2010.06.01 : 平成22年経営企画委員会

質問者:吉田委員

 委員長並びに委員の皆様の御配慮をいただきまして、副委員長の立場でありますけれども、質問させていただきます。
 私の質問は、都市観光についてということでさせていただくのですけれども、この都市観光についての質問になった経緯を少しお話ししないといけないかと思いますので、そこから入らせていただきます。
 まちの観光を進めようということは以前から言われていることでもありますし、今回の経営企画委員会の視察でも何カ所かのまちづくりに頑張っているところの観光というものを勉強してまいりました。
 富山県の状況、そして私は富山市に住んでいますから、富山市の町なかの状況ということを頭に入れながら質問するのですけれども、基本的にはまちづくりは県政の中でも一番大切な意識していかなければいけない問題だという私の認識から、都市観光についてという1つの切り口としての質問だということで御了解いただきたいと思います。
 大きなことになりますけれども、私自身議員になりましてから富山のまちに住んでいて、そして富山のまちづくりということを考えたときに、今の県政の中でこの富山市のまちづくりのことをどのように政策として実現していくのかということが、非常に欠けている部分ではないかと実感しております。それは、1つには富山市が中核市であるということ。けれども、富山市というのは富山県の顔でもあります。だから、この富山市のまちづくりをどう考えていくかということは、富山県と富山市がしっかりと連携を図り、相互に進めていく問題ではないかという認識を私はしています。
 そして、このまちづくり、まちの魅力ということを考えたときに、さらには何が本当のまちの個性なのかということを考えると、やはり、歴史的にそのまちに何があるかということが一番大きな魅力につながるのではないかと思います。そして、これからそのまちの中の観光を進めるときにも、やっぱり頼るべきは、過去からどういう経緯があって、それがそのまちにどう生かされているのかという切り口こそが一番大切なものではないかと思っているところです。
 それで、具体的に歴史的なもの、あるいはまちの素材を考えたときには、例えばそれは建築物であったり、それからまちの中の樹木であったり、構造物、それからまちの町並みといいますか、道路割りとか、そういうすべてになってくると思うのですけれども、そういうものをいかにして保存しながら、これからまちづくりを進めていくかということがとても大事だと思っています。私の個人的な考えでは、富山市は非常に残念な状況になっております。
 そういう意味で、富山市の場合は具体的に言うと、例えば建築物でいえば、戦争で焼けたまちですから、本当に古いものは数多くは残ってはいないわけでありますけれども、たまたま町なかの富山大和の存在ですとか、あるいは電気ビル、それから富山大学のさまざまな校舎ですとか、幾つかは残っているのです。これらのものをこれからまちづくりに活用していくときに、富山県としてもどういうふうにしてこれらを残していくのかという発想があるのかということが非常に気になります。
 今回は都市観光ということで質問いたしますので、これらのものについて、私は今富山市の例を出しましたけれども、県内全般、一般の話として、どういうふうにしてこれらの歴史的財産、まちの財産を残していくかということを小城課長にお聞きいたします。

回答者:小城観光課長

 お答えいたします。
 富山県には、国宝瑞龍寺を初め、高岡金屋町、それから富山市の岩瀬、あるいは五箇山合掌造りのような伝統的な建造物、あるいは文化的な町並みは数多く残されております。
 北陸新幹線の平成26年度開業を控え、町なか観光というものが今後の観光振興にとっても、とても重要になってくるのではないかと考えています。特に、まちの歴史を感じさせる建築物については、江戸時代の木造の建築物だけではなく、近代建築についてもとても魅力があると考えております。例えば、昨年10月から放送されましたテレビドラマ「不毛地帯」のロケ地となりました電気ビルデイングにつきましては、レトロな概観、そばを市電が走る都市景観というのが放映されたことによって、久々に結婚式が復活するといったように来館者数が大きく伸びてきているところでございます。また、富山市内にはこの富山県庁、あるいは富山大和も戦前からの空襲の焼け残りとして残っているもので、これらは非常に大切なものであると考えております。
 こういった観光地、特に町なかの観光地の魅力を高めるという事業で、今年度から新たに観光バリューアップ事業というものを始めて、現在市町村に照会をかけて募集をしているところでございます。今後、こういったものを生かしながら、県全体の視点から、社会資本整備の総合交付金、あるいは景観づくり事業費補助、また歴史と文化が薫るまちづくり事業などのメニューを活用しながら、そういったものの魅力を高めていきたいと考えております。

質問者:吉田委員

 観光の視点からすると、今ほどの課長の答弁になると思います。
 最初に大きな話を申し上げましたけれども、結局まちづくりというのは、観光という視点からそれをどう生かしていくかということになるのですけれども、例えば木、樹木1つとっても、富山市の場合、この木はどれぐらい古いのか、そして本来残すべきものではないのか、歴史的にも価値のある街道筋の木ではないのかと。そういうようなことというのは、やはりそこに関係ある部署がしっかりと把握しておくことが必要と考えています。それから、今ふるさとという言葉を県は非常によく使われるわけですけれども、建築についても、歴史的な視野をもって認識した上で、どう生かしていくかという問題が一番大事なことだと思うのです。
 ですから、これこそ連携を図って、一つ一つの問題をどう生かしていくのか。県としては、全体としてこれが価値があると考えるが、市や町村のまちづくりとどう整合性を図って、それらを残していくのかということこそしっかりと連携を図らなくてはいけない。難しい問題ですが、危機感を持って取り組まなければならないと考えます。特に、木についてはどんな木でも、大きいかなと思う程度になるのに、五、六十年かかります。それを切ってしまうと、また五、六十年かかるのです。緑の富山県だと非常によく言う割には、富山県内の町なかには大きな木が乏しいと私は思っています。そういう目線で木を残していこうという政策が必要と思うのです。
 今ほど課長が紹介された幾つかの建築物にしても、ほかの歴史的な都市からすると、本当にもう最後の生き残りみたいなものです。これをしっかりと保存する。保存の仕方についても、それそのものを残すということ、あるいはそれぞれを組み立てていたものを保存するといういろいろな保存の方法はあると思います。必ずしも今の形、今の場所にではなくても、そういう目線で残していくということをぜひこれから取り組んでいただきたいと思います。
 せっかくの場所ですから、一言申し上げますと、先日富山駅の起工式に行ってまいりました。そんなに古い話ではないですけれども、あそこに行くと、ずっと皆さんが使ってこられたプラットフォームがあって、そして敷石があって、枕木があるのです。ああいうものがどれだけの歴史があるかということはまた別ですけれども、少なくとも富山県民が利用して、そこに愛着や気持ちがこもっているものなのです。それをどう生かしていくか。例えば、プラットフォームの屋根の鉄骨1つとったって、あれを富岩運河環水公園に持っていって、それから枕木を使ってそこでベンチをつくるとか、いろいろなことがアイデアとして考えられると思います。でも、それを何も考えずに通常どおり処分してしまえば、それはただのごみになるのです。そういうことをぜひ県の当局の皆さん──私たち議員ももちろんですけれども──挙げて残すという努力をしていただきたいと思います。ものを残すというのは本当に通常以上に、新しいものをつくる以上にお金がかかることだと思います。それでも、こういうふうな取り組みを進めていきたいと思っています。
 この辺でとめようと思ったのですが、私の前に梶委員が富山県民の歌のことを言われました。私は、本当に委員の意見に全く同感でありまして、富山県民の歌という育ててきた木を今切ろうとしているのかというふうに私には聞こえました。そうではなくて、若い者が歌わなくなっているのは教えないから歌わないんです。伝えないから歌わない、当たり前のことではないですか。そういうことを努力して残していこうということこそが、今一番ふるさとということを考えたときに本当に求められていることだと思いますので、ぜひこれから取り組んでいきたいと思います。ありがとうございます。