表されるように、相手を尊重する心、精神を鍛えるという伝統的な考え方を身につけるなど、日本人としての素養体得が期待できる国際的にも誇るべき運動文化であると考えております。その点では、委員の考えと全く同感でございます。
 しかし、小学校における柔道や剣道などの武道指導は、例えば施設の確保とそこへの安全な移動の問題や、学級担任制であるための指導者の確保の問題などの課題がありまして、実施をしておりません。
 小学校学習指導要領では、心と体を一体としてとらえ、生涯にわたって運動に親しむ資質と能力の基礎を育て、体力の向上を図ることを体育科の目標としてございます。そのため、体育の授業におきましては、器械運動や陸上競技、水泳、ボール運動など、特に基礎的種目を中心にして指導しております。
 ただ、国におきましては、平成18年度から、全国の一部の地域におきまして、小学生の発育・発達段階に応じた指導の一研究として、小学校における武道指導の実践事業を実施してございます。  県教育委員会といたしましては、こうした国での実践例や、今回の中学校体育への必修としての武道導入の成果などを参考にして、小学校体育における武道学習の取り扱いについて、国の動向も見守りながら研究してまいりたいと考えます。
 同時に、サッカーやバスケットボールなどの他の種目の指導においても、礼に始まり礼に終わるなど、規則やマナーを大切にする心の教育にも努めてまいりたいと考えております。

質問者:吉田委員

 村井教育委員長から非常にうれしい答弁を私はいただきました。
 まず武道についてでありますが、現状では、やはり施設、環境についてさまざまな困難があるということも納得できます。そして、国のほうで新たな試みとしてやっていること、これも非常に心強い話でありますし、また最後におっしゃいました武道以外のスポーツにおいても、やはりあいさつ、礼儀を基本にしてやっていくということで、ここがきちんとできていれば、必ずしも武道でなくてもよいということも納得できるわけであります。
 そうなのでありますけれども、私自身、小学校1年から6年まで私立の道場で柔道を習っておりました。今39歳になりまして、振り返って取り柄として残っているのは、元気と礼儀正しさということしかないということを考えますと、武道が私を育ててくれた面は非常に大きいなというふうにも思っております。
 そういう意味で、武道のよさの礼儀、あいさつ、これをもう一度……。学校に頼ることが現状ではなかなか厳しいということも認識できますし、私たちは地域としてもう一度この武道というものを……。特に富山県は高校の柔道は非常に強いわけでもありますし、また県警においても、柔道、剣道を大切にしてしっかりと指導なさっている、そういう恵まれた環境がある県でもあります。
 おっしゃった指導員の問題というのは、今ここで途切れてしまうと、これから武道をもう一度基本に据えるという施策をとろうと思ったときに、人がいなくては何もできないということにもなります。私は、これから先に手を打てることがあれば、私たちとしても一歩一歩できることをやっていけばいいのではないかと、こういうふうにもう一度ここで思いを新たにいたしました。
 そして、あいさつということでありますが、私も議員になりまして3年目でありますが、学校を何カ所も回らせていただいたのであります。そして、同じ学校なんですけれども、あるときから一遍にあいさつができるようになっている学校があったり、前はすごく元気がよかったのに、一遍にあいさつをしなくなる学校がある。これは私の実感としてあるわけです
。  これはどういうことかというと、やはり各学校の最終責任者は校長でありまして、私は校長がこのあいさつというものにいかに気を配っているか、重要視しているかということが大切な基本ではないかと、こういうふうに思うわけであります。
 あいさつに対する現場の各学校の校長の認識、あるいは学校としての認識についてどのように把握しておられますか、東野教育長にお聞きいたします。

回答者:東野教育長

 あいさつというものは、子供同士を結びつけ、よい関係をつくるための第一歩でございまして、特に小中学校におきましては、義務教育でございますので、校長は大変大切に考えておりまして、先頭に立ち、教職員とともに、児童生徒が進んであいさつを交わせるための指導にいろいろ取り組んでいるところでございます。
 その一環といたしましては、多くの学校におきまして、児童会、生徒会が中心となりまして、自主的にあいさつ運動を行っております。これには保護者、地域住民、交通安全協会など、地域の方々にも多く参加していただきまして、学校、家庭、地域が連携して、地域ぐるみで気持ちのいいあいさつを交わせるよう、その習慣づくりに努力しているところでございます。
 しかしながら、本来は学校でできるあいさつが地域ではできないといったようなことも往々にしてございまして、あいさつの習慣につきましては、日常生活の中でもはぐくんでいくことが大変大切かと考えているところでございます。
 このため、学校だけではなくて、家庭におきましても、おのおの自然にあいさつが交わされる環境づくりがまた大切であろうかと考えております。
 気持ちのこもったあいさつは、互いの気持ちを明るくし、元気を与えてくれる、友達づくりに大変大切なことでございまして、今後とも、校長はもとよりでございますが、教職員が一丸となりまして、家庭、地域と協力し、努力してまいりたいと考えております。

質問者:吉田委員

 続きまして、教育環境ということについてお聞きいたします。
 今回の補正予算でも、例えば耐震化、あるいは太陽光発電の学校への導入など、教育環境ということで、非常に力強い応援をいただいていると私は思います。
 ちょっと言い過ぎないように気をつけますけれども、この教育環境ということの本質を考えると、教育環境というのは学校環境をよりよくすることだけが主題ではないと思うわけです。教育環境の本当の主題は、やはり人にあるのではないか。「教育は人なり」と。これはみんなが言うことであります。そうであれば、人にどのようにエネルギーを、予算が無理なら気持ちをどのように向けていくか。予算というのは、見ていましても、国から出されてくる提案について、なかなか人に直接渡しづらいという現状があるのは私も理解いたします。けれども、やはり本質は人であると。こうなったときに、現状で、教育環境の質が人であるならば、人というのは教師だと私は思います。教師の多忙化が教育環境の質の低下の大きな要因につながるのではないかと、このように危惧いたします。
 教師の勤務状況についてどのように把握していらっしゃり、現状を認識していらっしゃるのか、東野教育長にお聞きいたします。

回答者:東野教育長

 近年、学校におきましては、多忙化といったことが問題になってきているところでございます。
 文部科学省の18年度の抽出調査での実態調査によりますと、教員の労働時間でございますが、1日平均10時間強となっておるところでございまして、本県でも校長会等が実施したものは大体同様の結果が出ているところでございます。さらに、新学習指導要領によりますと、時間増もございますし、相次ぐ制度改正もございます。
 こうした中で、教材研究や個別指導等に十分時間をとりにくいというのが実態でございますけれども、本県教員は、こうした中におきましても、教育環境が低下しないように、いろいろと見直しも行いまして、少しでも生徒と向き合うように、ぎりぎりの努力を行って頑張っているところでございます。
 県教委といたしましては、国の加配教員や外部人材活用事業を活用させていただきまして、こうした学校現場を支援するため、中1の35人学級選択制の導入、中1学級支援講師、小学校専科教員などを配置いたしますとともに、6月補正におきましても、いろいろと施設面でも御支援いただいているところでございますが、緊急雇用対策事業を活用し、県立学校教育支援員、あるいは小学校外国語活動協力員など、合計延べ300人の非常勤職員の雇用を予定しているところでございます。  今後とも、厳しい環境ではございますが、こうした中で子供としっかり向き合うことができるように、頑張っている教員を応援してまいりたいと思っております。

質問者:吉田委員

 非常に厳しい中においても努力なさっている姿が強く感じられます。教師が自信と熱意を持った指導を行うということがやはり基本になりますが、私が直接教師の方々にお聞きする中においては、昔はよく教員同士でも飲みに行ったりとか、さまざまな時間がとれたと。でも、それすら今はとれないようになっている。ここが苦しいと。いろんなことを先輩教員に相談しようと思っても、そういう時間をとること自体が非常に厳しいと。これが今現実としてあるんだと、こういうふうに言われるわけであります。
 村井教育委員長にお聞きいたします。教師としての長い御経験をお持ちなわけでありますが、昔と比べて今の現状をどのように認識なさっておられて、そして何か有効なアドバイスはいただけないかと思うわけであります。お願いします。

回答者:村井教育委員長

 今日、教育的課題が山積し、教員が多忙化している中にあって、教員一人一人が日ごろから児童生徒の理解に努め、お互いに信頼できる関係を築くとともに、教員同士が児童生徒の情報を共有し、学校全体で児童生徒を指導しているという一体感を持つことは、教師が自信と熱意を持って指導していくためには大切なことであると考えています。
 やる気や一体感が生まれてくる職場をつくるためにはどうしたらいいか。第1に、校長のリーダーシップが重要であろうかと思います。教員一人一人の仕事ぶりを正しく評価するとともに、チームとして何をなしたかの大切さを語るべきだと考えます。また、教員の自主性を尊重し、常に話し合える場をつくり出すことが肝要であると考えています。
 個々の教員の側からは、何でも相談できるよき先輩を持つことが大切であろうと考えます。こうした先輩教師から、公私にわたり、技術的なことだけを学ぶのでなく、教育への熱い思いや人間性自体もしっかりと学ぶことが教員の自信と熱意につながるのではないかと考えています。
 私自身も先輩教師に恵まれ、教員としてやるべきことを学ぶとともに、教科指導に限らず、生徒指導や部活動指導についても先輩と熱い議論を重ね、多くのものを得て教員としての私ができ上がったのではないかと考えております。当時も今と同様、多忙でございましたが、熱意あふれる先輩、同僚がいるという心の余裕、心の豊かさがあったのでないかと思っております。
 今後も、こうした風通しがよく、やりがい、生きがいが持てる職場をいかにつくり出していくか、校長会とも十分話し合って、ともに考えていきたいと思っております。

質問者:吉田委員

 教育委員長、ありがとうございます。
 最後に、たくましい子供を育てるというこのテーマに対しても、私は何事も最初が肝心だと。このことを考えますと、義務教育のスタートは小学校1年生からということになりますが、この小学校1年生の始まる状況において、具体的には、保育所から来る子供、幼稚園から来る子供がいて、うちの子供も今幼稚園に入っておりますが、親同士の話を聞きますと、幼稚園においても朝から晩まで泥遊びをさせる幼稚園もあれば、一切外に出さないという教育方針のところもあるわけですね。そうすると、小学校1年の段階で非常にばらつきが大きいのではないかと思うわけであります。このあたりの難しさがあり、そのことが、教師が小学校1年生から教室をコントロールしていくときの大きな負担となっているのではないかと、こういうふうに思うわけであります。
 入学前の幼児教育においても、私は当局として何らかのアドバイス、助言を行うべきでないかというふうに考えますが、東野教育長の見解をお聞きいたします。

回答者:東野教育長

 小学校に入学した子供たちは、それぞれの幼稚園、保育所において異なった体験をしてきたこと、家庭環境に起因する行動の違いも見られるところでございまして、小学校入学直後は、教師といたしましても一様な対応ができず、対応に戸惑うことも少なくない。一人一人の違いを十分理解した上できめ細かい指導を行うということは、そんなに簡単なことではないというのが実態でございます。
 県教育委員会といたしましては、昨年度まで実施いたしました幼・保・小連携の事業の成果の上に立ちまして、今年度新たに、めばえをはぐくむ幼・保・小連携事業を実施いたしまして、円滑な接続に努めているところでございます。
 これまで実施しておりました幼・保・小の教員による合同研修会に加えまして、新たに、ことしの8月7日でございますが、幼稚園と保育所の先生方、小学校の先生方が400名程度参加する幼・保・小連携フォーラムを実施したいと思っておりますし、アドバイザーを交えての子育て談義というものを、モデル的に20の小学校区で開催したいと考えているところでございます。
 こうしたことを通じまして、教員、保育士、そして幼稚園教諭、保護者が互いの違い、そして理解を深め合うといったようなことが、スムーズに小学校生活を送れるための近道ではないかと考えているところでございます。
 また、教育面でも制度改正がございまして、新たな幼稚園教育要領と保育所保育指針が昨年3月に同時に告示されまして、今年度より施行されたわけでございます。この中で、健康、人間関係など5領域の教育の観点につきましては、共通のねらい、内容が示されたところでございまして、今後、こうした内容が十分に理解され趣旨が生かされるように、研修等にも取り組みながら、入学前の幼児教育が大変大切でございますので、小学校にも生かされるように努めてまいりたいと考えております。

質問者:吉田委員

 教育の問題につきましては以上であります。
 2月定例会の私の予算特別委員会の質問のときでありますが、子供たちがまちづくりに参加するということについて、富山青年会議所がニュージェネレーション育成委員会というものを立ち上げて、本年度、次代の子供たちを育てる事業としてユナイテッド・チルドレンなるもの、子供たちが自分たちでチームをつくり、そして地域のまちづくりをみずからの手でという意思のもとに中高生が集まる事業を試みておるわけであります。
 先日、6月21日の日曜日でありますが、初めての説明会を行いました。県下から23名もの子供たちが自主的に参加してくれるすばらしい状況になりました。このことにつきましても、中学校、高校の校長会を初め、教育委員会の皆さんの非常に力強いバックアップがあったと考えております。この場をおかりして御礼申し上げます。ありがとうございます。
 それでは問2、勢いのある自転車交通施策についてに入らせていただきます。
 まず初めに紹介させていただきます。全日空の機内誌に、「翼の王国」というものがあるのは結構多くの方が御存じだと思います。5月号に、「ダッチバイクで行こう! オランダ・アムステルダムの愉快な自転車ライフ」という特集の記事がありました。石井知事ももしかしたらこの記事をお読みになっているんじゃないかというふうに思うわけでありますが、私は自転車というものが、これからの健康で持続可能な──私は今回「生きがいのある」まで入れさせていただきますが──生きがいのある暮らしとその環境──LOHASプラスアルファになりますが、この実現に向けて、県民が第一歩を踏み出すという意味においては、自転車というのは非常に有効で身近な最善の切り口になるのではないかと、こういうふうに思うわけであります。
 また自転車は、皆さん御存じのように、低炭素社会の実現、あるいは環境に対する低負荷、交通環境の改善や健康増進など、これからの私たちのライフスタイル自身を見直すという点で、非常にさまざまな多重の効果があるというふうに考えているわけであります。
 このあたりのことを石井知事にお聞きしたいんでありますが、ちょっと説明的な質問にしました。けれども、はっきりと申し上げますと、自転車ということを聞いたときに、石井知事は何か非常におもしろい前向きな考えをお持ちになるのではないかなというふうに私は思うわけであります。石井知事の率直な感想をまずお聞きしたいと思うわけであります。

回答者:石井知事

 今、LOHASとか生きがいとかおっしゃいましたが、私は、これからの人生なるべく健康で持続可能な生きがいのある暮らし、そういうことを考えると、いろんな分野がありますけれども、例えば交通について言えば、やっぱり自分で歩くとか、あるいは自転車を活用するということはすごく大事だと思います。
 私は、小学校、中学校のころは郊外の学校に自転車で通っていましたんで、大変自転車に愛着があるわけであります。
 自転車のメリットとしては、二酸化炭素を排出しない環境にやさしい面がある。また、コンパクトで自動車と比べて場所をとらずに、交通渋滞も発生しない。また、実は通学のときもそう思ったんですが、運動しながら移動できるんですね。これはすごくメリットがあって健康にもいいと。  その反面、道路交通法上の軽車両ということで、原則として車道を通行すべきものなんですけれども、道路標識等により歩道を通行することができる場合もありますので、気をつけないと、歩行者とのトラブルの発生とか、あるいは放置自転車など利用マナーの遵守が不徹底だったりと、そういうような問題もあります。
 そこで、自転車をもっと生活に生かすためには、やっぱりまちづくりと一体的に取り組む必要があると思っております。
 御承知かと思いますが、県ではこれまでも自転車の交通量が多い箇所を中心に、道路改良事業とか交通安全事業などで、一部市町村道も含めますと、大規模自転車道は県内で103キロまで一応できておりまして、また自転車が通行可能な自転車歩行車道も約379キロ整備している。また、富山市内で国交省のモデル地区の指定も受けまして、自転車専用の通行帯の整備も行っている。これも御存じかと思います。
 そういうことで、なるべく自転車を利用できる道をつくりたいところなんですが、ただ、乗る方にとっては利便性があると同時に、特に最近高齢の方が多いものですから、歩行者の安全も考慮してもらう。そこで、地域住民のコンセンサスをしっかりとっていく必要があると思います。また、やっぱり置きっ放しなんかの問題もありますので、駐輪場の整備とかレンタサイクルに5市町村で取り組んでいただいているわけですが、こうしたこととの連携もとりながらやっていく必要があると思います。今回の6月補正でも、自転車歩行者道の整備費については、福光福岡線でありますとか、幾つかの線で整備を進めるということにしております。
 いずれにしましても、環境にやさしい低炭素社会ということもありますし、またLOHAS、生きがい、こういう点からも、自転車を活用したまちづくりは大切な視点だと思っております。

質問者:吉田委員

 今ほど知事からの御答弁にもありましたけれども、自転車というものがこの日本において、道路交通上しっかりとした位置づけが微妙になされていないところがあるんじゃないかと。
 それはどういうことかというと、実際自転車に乗っていると、歩道を走っていたと思ったら車道に出なくちゃいけなくなったり、そのあたりを運転者としても意識しようと思っても、それができる環境ができていないというところが根本にあるのでないかと、こう思います。
 そういう意味で、私が今ここで提案させていただいているのは、この状況について、やはり富山県としても幾つかの問題点をどんどん提示していくべきじゃないかと。そして、それを国としてもさまざまに改善していってもらいたいと。こういう意味での質問だと了解いただければというふうに思うわけであります。
 ことしになりまして、総合的な交通政策体系ということで、総合交通政策室というものを当局が設置されたわけであります。交通というものをどうとらえるかというところになりますけれども、私たちが自転車に乗っているときに道路交通法の規制がかかる乗り物であることを考えれば、私は自転車も当然にして交通の一部であろうというふうに思うわけでありますが、総合的な交通政策体系の中の一つの視点として、自転車利用の促進、あるいは自転車についての対応を含める、このような考え方が妥当ではないかというふうに思うわけであります。廣光知事政策局長にお聞きいたします。

回答者:廣光知事政策局長

 自転車利用促進につきましては、脱マイカー、公共交通利用促進の観点から、交通政策の中でも、これまで鉄軌道事業者や市町村が実施する自転車駐輪場の整備への支援など、所要の取り組みを行ってきております。
 自転車利用促進につきましては、まちづくりや安全で快適な自転車走行空間の確保の観点から、担当部局において、道路改良事業などの形で主たる取り組みが行われてきておりますが、こうした取り組みに加えまして、総合的に交通政策に取り組む観点からも、脱マイカー、公共交通機関の利用促進や、鉄軌道駅へのアクセスの向上につながります自転車利用促進につきましては、交通政策を幅広く構想していく際の視点の一つとして、今後とも関係部局と連携しながらその推進に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上です。

質問者:吉田委員

 脱マイカー運動、それはすなわち県が行っているノーマイカー運動になると思います。きょうはたまたまその日でありますけれども、私は本定例会において2回しか自転車で議会に来れませんでした。一番議会に近い議員としては恥ずかしいなということで、また努力いたしますが、全県的に実施しているノーマイカー運動について、現在は毎日という取り組みではないんでありますけれども、今後、恒久的にこれを広げていっていただきたいと、こういうふうに考えます。
 これまでのノーマイカー運動の取り組みの成果、今後の考え方について、引き続き廣光知事政策局長にお聞きいたします。

回答者:廣光知事政策局長

 ノーマイカー運動につきましては、公共交通機関を利用するきっかけづくりとなる機会を提供する運動でありまして、平成15年度から県、市町村統一の取り組みとして、民間事業所などに参加を呼びかけ、19年度からはノーマイカーデーからノーマイカーウイークとして運動を拡大しておりまして、一定の成果も上がってきているところでございます。
 この取り組みが日常的にも定着していきますよう、参加事業所に対しましてノーマイカー運動導入の働きかけを行っているところでございますけれど、一部では事業所独自のノーマイカー運動の導入や検討が見られるとともに、関係交通事業者においては、近年、新たに、通勤用のE-定期券といった日常のノーマイカー通勤利用に適した割引商品の導入が始まっております。
 この種の運動につきましては、息の長い、腰を据えた取り組みをしていくことが必要と考えておりまして、県としましては、今後とも公共交通利用促進協議会等関係者とよく協議しながら、日常的な定着も含めまして、この運動への県民の理解、参加を図っていきたいと考えております。
 以上です。

質問者:吉田委員

 それでは、続きまして、自転車と今ある公共交通、あるいは自転車と観光、これをどうつなげるかということについて質問をいたします。
 富山市においてはライトレールなどがありますし、あるいはこれからソーラー船が運航されるわけであります。また、全県的には富山湾横断観光船など、観光のツールとしてもさまざまな交通機関が整備されてきているわけであります。私は、ここに自転車をどのようにミックスさせていくかということを考えるべきでないかと思うわけであります。
 欧米の例を見ますと、公共交通機関に自転車を直接載せられるというのが当たり前になっている地域も幾つか見られるわけであります。日本においては現行法上さまざまな問題もあるとは考えますが、これについてどのような展開が期待できるのか、石井知事にお聞きいたします。

回答者:石井知事

 自転車は観光振興にも非常にうまく使えるんではないかと思っております。現在、地鉄では、サイクリングトレインということで、土日、祝日に自転車を無料で持ち込むことが認められています。また、JRとか富山ライトレール、万葉線では、自転車を折りたたんで専用の袋に収納してあれば、車両への持ち込みは可能となっております。
 それから、観光客向けのレンタサイクルについては、富山ライトレールの発着地であります富山駅と岩瀬カナル会館で貸し出しがありますし、また今度、富山湾横断観光船をやりますけれども、黒部市の魚の駅生地、あるいは氷見のフィッシャーマンズワーフ海鮮館でそれぞれ無料で貸し出しをすることになっております。
 さっきもちょっとお話ししましたが、県としても、既に2つの大規模自転車道103キロも供用済みですけれども、これからも整備をしたい。また、県と地元NPO──例えば高岡ですと、Nプロジェクトひと・みち・まちというのもありますけれども、こういった方々と協働しまして、高岡と氷見を結ぶ海岸絶景サイクリングコースというものの整備に協力したいと、こういうふうに思っているわけであります。
 委員御提案の公共交通機関や観光船等の観光ツールと自転車をミックスした観光ルートの開発、これは非常にいい視点だと思っていまして、周遊性も高まる、また魅力の再発見につながる、新しい観光コースをつくるきっかけになると、大変有意義だと思いますので、今後ともそういう視点から努力していきたいと思います。

質問者:吉田委員

 知事から大規模なサイクリングロードについて御紹介ありましたが、私は39歳ですけれども、30年前、小学校のころのサイクリングロードというのが非常に印象に残っております。
 富山においては、起点が富山市五福、鵯島のほうにあるわけですけれども、そこからまずいきなり呉羽山を越えなくちゃいけないわけですね。そして、汗だくになって山越えしてから射水のほうにずっと入っていくという、非常に厳しいサイクリングロードでもあるというふうに思うんですけれども、今あるサイクリングロードについて、有効活用を図ることがまず第一歩かというふうに思います。井波土木部長に見解をお聞きします。

回答者:井波土木部長

 先ほど知事から答弁がありましたが、県内には自転車歩行者専用道であります大規模自転車道として、富山市と小矢部市を結びます富山庄川小矢部自転車道と、富山市と朝日町を結びます富山朝日自転車道の2路線があります。これらは昭和48年度から整備を行っておりますので、舗装の傷みを初め老朽化が進んできておりますので、必要に応じて舗装修繕や防護柵の更新などを実施してきているところであります。
 今後とも、未整備区間の整備に取り組むとともに、適切な維持管理を行い、引き続き自転車の良好な走行環境の確保に努めてまいりたいと考えております。
 また、利用状況につきましては、平成17年の交通センサスによりますと、平日の午前7時から午後7時までの12時間の通行台数が、射水市の県民公園太閤山ランド前──これは富山庄川小矢部自転車道に当たりますが、ここで46台。魚津市の本新地内──これは富山朝日大規模自転車道でありますが、33台ということで、残念ながら十分に活用されているとは言えない状況でございます。  大規模自転車道からは呉羽丘陵や富山湾が望め、周辺には射水市指定の薬勝寺や魚津市の埋没林博物館など名勝、旧跡が数多くありますし、また休憩所やトイレも要所要所に配置しております。  快適なサイクリングを楽しめることから、今後は魅力を紹介したルートマップを県のホームページでPRするなど、多くの方に利用していただけるよう努めてまいりたいと考えております。

質問者:吉田委員

 サイクリングロードは、昭和48年からということでありますので、できた当初は、やはり生活の交通手段とか通勤手段というよりは、もう少し地域のことを広く見ようと、ルート的にもそういう意味での整備が行われたのじゃないかというふうに思います。
 その後、さまざまな基幹道路の整備等によりまして、サイクリングロード自身が非常にわかりにくい。途切れるんですね、実際のところ。そういう状況にもなってきております。これらについてまず、今おっしゃったような対策を打っていただきたいというふうに思うわけであります。  朝、私が掛尾に立っておりますと、井波部長が自転車で県庁に通勤なさっている姿をお見かけするんでありますけれども、私は非常に心強いなと、こう思っております。県の部長が率先して自転車に乗ってくださって、非常に長い距離を頑張っていらっしゃるので、なおさらすばらしいなと思うんでありますけれども、本当に感謝いたします。
 そういう部長でありますので、なおさら自転車がこれからの通勤において、いかに公共交通機関の駅と接続するか、あるいは一度自転車で自宅を出て、公共交通機関を利用して、また自転車で所定の場所に通う。それから自転車だけの通勤通学であっても、実際にマイカー通勤の方はよく感じられると思いますが、何遍か信号待ちをしていると、追い抜いたはずの自転車の人が実は私たちの車よりも先に着いているという、これが現状であります。
 自転車自体は、車から比べるとスピードは当然何分の1かの乗り物でしかありませんが、信号でとまらなくていい、とまる回数を少なくする、こういう考え方の自転車用の道の整備ということが可能であれば、自転車は時速20キロさえ出れば、大方車で行くよりも早く目的地にたどり着くことができるというのが現実であります。
 マイカー通勤から自転車通勤への転換を促進するという、このような考え方の導入をぜひお願いしたいと思います。井波土木部長の所見を伺います。

回答者:井波土木部長

 毎朝6キロの距離でありますが、心身のリフレッシュのためにできるだけ自転車を利用させていただいております。評価いただき、ありがとうございます。
 県では、主要な鉄道駅周辺などの県道につきましては、これまでも自転車歩行車道の整備や側溝ふたかけによる路肩拡幅など、自転車走行の安全確保に取り組んできたところであります。また、市町村におきましても、駅周辺に駐輪場を設けるなど、自転車と公共交通機関の乗りかえの利便性の向上に努めてきているところでございます。
 また、先ほど知事からも答弁がございましたが、昨年1月に自転車利用者の特に多いJR富山駅地区が国から自転車通行環境整備モデル地区に指定されたことから、県道富山港線におきまして、幅の広い車道の一部を自転車専用の通行帯として整備するなど、試行的に取り組んでいるところであります。
 御提案の、できるだけ信号に影響されないような自転車専用道路の新路線を開発整備してはどうかということでございますが、まずは既存の自転車歩行車道を有効に利用していただくことが必要であると考えております。
 今後、市町村等から具体的なルートの提案がございましたら、事業費や将来の自転車利用数を勘案しながら、また整備主体や整備手法も含めて必要な検討をしてまいりたいと考えております。

質問者:吉田委員

 最後に、自転車について生意気な意見を一つ言わせていただきますが、石井知事も植出副知事も、自転車というよりは歩いて通われる距離なのは存じ上げてはおります。けれども、一般の話でありますが、歩いていると、どうしても威圧感があったり尊大に見えるものが、自転車に乗ると、何といいますか、周りが見ていてほっといたしますね。そして、自転車のよさは、やっぱり何よりも楽しいということがあると思います。ぜひ、さまざまな県政において、自転車の利用ということを進めていただければというふうにお願いいたします。
 ありがとうございました。